ジャクリーヌと日本人 (岩波文庫 赤 466-1)

  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (141ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003246610

作品紹介・あらすじ

原タイトル: Jacqueline und die Japaner

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  • 音楽家のイェニッケ夫妻は経済的に困窮し、日本人の教授ナカムラに間貸しする。ルードルフは当初この“異邦人”に対しどのように接するべきか困惑し、さらに妻ジャクリーヌがナカムラ及び日本文化にどんどん惹かれていく様が嘆かわしく、怒りすら覚えていく……。
    正直に言って、私にはこのルードルフがよく理解できなかった。彼のジャクリーヌへの愛はややもすると一方的で、自分は彼女のライバル歌手と平気で一夜を共にする。中盤以降、ナカムラへの態度が軟化し、彼と彼の生きてきた文化(またなんとも訳のわからぬ「日本」が描写されていること!)を理解・尊敬し、遂にはそれらを土台にして「仏教的交声曲(カンタータ)」を発表する。これらルードルフの変容について全然描写が足りない。
    ジャクリーヌに関しても、言葉や文化には興味を持ち、一方で日本人という人種への強い偏見も抱いているチグハグさが目立つ。イェニッケ夫妻及び作者の単なる東洋・日本趣味の域を脱していないように感じた。

  • 1920年代、敗戦後のハイパーインフレに苦しみ、やむなく日本人教授ナカムラに間貸しをした、ベルリンのドイツ人夫婦の話。妻が先にナカムラやその友人と親密になり、疎外感に苦しんだ夫だったが、お金を得て日常から逃避する旅に出てからは、夫婦の危機は回避され、夫も日本人と親しく交流できるようになる。ハイデルベルクでの豪華な晩餐の際に、突如日本を壊滅させた地震の悲報がもたらされるが、ナカムラは動揺を隠して客をもてなすのだった。仏教的な無常と苦悩についての悟りが、ナカムラの芯の強さを支えているのだった。残念ながらせっかくの興味深い題材を作者は巧く表現できていないし、訳文も硬く古めかしいため、意味不明だったり不完全燃焼だったりする箇所が少なくない。

  • ラストシーンはイメージしやすい

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