ミヒャエル・コールハース チリの地震 他一篇 (岩波文庫 赤416-6)
- 岩波書店 (2024年1月18日発売)
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感想 : 3件
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- Amazon.co.jp ・本 (326ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003241660
感想・レビュー・書評
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明確な歴史的背景をもつ中・短編を三編収録。原文がそもそもかなり特異な文体を駆使しているようで、それを生かすよう腐心した訳文も多分に複雑怪奇をきわめ、読むのにかなり骨がおれた。一行がやたらと長く、改行が少なく、ページ全体が文字でびっしり埋めつくされているため、さほど長い文庫ではないのに読むのに時間がかかること。集中力を要するという点でも、多分に玄人向けの作品と思う。「クライストの文章は副文が多く(……)勝手ににょきにょきと生えていく」とは多和田葉子の言だが、実に言い得て妙と思う。情報がどうつながっているのか、それを解読するのに大変苦労した。
「ミヒャエル・コールハース」:200ページ弱の中編。領主に不当な扱いをうけた馬商人のミヒャエル・コールハースが、法廷に訴えるも権力に阻まれて果たせず、愛妻をなくし、暴徒の領袖となったすえに破滅していくという話。16世紀のザクセンに実在したハンス・コールハースがモデルらしい。
「チリの地震」:1647年のチリの地震を背景にした悲恋の物語。
「サント・ドミンゴでの婚約」:19世紀初頭に起きたハイチ革命を背景としている。
三編とも悲劇というかあまり楽しい気分になるようなものではないが、強烈な印象を残す作品ではある。機会があれば、他の作も読んでみたいと思った。
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