20世紀イギリス短篇選 上 (岩波文庫 赤 270-1)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003227015

作品紹介・あらすじ

短篇小説の面白さは人生のある局面を鋭く鮮やかに切りとって見せる、その技の冴えにあるといってよい。そういう実作にこと欠かぬ現代イギリスの傑作短篇から23篇を選りぬいておとどけする。上巻に収めたのはフォースター、ウルフ、ジョイス、ロレンスなど12人の代表作。どの1篇にも短篇の妙味をたっぷり味わうことができる。(全2冊)

感想・レビュー・書評

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  • そしてもちろん、その後読みました、
    「20世紀イギリス短篇集」の上巻。

    立ち読みした時は下巻の方に飛びついた私だったけど…

    読みながらふと気付いたのだけれど、
    この翻訳をされている小野寺さんは
    私の好きなアニータ・ブルックナーを訳しているお方だね?
    道理で惹き込まれる文章だと思った~

    上巻には大好きなモームや
    ヴァージニア・ウルフが収録されている。
    どちらも読んだことある作品だけど、
    やっぱり素晴らしいな。

    自分の好きな作品がこうして別のところ出てくると、
    仲良しの友達と意外な場所で出会ったような
    嬉しい驚きがある。
    そして、こうして好きな作家が選ばれていると
    私まで誇らしい気持ち!
    (ただ好きなだけ、なのですが)

    そして、ウドハウスだけどね、フフフ
    ウドハウスと言えば、ねえ、皆様、
    ジーヴスなわけですが、
    今回の作品(『上の部屋の男』)も馬鹿馬鹿しいんだけれど、
    やっぱり愉快で、そして優しいところがよいですな。

    そして、オルダス・ハックスリーの「ジョコンダの微笑」…
    あ~ぁ、だからあまりモテない人の純情を
    弄ぶと碌なことが無いと言ったでしょうに…
    (モーム「女ごころ」も参照してください!と鼻息荒く)

    ジョイスの「痛ましい事件」、ロレンスの「指ぬき」
    ややや、やはり今目次を見直しても
    逸品揃いの素晴らしい短編集だな。

    下巻より上巻の方が読後しみじみと味わえるものが
    多かったかもしれません。

    この上下巻は当たりの中の大当たり、
    未読の方は是非。

  • 英国の短篇を年代順に纏めたアンソロジー。上巻に収録されているのは、サマセット・モーム、E・M・フォースター、P・G・ウッドハウス、D・H・ロレンス、エリザベス・ボウエン……等々。
    あまり追いかけていない作家も多いので、すべてがそうだとは言い切れないが、収録作はどの作家も『らしい』作品でありながら、『代表作』と言われて思い浮かべるものではない、ややマニアック(?)なセレクトであるように思う。
    サマセット・モーム『ルイーズ』、ヴァージニア・ウルフ『キュー植物園』、エリザベス・ボウエン『幽鬼の恋人』がお気に入り。

  • P・G・ウドハウス『上の部屋の男』
    芸術家たちの素敵で愉快な話。
    ジョイス・ケアリー『脱走』
    イギリス小説は、読みやすい。
    オチは、安部公房の短篇と似ている。
    オルダス・ハックスリー『ジョコンダの微笑』
    長ったらしく、実に下らない内容。
    H・E・ベイツ 『単純な生活』
    何の内容もない作品に思えた。

  • イギリスの作家というとバージニア・ウルフやロレンスの名前だけは聞いたことがあったが読んだことはなかった。(カズオ・イシグロも)
    イギリスの20世紀前半に活躍した著名作家の短編集。イギリス文学をつまんでみるといったところか。個人的には、男と女の話と精神病にまつわる話の場面が多い気がする。第一次世界大戦時の影響か、それとも元来そういうお国柄なのか(?)

  • ▪️キプリング「旅路の果て」
    植民地インドで四人の男が望郷の思いに身を寄せ合う。
    週一のホイストじゃ救われない。
    『インド傑作選』からの一編。

    ▪️アーノルド・ベネット「故郷への手紙」
    船の中で石炭に埋まって死ぬってのはかなりイヤな死に方だ …

    ▪️サマセット・モーム「ルイーズ」
    主人公のゴリ押し感。半端なくていいわあ (≧∇≦)
    いるいる、こういうオバハン…って言われないように自戒を込めて。

    ▪️E・M・フォースター「岩」
    救命のお礼として村人たちに幾ら渡せばいいのか?
    言わば自分の命の値段を問われているわけで、全財産を寄進して文無しなってみせた「彼女の夫」を、語り手は「墓に入る前にも人生の真理を見抜ける人」と評する。

    ▪️P・G・ウッドハウス「上の部屋の男」
    これだけタッチが妙に軽い。
    売れない芸術家同士の「 賢者の贈り物」。
    上手くいかないね〜

    ▪️V・ウルフ「キュー植物園」
    蝸牛目線での植物園案内とでも言いましょうか。
    でも蝸牛に意識ってあるのか⁈

    ▪️ジョイス「痛ましい事件」
    ダブリナーズからの一編。
    同じシチュエーションでも、チェーホフならどう展開したでしょうね。

    ▪️D・H・ロレンス「指ぬき」
    ハネムーン直後に戦争で引き裂かれた夫婦の再開。
    いいタイトルです。

    ▪️ジョイス・ケアリー「脱走」
    家族は俺を必要としていないー
    一歩間違えば、ホーソーンのウェイクフィールドだ(汗)

    ▪️ハクスリー「ジョコンダの微笑」
    病弱な妻を持つ男と飽くまで友情を結びつつ、後釜狙って一服持ったオールドミスの目算は。さすがディサトピアの名手、女の思い込みの恐ろしさをリアルに伝えてくる。

    ▪️エリザベス・ボウエン「幽鬼の恋人」
    昔の恋人との逢瀬の約束を反故にしようとタクシー乗り込んだら…ボウエンはやっぱり怖かった。

    ▪️H・E・ベイツ「単純な生活」
    イギリス庶民生活ってこんなんなのか。ふーん。

  • 「脱走」と「単純な生活」が好き。

  • 270-1 小野寺健編訳 2008年12月20日

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著者プロフィール

1931年横浜生まれ。翻訳家・横浜市立大学名誉教授。おもな訳書に、ドラブル『碾臼』、ロレンス『息子と恋人』、ブルックナー『秋のホテル』、『オーウェル評論集』など多数。2018年没。

「2022年 『インドへの道』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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