奴婢訓 他一篇 (岩波文庫 赤 209-2)

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  • Amazon.co.jp ・本 (172ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003220993

作品紹介・あらすじ

〈過ちを叱られた時は、部屋の出がけや階段の途中で、聞こえよがしにぶつぶつ言うこと、冤罪と思わせる効果がある〉——召使の奉公上の処世訓が皮肉たっぷりに説かれた「奴婢訓」。他に当時のアイルランドの貧困処理について述べた激烈な一文を付す。『ガリヴァ旅行記』の作者の逆説に満ちた諷刺を堪能できる味わい深い訳。

感想・レビュー・書評

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  • 18世紀、階級社会真っ只中の英国で書かれた風刺書物。屋敷の奉公人としての心得を説いている。

    曰く、失敗を誤魔化す方法、家事をいかに手を抜くか、酒のおこぼれの預かり方、ご主人から小遣いをもらうには、宿屋での振る舞い方などなど。

    巻末にある、アイルランドを貧困から救う方法は、これまた驚くべき一編。この後に「ガリヴァー旅行記」を読むと、また違った味わいが。

  • 最初は面白かったが、全て同じ語り口調で皮肉っぽいため、途中で読み飽きてしまう。

  • 両作品とも、皮肉というより辛すぎる露悪という感じで気の弱い人間が普通にくつろぐために読むにはかなりハード!

    ただ、17-18世紀にかけての英国、アイルランドの社会や、使用人の役割、当時の風俗、衛生観念や倫理観について知りたいなら風刺であることを前提に興味深く読めるのではないかと思います。
    読むときには、先にP.157からの深町さんの解説とP.163からの略年表を読んでから本編に取り掛かることをお勧めしますね。あとは、イギリスの対アイルランド政策を知っているとよりよい感じ。「奴婢訓」と「アイルランドの貧家の子女がその両親並びに祖国にとっての重荷となることを防止し、かつ社会に対して有用ならしめんことする方法についての私案」であれば先に後者を読むほうをお勧めします。内容や記述はかなり悲惨だけど、2021年時点の日本人の感覚で衛生的に「ぎゃー!」となることはないから。奴婢訓は結構すごい。

    読む人の心を穏やかにするための予習用にwikipediaをリンクしておきます。

    (アイルランドの歴史)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%A4%E3%83%AB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%81%AE%E6%AD%B4%E5%8F%B2

    (スウィフト先生)
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%8A%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%95%E3%83%88

    ネガキャンに見えたら岩波さんには申し訳ないけど、でもこの内容が現代に残っていて、はるばる日本へ渡ってきて和訳されて、出版されているというこの人の営みの尊さ、現代日本の広義での豊かさというものに逆説的に思いを馳せられる貴重な一冊、勇気ある挑戦だと思います。

    こんな辛い風刺を書かざるを得ないような状況に、国や地域を問わず、これからの世の中が陥らないことを祈るばかりです。。。

  • 人を軽んじてはだめだと改めて思った。

  • 皮肉が全体を覆いすぎていて、真偽がつかない。
    日本で言えば、東海道中膝栗毛というところかな。

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