- Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
- / ISBN・EAN: 9784002709420
感想・レビュー・書評
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「ここで負けるわけにはいきません!」絶叫は、オリンピックの試合でも戦争中でも日本にこだまする。と高畑さんは言う。63ページと短いので「君が戦争を欲しないならば」読んで欲しい一冊。ずるずると押し流され、空気をすぐ読もうとする同調気質には疑問を抱いていきたい。
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63ページしかない短い本だったけど、すごく整理されており、読みやすくわかりやすい。
岡山は隣の県で駅周辺はよく見知った場所だったので、高畑勲の空襲で辿った経路をなんとなく想像できた。
整備された美しい小川だと思っていた西川緑道が、防火帯のための強制疎開で開かれた道なのは初めて知った。
街には歴史があり、私たちは歴史の上に生きていると思った、歴史を生かさなければと思う。
この本で高畑勲は、悲惨な戦争の体験を語っても戦争を防止することはできない、そうなる前のこと、どうして戦争が始まったか、為政者、国民がどう振る舞ったかを学び、ではどうしたら防げたのかを考えることが戦争防止になると主張する。
最後にまとめられているが、私たち日本人の同調し責任追求ができず、押し流され空気を読む気質のせいで、本当の民主主義はまだ身に付けられていないと非難している。異を唱えるものは排除される村社会であり、多数派に流され、上部の議論で全てが進んでいく。(最近の国会の様子を見ていても野党が弱く、閣議決定されたものでほとんどの法案が決められてしまっているのも危機感を感じる)
この体質を変えるのは簡単ではないし時間のかかること、これを変える努力をするのはもちろん、こう言った日本人の性質から戦争への道を閉ざす最後の砦はやはり憲法9条なのだと。
安倍政権時から改憲を目指す動きが徐々に顕になってきているが、本当に恐ろしいことだと思う。
憲法9条に守られてきたことを誇りに思い、アメリカに頼らず、沖縄に依存しない外交は何かよく考えるべきだと思う。
私は日本の文化的財産を世界に発信すること、強い経済で世界に通用するインフレ基盤を持つこと、輸出産業を守ることが、防衛以外の安全保障として役割をもつ大事な抑止力になると思う。
経済を推進するにも、少子化に歯止めをかけるのも、人権が守られ戦争をしない国にするためにも今の政治(とも呼べない茶番劇)を今すぐ変える必要があると思う。
裏金問題が露呈しても、責任を取らず居座り続ける議員にはすぐに全員辞めてもらわなければ、と強く思う。
高畑勲みたいな頭が良く心がある人を亡くしてしまったのは本当に惜しく思うし、この本で言う「頭で食う」人間が多くなっていて危機感を感じる。東大をはじめとする有名大学出身のエリート層はもうどうしたら稼げるかしか考えておらず、社会の見えない弱者には関心もなく自己責任と自助で糾弾し、社会全体の利益を考えてるような志はないような人が多く見られる。そしてこの国の全体もそんな感じでみんな自己中心的で物事を考えている。
どうやったら同調することに寄らない民主主義、功利主義をみんなが身につけられるようになれるのだろう。
自分で考えて意見できるようになりたいから、私ももっと勉強しなきゃいけないと反省する。 -
焼夷弾の実際、日本人のずるずる体質。言葉にされて、ハッとなる。ものすごく教養のある人なのだなと感じる。
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とにかく、実際に戦争を体験した人の話は聞いておかなければ。
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久しぶりに岩波ブックレットを読んだ。
高畑勲は単なるアニメーション監督としか認識していなかったけど、なかなか素晴らしい人物だったのだと今になって気づく。
日本がずっとやってきた「ずるずる体質」や「責任を取らない体質」は、これからも続いていく危険性がある。そのための歯止めとして憲法九条が必要なのだと高畑勲は訴える。
この考えを全て受け入れるかどうかは別として、改憲が叫ばれている世の流れの中で、護憲の主張を訴える岩波らしい本を久しぶりに読んだ感じ。
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『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』で知られる高畑勲が自身の戦争体験の経験や、昨今の憲法改正に向かおうとする日本への危機感が語られている。
日本は戦後70、80年足らずで、もう以前の戦争でどれだけ悲惨なことが行われたのか忘れられようとしている。
広島、長崎で原子爆弾が落とされ、亡くなった日本人の魂に黙祷が毎年の行事として行われようと、戦争の傷跡をもう忘れてしまったようだ。
その証拠に2023年の日本は軍事費を増やし、自民党主導による憲法改正(しかもその憲法に緊急事態条項まで追加しようとしている)への道を諦めてはいない。
本著で指摘される「ずるずる体質」「責任を取らない体質」も、この10年でどんどん酷くなっていっているように思える。
高畑勲が『火垂るの墓』で清太を糾弾しようとする意見が大勢を占める時代が来るかもしれないという危惧をしていたが、今の日本国民はそうなっているのではないだろうか……。
ロシアのウクライナ侵攻で「汝平和を欲さば、戦への備えをせよ」に似た主張から軍備の拡大や、憲法改正を唱える声が聞こえようとも、「もし きみが戦争を望まないなら、繕え 平和を」のプレヴェールの言葉、そして高畑勲が語る主張を信じたい。 -
戦争ものがわたしは悲しくなりすぎる為
読むのが苦手だが、薄い本だし高畑勲さんだし、読んでみた。
人とは簡単に
朱に交われば赤くなる
生き物だということを
高畑勲さんが仰っているのかなと感じた。
いま、読んで欲しい本です。 -
政治や戦争の歴史に対して、取っ付き難い印象を抱いている若者などに読んで欲しい本。この本がきっかけで、無知な自分に対して危機感を感じることができるようになった。
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4.5/177
『 ■編集部からのメッセージ
『火垂るの墓』『かぐや姫の物語』で知られるジブリの高畑勲監督が,戦後70年の初夏,初めてご自身の空襲体験を語りました.「自分の子どもにも語ったことがない」という監督の戦争体験.なぜ,いま語ることを決意したのか? 何を伝えたいのか? その秘めてきた思いについて,岡山市でおこなわれた講演記録をもとに執筆されたのがこのブックレットです.
凄絶な空襲の体験,新鮮な民主主義のもと伸びやかに育った戦後の暮らし,忘れてはならない70年間の平和の代償,安保法制と日本人の同調気質に対する強い危機感――.本当に戦争を防ぐものとは何でしょうか? 本当の民主主義とはどのようなものなのでしょうか?
アニメーションの世界的カリスマが問い掛ける「君が戦争を欲しないならば」,何ができるのか,何をやるべきなのか――.いま,ここで,きちんと考えることが,私たち一人ひとりに求められています.』
(「岩波書店」サイトより▽)
https://www.iwanami.co.jp/book/b254479.html
冒頭
『まず、一九四五年六月二九日未明の岡山空襲で命を落とされた、公式には一七三七名いらっしゃいます方々のご冥福を、謹んでお祈りいたします。
私はいま七九歳、ずいぶん長いこと生きてきましたが、それでもこの岡山空襲は、いまなお私の人生で最大の出来事です。』
『君が戦争を欲しないならば』
(岩波ブックレット942)
著者:高畑 勲(たかはた いさお)
出版社 : 岩波書店
単行本 : 64ページ
発売日 : 2015/12/4