- Amazon.co.jp ・本 (214ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003225493
感想・レビュー・書評
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面白い。メインキャラも個性的だが、脇役も癖が強くて笑える。舞台では脇役の方に目がいきそう。
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モームは『月と六ペンス』を読んだときは難解に感じたが、この戯曲は軽妙で読みやすかった。特に「自分のために世界は回っている」タイプの妻ヴィクトリアが強烈だった。2010年の日本公演では松たか子が演じたそうだが、わがままだけでチャーミングで素直なヴィクトリアはきっとハマリ役だったことだろう。
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読みやすい。モームの喜劇。
実際にこういうことは、無くはないんだろうね。
ストーリーは非常にシンプルで、三島由紀夫のレター教室を雑にしたような話。
ストーリーより、むしろ、当時の風物や、法律の隙間を縫うアレコレが興味深い。
ネイリストってこんな時代からいたのね。しかも訪問ネイリスト。愚痴聞きするのが仕事の一部なのも同じ。
不倫の事実を作るため、一晩一緒に過ごすが、ひたすらトランプをするという職業の女性。
しかもこの人ももとは上流階級の女性だとか。未亡人で、子供と老親の面倒をみるためにこの仕事をしているんだ。しかも売れっ子。
戦争で男が一時的にいない、またはたくさん死んでしまうと、女性の社会進出はすすみ、細分化した職業が生まれる不思議。 -
初読
軽妙洒脱。
戯曲を書かせても現代的。
名香智子の漫画の高貴なノンシャランってモームに通づるものがあるな。
フト思ったのだけど、これ、私が小学生〜若い頃の
基本、皆が結婚して、作中にもある通り離婚や未婚もありながら
なんのかんので結婚生活を全うしていく前提の社会だと
こういう一種の「ズレ」が面白いんだろうな、と。
その前提が無くなると「昔の作品って一体何が面白いのかわかんない」
って事になったりするのかなぁと。
ケラさんが松たか子で舞台化してるのね。
約10年前か、タイミングとしてはギリギリだったのかも。
ラストは「おかしな二人」みたいね。 -
戦死したと思っていた夫が、すでに再婚していた夫人のもとに戻って来た喜劇。
二人の夫がお互いに妻を擦り付け合う展開が面白い。百年前のイギリスの皮肉が現代日本でも古くなく、むしろ新鮮でした。 -
小説とは少し違った皮肉な味がある。
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○戦死した夫ウィリアム―その妻ヴィクトリア―新しい夫フレデリック(戦死した夫の親友)という三角関係を面白おかしく描き出した物語です。ドロドロした雰囲気はありませんが、身勝手な女性、自己犠牲を美徳とする精神、当時の離婚制度などなどに対する皮肉をたっぷり込めた描写に面白さがあります。
○ヴィクトリアは自分を「忍耐の権化」といっているけれど、読み進めると全くそうではないことが分かります。とりわけ滑稽だと思ったのは、二人の夫が美しい自己犠牲(という名の面倒な妻の押し付け合い)をみせ、それをヴィクトリアが美しい魂だなんだといって称賛するところです。召使は逃げるし、よほどわがままだったのでしょうか、美女のヴィクトリアさん。
○結局、ヴィクトリアは金持ちの成金と結婚するために「はじめてのお願い」とやらで強引に二人の夫との離婚しようと弁護士を雇います。そんななかでも、彼女が本当に自分を忍耐の権化だと思っている描写がちらほら。そんな彼女に対する作者の答えは、「女に関してとやかくいうのと同じで、まったくむだ(p. 137)」というものだと思います。自分を正当化するのがとってもお上手。
○夫から離婚を求めるには姦通を証明すればよいのに、妻からだと姦通・暴力行為か同居拒否を示さなくてはいけないという離婚制度。ヴィクトリアの雇った弁護士は離婚制度についてこう説明します。あえて不条理な法律を作ることで法律違反を促し、法律家の仕事を確保しているのだと。これは作者の痛烈な批判ではないかと思います。
○皮肉の効いた書きかた、ぼくはとても気に入りました。たとえば、姦通を立証するために雇われたモンモランシーという女性の登場シーンなども好きですね。気高き精神を持つと解説された彼女があれでは。作者は「気高き精神」という言葉が嫌いだったのだろうなと考えたりしました(以上は書き殴り、全然まとまってない!)。 -
1919年、第一次大戦終戦直後にイギリスで人気を博した笑劇。結婚生活や離婚制度を皮肉っている。20世紀の人には面白かっただろうな。
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皮肉の効いた作品はイギリス人にお任せあれ。モームはその点変人だが、すぐれた小説や戯曲を書く人物だ。女性や結婚に対する皮肉の効いた話だが、いかにも女性嫌いのモームらしい。とはいえ、久しぶりに笑える本を読んだ。