- Amazon.co.jp ・本 (382ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003254554
感想・レビュー・書評
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『居酒屋』の主人公「洗濯女ジェルヴェーズ」の長男であり、『ナナ』の主人公「ナナ」の異父兄である「クロード」が主人公。とはいってもジェルヴェーズもナナもこれには出てこない。幼い頃養子に出されたクロードが画家になり妻をめとり結局ダメダメのまま自死するお話し。クロードのモデルはセザンヌとマネらしいが、若干モネの逸話も入っているように思う。
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私の最も好きな小説。
文学とか芸術とかいうのは、さっぱりワカランくそ高尚なモノなのではなく、痛切に身につまされ共感できる“生涯の親友”なのだということを教えてくれた。
ネガティブなクリエイタータイプの人に、ぜひお勧めしたい。 -
パリ時代のゴッホを思い、再読。当時の画家の苦労と情熱が手に取るように伝わってきた。
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作者であるゾラ自身が、セザンヌをはじめとする画家たちと親交があったため、その経験が存分に活かされていて、19世紀半ば~後半、パリで画家や作家たちがどんな日常を送っていたのかがよく分かる作品。
作中の画家クロードはセザンヌをモデルにしていると聞いて読み始めたのだが、ラストはかなり衝撃的。もちろんこの部分は完全なフィクションのようだが、そのことは別にしても、この作品を読んでいると、画家の苦悩がよく分かる。 -
居酒屋がさほど好きじゃなかったのに、なぜか続けてゾラを読んでしまったわけだが、上巻はとっても明るく話が進む。
若者の情熱、芸術にかける情熱とパワーと輝きが文章全体からにじみ出ている。ゾラ自身が文学に情熱を傾け、親友であったセザンヌの情熱を見てきたからなのだろう。
最初にこの本を読もうと思ったのは、この「セザンヌ」が題材となっているということに興味を持ったから。ゾラとセザンヌは幼い頃からの親友で、共にパリに出てくるが、後に絶交してしまう。その絶交の原因かとうわさされているのがこの小説だ。(女性問題であるなどという説もあるらしい。)そんな下世話な理由で読み始めた小説だったが、彼らの若い日のやり取りにドキドキさせられた。ゾラにとって、セザンヌと過ごした若い日は、本当にきらきらしていたんだろうと思う。なんだか甘酸っぱい、ちょっと物悲しい(もはやそう若くないので)気持ちになった。
大体の筋(というかエンディング)を知っているだけに、今後あまり明るい展開は考えられないけれど、生命力のある力強い文体にひきつけられるので、一気に読んでしまいそう。ゾラの小説の中では、さほど人気があるものではないようなのがとても不思議だ。 -
印象派が好きな人必見!19世紀のフランス美術界を舞台にした小説。作中にはセザンヌやモネ、ルノワールらを思わせるようなキャラクターが登場します。作者は実際にセザンヌの幼なじみであり、印象派を世間の逆風から庇い続けた人でした。この小説の衝撃的な結末が原因でセザンヌはゾラと絶交したという説がありますが、はたして本当にそうでしょうか?真実は闇の中…
食べ物描写に定評のあるゾラですが、この作品も料理が本当に美味しそうで、読んでるとお腹がすいてきます。エイの黒バターソース炒めというのが食べてみたい。 -
創造・制作に関わる全ての熱情と苦悩を書きつくした作品。
窮極を目指して迷走し敗北する主人公と彼をとりまく多種多様の自尊心、野心、疑い、、、
多くの人間は死にこそはしないがクロードと同様の敗北を受け入れて暮らしているのだろう。
ゾラの自伝的傑作。 -
エミールゾラの作品
日本の白樺文学時代と平行してフランスの自然主義文学
当時の日本文学と芸術と比較して読むと何か面白い部分に気づくと思う。 -
2007年7月11日
初めて手にした時は翻訳がどういう訳か気に入らず、読むことを放棄していたが、今回はすんなりと読みに入り込むことができた。水?の授業をきっかけに読んでいるため、所々授業中に出てきた話題などが目に留まり、面白い。ただ芸術家仲間の名前を自分の中で判別し切れていないのが少し残念である。また、もし落ち着いて読む機会があれば(勿論今回それをする気力が湧けばそれに越したことはないが)、パリ市内の地図を見ながら読んでみたいと思う。パリで『L'Œuvre』散策を実際にできたら尚愉快であろう!
まだ上巻を読み終わったばかりであるから、下巻を明日にでもすぐに読み始めたい。