説きふせられて 改版 (岩波文庫 赤 222-3)

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  • Amazon.co.jp ・本 (409ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003222232

作品紹介・あらすじ

愛しながらも周囲に説得されて婚約者と別れたアン。八年の後、思いがけない出会いが彼女を待ち受けていた…興趣ゆたかな南イングランドの自然を舞台に、人生の移ろいと繊細な心のゆらぎがしみじみと描かれる。オースティン最後の作品。

感想・レビュー・書評

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  • 時代は19世紀始め、ジェーン・オースティン描く『説きふせられて』の世界

    8年前
    準男爵の娘と将来性がわからない平民の若者とが恋に落ち、婚約までした
    けれども婚約解消の憂き目にあう
    周囲に反対される理由は相手の経済力が胡乱で、しかも
    社会的地位も釣り合いがとれないとのことなのである

    説得されて独身のまま27歳になったヒロインが
    寂しく、無為の日々を過ごしていたところ
    ひょんなことで元婚約者と再会、またいろいろあって...
    というストーリー

    娘の父親は自分の美貌と社会的地位に虚栄心の塊なのだ
    若いときは水も滴る美青年、54歳のいまでもまだまだ美男子なので
    自分の容貌を鼻に掛けるのは、女性でも珍しいようであり
    自分の社会的地位(準男爵)を有難がるのは、新興貴族の召使いより甚だしい
    とオースティンの筆は辛辣

    「虚栄心の塊」の親を持つと苦労する
    ヒロインは次女だが、長子の姉は父親そっくり美人で気位たかく意地悪、独身
    妹も結婚してはいるが性格悪く、ヒロインの日常は荒涼としている

    しっかりした母親が亡くなると、父と姉の虚栄心浪費で財政逼迫
    広大な家屋敷を貸家にしてしのぐことに相成り
    借り手の海軍軍人妻の弟がヒロインの元婚約者というわけで
    元婚約者との思いがけない出会になるいという皮肉な状況のヒロインであった

    とまあ、ストーリーは進むが
    結婚をめぐる状況の悲喜劇は現在も同じ
    周囲に反対されてというより、自分の思惑で非婚化している現代

    いわく
    経済的の問題
    男女の役割分担の不公平
    そして非婚化したあげくの社会的弊害

    わたしはみな結婚すればいいとは思っていないが
    その非婚化の世界は荒涼としてさびしい厳しいものになる一面もあるだろうに

  • 映画から観て本を読んでいるところ。
    映画美しかった。

    2023418 読了

    ラブロマンス。主人公はアン。周囲の反対で別れた人と8年後に再開。

    主人公が美男美女で賢く性格もいいという前提での物語。ヒガミっぽい兄弟や遺産を狙ういとこが人間らしいのかも。
    にしても22で高慢と偏見をかき、最後の作品で38さいの歳以降にかかれたという。すごい。天才。
    ハラハラした。うまくいかないのではないかと
    思った。アンのような性質の女性に憧れる。

  • 個人的には高慢と偏見の方が好き

  • 粗筋は
    大好きだった人との結婚を周りの反対で諦めたアン、
    何年かぶりにその男性と再会し…

    やっぱりどうしても大好きな
    『高慢と偏見』に出てくる
    ダーシーさんとエリザベスちゃんと比べてしまうのだけれど!

    お相手のウェントワース大佐が割と饒舌でねえ、
    ダーシーさんはほら、寡黙でしたでしょ?
    だからなんかちょっとチャラいと言うとなんだけれど…。

    また、アンさんが可愛いんだけれど、おとなしすぎて、
    エリザベスちゃんのユーモアと機知にとんだ発言が
    懐かしいや。

    とりたててウェントワース大佐が活躍する場面もなく、
    その良さの表現も「気が合う」と言う域を出ず、
    「へー、そうなんだ」と言う心で読み進むのみ。

    ただ、この小説でも
    絶妙に駄目で馬鹿な女のひとが出てきて笑ってしまうのだけれど、

    この「この人しょうもない」と言う評価は現代の日本でも
    もちろん通じるもので、
    こうして国を越え、時も越えて同じ、と言うのがとても面白い。

    オースティンさんの身近にこう言う人がいたのかなあ。

    読後の感想は、
    「また『高慢と偏見』読まなきゃ!」なのでした。

  • 内容はともかく、訳が読みにくくてしかたなかった。オースティンの文の難しさではなくて、日本語としておかしいところがあるような‥言葉の古さも気になりました。原書か他の訳で読み直したいです。

  • 好きだった人と結婚して終わり、とあらすじは退屈そうだけど、この人の小説は読んでみると、主人公(作者?)のドライな人間観察が面白い。

  • 長女エリザベス
    次女アン(主人公)
    末っ子メアリ
    この姉妹の性格の書き分けが、相変わらずジェインオースティンの面目躍如で面白かった。

    美貌と身分(それも上の下?程度の)しか取り柄のない父親に人形感覚で優しい虐待されて尊大に育ってしまった長女。
    ほとんど誰からも顧みられず、愛された記憶もないままに結婚して、実家の家柄だけが頼みの、自尊感情の低い僻みっぽい末娘。
    この二人に挟まれて育った真ん中っ子アン。
    彼女だけが、なぜこの家族の中で比較的まともな性格に育ったのか。
    賢く愛情深い母親が、早くに亡くなったことに関係してるのだろうか。
    長女は父親に溺愛されて母親が介入する隙もなかった故に、2人目のアンには愛情を注ぐことができた、でも3人目のメアリには、あまり時間がなかった。そんな感じか。
    母親亡き後、いろいろと思い込みは激しいけれど善良なラッセル夫人に愛されて育ったことが、アンの少女時代にかなり影響を及ぼしてきた。
    でも30前になって、昔の恋人と再会した時、アンはやっとラッセル夫人の価値観に縛られず、自分の意思で人生を決めることができるようになる。
    ずいぶん時間のかかる親離れ子離れだったなあと思う。

    クロフト提督夫妻やマスグローブ夫妻が、愛情深い素敵な脇役だった。

  • ジェーン・オースティンの書く小説は日常的で大きなドラマでもないんだけど病みつきになるような不思議な魅力がある。「高慢と偏見」に共通して主人公が聡明でサバサバして気持ちが良い。純愛色が強く正統派な恋愛小説。人からの助言を受けても、その通りに行動するかどうかの選択は自分の責任で行うべき、その結果が後悔するものでも助言者を責めることはできない。要は人のせいにすんなと。主人公は聡明とか高潔という言葉がぴったり。

  • 大人しく聡明なアンが不憫でね‥。
    こんなに馬鹿で馬鹿な家族の中で、どうしてアンだけ良い人なのかしら?
    お母さんと似ている、とあったけど、ほとんど記述がないので影響の大きさは不明。
    アンがアッパークロスで、頼られて愛されて穏やかに過ごしている場面が好き。
    大佐がお金持ちになって良かったね、アン!

    解説(署名なかったけど訳者なのかな?)で作者が結構ボロクソに言われてて笑った。
    シェイクスピアと比較するなんて烏滸がましい!(意訳)とかね。
    いいじゃない、家庭小説。私は好きですよ。

  • 一箱古本市

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