- Amazon.co.jp ・本 (341ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003109632
作品紹介・あらすじ
「近代の日本文学理解のために、自分の納得の行くような、自分流にではあるが論理的な組織を作ろう」との切実な思いから本書は生まれた。詩人、小説家としての実作上の体験と評論家としての理論上の蓄積-"伊藤理論"の核心はここにある。
感想・レビュー・書評
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小説への疑問(序論として)
理論と実作との距離
内なる声と仮装
環境と創作
日本の場合
放棄と調和
自我の作用
物語りの発想
散文芸術の性格
スタイルの発生
西洋の方法
日本の方法
附随的な推定群
著者:伊藤整(1905-1969、北海道松前町、小説家)
解説:亀井秀雄(1937-、群馬県、日本文学者)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
神になりかわり、おのが時代の精神的秩序を構築しようとするエゴと
それに対する恥の意識から、抑制、解体をおこなう意思があって
ヨーロッパにおける近代小説のスタイルは徐々にできあがっていったのだが
それを模倣する日本では
むしろ仏教的な「文壇」という一種の仙人部落に閉じこもり
俗世を観察しつつ、小説を通じてその思想を大衆にも授けるという
独自のあゆみを遂げることとなったのだった
そのような時代精神の流れを考察するこの論考は
1948年に発表されたもので
戦後文学の理論的な立て直しを図ろうとする気概は見えるものの
一方では、敗戦をなかったことにして戦前と戦後を接続しようという
せこいたくらみが感じられないこともない
実生活との調和、あるいは改革を目指した者として
島崎藤村や白樺派、あとマルクス主義の文学者らを称賛する一方
自殺した太宰治などには、かなり厳しい批判をあびせている -
近代日本小説の畸形性の理解によい本。
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難しいけど、なるほど、と思わせる本。
小説とは、芸術とは何かということが書かれている。 -
2009/12/24図書館で借りる
2010/1/5返却
本書は、すでに解決済みとされている文学上のいくつかの疑問に伊藤整が満足できずにいたため、彼なりにそれらの解決を試みた書物である。
疑問点のいくつかは以下の通り
・自分は小説を読んでなぜ感動したのか
・道徳的な話や美しい話と怖ろしく汚い話と、どちらが本当の小説なのか
・小説は人生の赤裸々な真実を知るためにあるのか、それとも生きる道を学ぶためにあるのか
・人物の多く現れる込み入った話と作者らしい人の孤独な生活の自伝らしいものと、どっちが本当の小説なのか
1.小説への疑問
2.理論と実作との距離
3.内なる声と仮想
4.環境と創作
5.日本の場合
6.放棄と調和
7.自我の作用
8.物語の発想
9.散文形式の性格
10.スタイルの発生
11.西洋の方法
12.日本の方法
13.付随的な推定群 -
<memo>
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私は実はこの方の孫弟子(ていうかどうか正確ではないですが)だったりします。
私の師匠の師匠というだけですが(^_^;)