- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003271438
作品紹介・あらすじ
反ファシズム活動の理由で逮捕されたパヴェーゼ(一九〇八‐五〇)が南イタリアの僻村に流刑されたときの体験を色濃く映した自伝的小説。背後は峨々たる山々、眼前は渺々たるイオニア海。村人たちとの穏やかな交流の日々を背景に、流刑囚の孤独な暗い心の裡を描き出す。
感想・レビュー・書評
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実体験を主人公に仮託した自伝小説
反ファシズム活動の罪で
南イタリアの僻村へ移送された
人権を奪われた者の
研ぎ澄まされた感性の開放が静かで美しい
近くて遠い海との間合いが
対人関係の心理を定義しているのか
詩情溢れる物語の構成も
主人公の沈痛な心情に迫っていた詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
訳:河島英昭、原書名:IL CARCERE(Pavese,Cesare)
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なんとなく初期の大江健三郎を思い出した。常に見えない壁に圧迫されているような孤独感とかが。南イタリア僻地の情景や人との関わりの描写がメランコリックに時折きらきら眩く美しくて悲しい。孤独の感染。
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田舎のイタリア男の内実がよくわかる。
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読み始めの感想は暗い灰色の世界観だったのだけれど、時間の経過と村人との交流に伴う自身の孤独から孤高への変化により、仄かな温かさや凛とした強さが感じられた。
それでも、愛情に触れたいのだけれど人を心の奥底から信用出来ない哀しみや寂しさが作品全体から漂ってきていて、それはやはり自身の境遇や恋人とのすれ違いが作品内に色濃く表れているからなのかと思う。 -
パヴェーゼ自身が「流刑」になった時の事を下敷きにして書かれた自伝的小説。流刑になった先で、主人公は大家の娘と肉体関係を持つ。彼女との関係はもう一つの「牢獄」になりつつある事を認めながらも、離れられない…