自転車に冷たい国、ニッポン――安心して走れる街へ (岩波ブックレット)
- 岩波書店 (2014年9月27日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002709093
感想・レビュー・書評
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新着本より。
少し古いブックレットですが、雑誌か何かの特集で取り上げられていたので新着図書として購入した本です。
歩道も車道も走りづらい状況である自転車の現状について、これから行われる東京オリンピックも視野に入れつつ状況を分析している本です。
東日本大震災以来、自転車通勤をはじめとする自転車の利用には注目が集まっていますが、想像していたよりもその環境整備が遅れている現状に驚きました。
自転車が、交通事故の被害者となるだけでなく加害者としても大きなパーセンテージを占めていることに加え、多額の賠償を命ずる判決が小学生児童の事故で出されたことなど、道路状況の整備と合わせて保険などの環境整備も行う必要を感じます。
自転車の安全五原則
①車道走行が原則、歩道走行は緊急避難などの例外のみ
②車道では左側を走行(右側走行(自動車に対して逆走する形)は禁止)
③歩道を(例外的に)走行する場合は歩行者優先、射道側の走行
④交通規則の順守(ライト点灯,飲酒運転禁止,二人乗り禁止,並走禁止,信号順守,一時停止順守)
⑤子どもを乗せる場合はヘルメットを着用させる
をしっかりと守ること(自分でできること)から、始める必要がありそうです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本は自転車利用者が多い、自転車大国。一方、自転車事故が多い。オランダなど自転車先進国から見習うことはあるのか。
自転車は環境に優しく、手軽な交通手段。ほかにも、健康、お金がかからない。事故を減らすには?
日本の自転車事故。交通社会でみると、自転車は弱い立場。対歩行者の事故が増えている。加害者にもなりうる!!!
交通事故は過失相殺。2010年に裁判所で新基準。
「歩道上の事故は歩行者に過失はない。」対自転車の場合、自転車が100悪い。加害者が自己破産の場合、被害者が自己負担。
自治体によっても自己発生率は異なる。一番多いのは香川。なぜか?自転車利用者が多い。変形交差点が多い。←交通が乱れやすい。、平地が多く道路整備が進んでいる。←走りやすく、減速しないのでは?
そもそも自転車は車道を走るもの!!!
道路交通法で、1960年に自転車を自動車と同じ、「車両」と位置付ける。車道の左側通行を規定した。現在も変わらず。(原則)
1970年の改正により、自転車の歩道通行も許可された。(例外)
1960年代以降の、交通戦争の影響。自転車対自動車の事故が多発。例外的に歩道の通行を認める。
「やむを得ず緊急避難的に歩行者と自転車を同一の空間に収容せざるを得ない」←一時的な措置
事故対策、渋滞対策で手いっぱい。
日本;自転車が歩道で双方通行←交差点などで、左右両方から自転車がくることも
欧州;車道を一方通行
自転車の車道通行が進まない理由;車道は危険、脇道に停車できず、車にとっては不便
自転車道、自転車レーン、車道で車と混在のどれかがいい。
地方分権が関係しているかも。1990年代前半までは国が政策決定をしていたところ、政策決定や財源が自治体になった。住民の賛成と予算も問題点。
SHARE THE ROADの精神が大事なのかも。日本は車社会。戦後直後は道路が整備されていなかった。車にとって良い整備を目指すあまり、道路が整備されて車が優先される車社会。目標は、車、人、自転車が共生できる社会。
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自転車は子供でも乗れる、手軽さがあるにも関わらず、事故が起これば賠償金という大きな問題になってしまう。以前から思っていたことだが、これは自己責任と思っていた。でも、この自転車事故が多いという、日本の社会問題も、注意義務として個人にすべての責任を押し付けるのではなく、政府や自治体が政策として問題を軽減させる方法があることを知った。単に個人の努力義務として投げ出し、注意を呼びかけるのではなく、自然と問題解決に導くことができる。
この本を読んだ上で、確かに日本の自転車事情には改善の余地があるとは思うが、日本の地形的問題点は多いと思う。自転車レーンを作るにしても、道幅が狭く、そんなものはつくれないように思う。じゃあ、歩道を走っていいのか。歩道も同じ。狭くて、人と自転車が通る幅はない。だったら、どうしようもないのか。考えもの。でも、左側通行を徹底することは大事だと思う。道幅が狭くても、できるはず。自転車以外にも、乗り物が出てきて、、車両の概念って難しいと思った。自転車乗る人からすると、自動車と走るのは怖い。でも、歩行者の気持ちになってみたら、車両だよな〜と。バイクも車両だし、そうなのか、、。
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【書誌情報】
著者 馬場直子 記者。
通し番号 909
ジャンル 社会科学
シリーズ 岩波ブックレット
刊行日 2014/09/26
ISBN 9784002709093
Cコード 0336
体裁 A5・並製
頁数 63頁
定価 572円
歩道からも車道からも追いやられがちな自転車.しかし一方で,自転車は環境への負荷が小さく,また車中心の街づくりを根本的に転換させうる,未来志向の乗り物でもある.事故はどうしたら減らせるのか,そして自転車が走りやすい街はどうしたら実現できるのか.国内外の豊富な事例をもとに,ソフト・ハード両面の方策を考える.
■著者からのメッセージ
日本は,数字で見ると世界有数の自転車大国です.自転車の保有台数は2008年に6910万台で自動車の保有台数に迫り,1人あたり保有台数で見るとオランダやドイツなどに次いで世界でも上位に入ります.実際,通勤や通学,買い物,子どもの送り迎えなど,自転車は大切な交通手段として使われています.
でも,なぜか「大国」の実感がありません.自転車の事故が全交通事故の2割を占める状況がずっと続いています.車にはねられるだけでなく,自転車で人に重いけがをさせてしまったり死なせてしまったりするケースが目立ってきています.そして,そうした時の賠償はどんどん高額化し,数千万円を命じられることが普通になってきています.一方で,事故に備えた保険は普及しておらず,被害者も加害者も苦しんでいるのが現状です.事故にならないまでも,ひやりとした経験をもつ人も少なくないでしょう.
この本では,日本の自転車を巡る問題を示しながら,どうすれば車や歩行者と共存した街づくりができるのかを,海外の先進事例も参考にしながら考えていきたいと思います.少しでも,読者の方々のご参考になれば幸いです.
〈https://www.iwanami.co.jp/book/b254446.html〉
【簡易目次】
はじめに
第一章 いま、なぜ自転車なのか
第二章 減らない自転車事故――未整備のセーフティーネット
第三章 自治体によってこんなに違う! 自転車事故の発生率
第四章 変わる自転車政策
第五章 車社会を乗り越えて――歩行者、自転車、車が共存する街づくりへ
おわりに -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784002709093 -
自転車関連の本をもう少し読んでいこうと、手に取った一冊。とっても薄くてあっというまに読める本でした。新聞記者らしく数字やデータを用いて、世界の主要都市との比較や問題点をシンプルにまとめる文章で、まずは知ってみようという人向きの本だと思いました。もう少し知りたい、という人には、中身も厚みが必要かもしれませんね。印象に残ったのは、傾斜度と自転車の関係を取り上げていたところ。東京都といっても自治体ごとに違うわけで、立川近辺はどうなんだろうと思いました。
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岩波ブックレットてまだ出てるんだね。No.909だって。自転車問題。一部では以前から問題になっているけれどいまひとつ盛り上がらない。こんなに日常的に利用されていながら、利用者意識が頑なに固定されてしまっていて、まさに総論賛成各論反対。誰が何を言おうと歩道を傍若無人に走り回る自転車はなくならない。疋田智さんの名前を知っている人には釈迦に説法だが、本書の馬場さんをはじめ少なからぬ影響力をもつマスコミ関係者が声高にどれだけ叫ぼうと現実は変わらない。ただし自転車に冷たい、と被害者意識をあおるのはある意味逆効果ではないか。自転車を甘やかしているのも大きな間違いひとつだ。ぼくの考える解決法は簡単で、車道の左端に青ペンキで矢印を書き自転車は軽車両として交通法規を守ってそこを走る、それだけだ。歩道を走る自転車はびしびし取り締まる。もちろん車道の違法駐車は厳しく摘発する。もうひとつ言わせてもらえば、車道排水の側溝フタ、あれは自転車乗りにとって悪意以外の何物でもない。タイヤが落ちないように舗装面と同一面にしてスリットは横に切ってほしい。
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クルマ叩きという気もしますが、今までがアレなので、多少のバイアスは仕方ないかと。一般道でのジャンクションなんて、酷いですよね。自歩道を走行していたら、オーバー/アンダーパスで自歩道消失とか。せめて、案内板くらいは欲しいです。
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自転車の双方向通行をなくしていくことが、事故の減少につながると思う。
本書の主旨、主張にほとんど同意見である。
自分も自転車に乗るので、いろいろ考えさせられた。
データが文章で示されているが、図表があってもよかったと思う。
最後のまとめに「東京オリンピックを機に車社会から脱する最後のチャンスかもしれない。物質だけでなく、精神的にも豊かになるターニングポイント」というような主旨の言葉があったが、都市部では、公共交通機関が発達し、自転車だけ(あるいは徒歩)で充分かもしれないが、地方(田舎)では、やはり自動車がないと生活に不便なことが多い。いや、ほとんどだろう。
地方における安全な「share the road」をどうするかも大きな課題だろう。