- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003358016
作品紹介・あらすじ
スペイン内戦、ノルマンディー上陸作戦、パリ解放、そして最期の日を迎えたインドシナ-。"世界最高の戦争写真家"ロバート・キャパ(一九一三‐五四)が撮影した約七万点のネガから、"戦いの中の光景"を中心に、二三六点を精選して収録。
感想・レビュー・書評
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最も有名な、ノルマンディー上陸作戦のブレた写真の注記。
「暗室の助手は興奮のあまり、ネガを乾かす際に過熱しすぎてフイルムの溶剤を溶かしてしまい、写真を台なしにしてしまった。… 熱でぼやけた写真に付けられたキャプションには、《キャパの手は激しくふるえていた》とあった。」
こうやって伝説は作られる。
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大阪樟蔭女子大学図書館OPAC
https://library.osaka-shoin.ac.jp/opac/volume/652608 -
3月は読んだ本が少ないから写真集でページ数の水増しをしようということで積読の森から引っ張り出してきました(ひどい読書理由)。キャパの写真は東京都写真美術館などで見ることが多く、初見の写真は余りなかったです。有名な(1枚目の)トロツキーと、ノルマンディ上陸作戦の写真、どちらもぶれたりぼけたりなのに、それが一瞬をとらえた良さになっているのが面白いです。今のスマホの写真で、ぶれを良さとして使うことは出来るんだろうかと思ったりします。
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「遂に出た!」と言いたい、伝説のフォトジャーナリスト、ロバート・キャパ(1913~54年)のコンパクトな写真集である。(これまでは大型本しかなかった)
本書に収録されているのは、キャパが20年間に撮影した約7万点のネガから精選された236点で、キャパの名を不動のものにしたスペイン内戦コルドバ戦線の「共和国派民兵の死(崩れ落ちる兵士)」(1936年)、第二次世界大戦ノルマンディー上陸作戦の「上陸するアメリカ軍部隊(第一波攻撃)」(1944年)をはじめ、スペイン内戦、第二次世界大戦、日本の中国侵攻、イスラエル独立戦争、インドシナにおけるフランスの戦争、更に、戦場以外の、1930年代のフランス、1947年のスタインベックとのソ連旅行、1948~50年のイスラエル、ヘミングウェイ、ピカソ、マティス、イングリッド・バーグマンらの肖像写真などである。
私はキャパに強く惹かれる一人であるが、その理由は、一つに、私は戦場や紛争地の現実を写真という媒体で世界に広く知らしめるフォトジャーナリズムに関心があり(沢田教一、山本美香、佐藤和孝、長倉洋海、石川文洋ら多数の著書を読んできた)、その手法への一般の認識を高めるためにキャパが大きな役割を果たしたこと、一つに、私の最も好きな書き手のひとりである沢木耕太郎がキャパに強い共感を寄せていること(『キャパの十字架』、『キャパへの追走』も読んだ)、そして、キャパ当人の人生が劇的でありながら、とても人間臭いものであること(半自伝『ちょっとピンぼけ』に詳しい)によるのだが、様々な意味で魅力に溢れたキャパの作品集が、所蔵しやすいサイズで出版されたのは、何とも嬉しい。
帯にも記載されているが、「世界最高の戦争写真家の思い出に」手元に置きたい一冊である。
(2017年12月了) -
「ロバート・キャパ写真集」岩波文庫、2017年。
▼ICPロバート・キャパ・アーカイブ、というのが編集主体だそうです。ICPとはまさにキャパが作った国際的な写真家の協会だそうですね。それがこうやって文庫本で出るまでには色々あったんだろうなあと思いますが、まずは本として素晴らしいと思います。もちろん点数は限定されるけど、お手頃価格で気軽に買って親しむことが出来る。
▼改めてキャパの代表作?を見るとやっぱりすごいなあと。キャパの仕事を考える上では、
●ファシズムと戦争の時代
●カメラがコンパクトに高機能になった
●キャパという冒険心に富んで、一方で色んなしがらみから「落ち着きどころのない人生」の写真家が欧州に生まれたこと
●スペイン内戦という、「既存の権威が関わりづらいニュース現場」で名を挙げた幸運
などなどの偶然と必然があったと思いますが、
「写真を撮って、いまいちだと思ったなら被写体に近づこう。それでもイマイチなら、もっと近づこう」
という名言の通り、ギミックや表現もあるけれど、被写体への反射と、距離。つまり信頼関係と肉体的な共感度、ですかねえ。
▼そして、「戦場を取る、そのなまなましさ」もすごいんですけれど、
・戦場の悲惨の中での、報道の無力感、自己嫌悪(と同時に噴出する功名心)
*戦争被害にあった一般人の写真や、死体の写真とか。
・悲惨の中でもひとりひとりの被写体が生み出す人間味の、ユーモアと美しさ。
*兵隊と一般人のふれあい。子供たち。兵隊同士のリラックスした瞬間。
・戦争につきものの「正義」の危うさ
*解放後に「敵方に味方した市民をいじめる市民たち」など
そのあたりが、すごく熱く訴えかけてくる。
▼お買い得で素敵な一冊でした。 -
文庫本は手近に置けてよい。
迫力には欠ける。 -
・キャパの生涯にわたっての活動、写真がよく分かる。
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ロバート・キャパ。初めて知りました。
生き生きとした表情からも絶望の表情からも、「命」を感じられる写真ばかりでした。
印象に残ったのは、多くの子どもたちの写真(特に28pツールドフランスを見物する人々)、54p崩れ落ちる兵士、若い兵士たちの笑顔、若い兵士たちの遺体、疲弊しきった表情、戦争に巻き込まれる市民、農民、224p即死したアメリカ軍兵士、友人であるヘミングウェイ、ピカソ、マティス、1954年の日本各地の写真(被写体は子どもが多い)、そしてキャパが撮影した最後の白黒写真。
ボリューム満点の一冊。まさに「冷たいコンポジションではなく、見る者をその状況に招き入れるようなものばかりだ。(307p引用)」 -
キャパの伝記、沢木耕太郎の「キャパの十字架」を読んで、久しぶりに写真集を見たくなって購入。キャパの写真は第三者の視点でいながらも、被写体となっている人間へ寄り添う気持ちが感じられる。
キャパの座右
「きみの写真が十分に良くないとしたら、それはもっと近寄らないからだ」
写真家へのアドバイス
「人々を好きになり、それを相手に知ってもらうこと」