第二のデモクラテス――戦争の正当原因についての対話 (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003349717

作品紹介・あらすじ

インディオに対する征服戦争は正当である-。ラス・カサス最大の論敵が披瀝する、征服戦争是認論の精髄。布教への途を掃ききよめ、"文明"を持ちこむための戦争は正当であるとする彼の主張を支えたのは、インディオを憎悪・蔑視する同時代の新世界植民者の眼差しであり、先天的奴隷の存在を認めるアリストテレスの理論であった。果たして、征服戦争は是か非か?

感想・レビュー・書評

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  • 「生まれながらにして他人に服従しなければならないような人々は、もし他人の支配を拒否すれば、ほかに方法がない場合、武力で支配されるというものです。博識この上ない哲学者たちの見解によれば、その種の戦争も正当なのです。」(pp.103)

     15世紀当時、スペインは新大陸(中南米)の征服事業をすすめていた。新大陸の先住民(インディオ)たちは、戦争で敗れ、財産は奪われ、奴隷として酷使され、次々と死んでいった。 「非人道的だ」とラス・カサスなどから非難の声があがる中、「スペインの征服事業はキリスト教的に何の非もない」との結論を唱えたのが本著。
     結論ありきで、自分に都合の良い言説(または既往文献の都合の良い解釈)を以て結論の正当性を主張し、反対意見には「不勉強や見識不足」であるとレッテルを貼る。
     こういう論法を多用する人は良くいる。そういう方の考え方の一端を知れたので、有意義な一冊だった。

  • ●解説にて、「「文化的優秀性」を理由に征服戦争を正当化するセプールベダの主張はアリストテレスの『政治学』から導かれたもの」とあるが、「生まれつき愚鈍な人や非人間的で野蛮な習慣に耽る人」といったインディオ観でもって、キリスト教支配を正当化しようという本書の内容は、非常に醜悪かつ反人道的であるとしか捉えることができなかった。かつての植民地支配はこのような思想をも一つの背景に行われていたのか、と色々な意味で驚きだった。

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