- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003245712
作品紹介・あらすじ
何ごとかを語ろうにも「言葉が腐れ茸のように口のなかで崩れてしまう」思いに、チャンドス卿は詩文の筆を放棄する。-言葉と物とが乖離した現代的状況をいち早くとらえた「チャンドス卿の手紙」こそは、新しい表現を求めて苦悩する20世紀文学の原点である。ホスマンスタールの文学の核心をなす散文作品11篇を精選。
感想・レビュー・書評
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一種の恐怖です。読むと胸が痛くなる。物を書くと云う行為に何らかの執着があると、特に身近に感じられる話だと思います。<br>
今日調べて知りましたが、岩波版も絶版だそうで……。こんな名作が新刊書店では手に入らない状態になるなんて……。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
Gutenbergにあった原文と見比べながら「チャンドス卿の手紙」だけを読む。ちょっと生硬な日本語かな。
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言葉が腐っていく感覚。言葉が安易につかわれていないか。
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気取った言葉で、そのような言葉では捉えられないものをとらえようとしているように思われる。
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言葉を使う者の深淵が詳細に描かれている。時代的、学問的観点を抜きにして楽しみたい。
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ことばで言い表せないことをことばで言い表すことはできるのか、言語表現の葛藤をあらわす「チャンドス卿の手紙」。ホフマンスタール自身は自分のかいたものを読んだのか。「たしかな曖昧さ」、檜山哲彦先生の解説も素晴らしい。こういう作品のいいたいことが自分なりにわかり、親密になってしまうと、それを他者にうまく伝えられなければ、<狂人><変わり者><クスリやってそうなひと>とみなされる。檜山先生のような稠密な知性のおかげで、安心する。おそらく絶版。残念。
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ふだんなじみのない、放り出されたような恐怖感。
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ホフマンスタールはハプスブルク文化の精華を具現した文学者。
「イェーダーマン(万人)」1911年
十五世紀のイギリスの道徳劇「エヴリマン」を範として、死に神の迎えを受けた男の姿を描く。善人でも悪人でもない平凡な男が神の裁きの庭へ向かう時、逃げ出さずに同行してくれたのは彼の「地位」や「金」でなく、業績だけであり、加勢をしてくれたのは「信仰」であったという寓話劇。
「詩についての対話」をまたじっくり読みたい。 -
「ばらの騎士」の作者ホフマンスタールの短篇集。「温柔」「幽艶」「典雅」と評されますが、そのとおりですね。これ、本気で読み直してみますよ。あ、そうだ、「ホフマンスタールじゃなくて、ホーフマンスタールと言ってくれませんかね」って口癖でしたね。