政治学 (岩波文庫 青 604-5)

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  • Amazon.co.jp ・本 (498ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003360453

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  • 人間は互いに協力しながら生きている存在。孤立して生きられない。こうした人間にとってポリスは最高の共同体。人間としての可能性はそこで初めて開花する。人間はポリスの市民として公共の営みに参加する限りにおいて自由であり平等。ポリスを離れれば、人間は人間であり得ない。共同体は個人に先立って存在するもので、そこから切り離された純粋な個人など存在し得ない(cf. 米コミュニタリアニズム)。▼経済活動・宗教・家族は私的な領域(オイコス)。奴隷や女性は私的領域に属する。公共の営みに参加できるのは男性市民の特権。▼人間には序列がある。主人と奴隷の間には平等な関係は一切ない。人間が動物を支配するがごとく、奴隷は支配される。人間は誕生の瞬間から、支配するか・支配されるか運命づけられる。▼統治の目的が私的な利益のとき、僭主制(統治者が1人)・寡頭制(統治者が少数者)・民主制(統治者が多数者)。統治の目的が公的な利益のとき、王制(統治者が1人)・貴族制(統治者が少数者)・ポリティア(統治者が多数者)。▼民主制(デモクラティア)はダメ。自由人の支配は、多数派を占める貧者による支配を意味する。多数派である貧者の決定が法に勝るものになり、貧者による独裁になる。ただ、多数者は一人一人は大した人間でなくても寄り集まれば少数の最優秀者にまさるかもしれない。ある人はある部分を理解し、他の人は他の部分を理解することで、多数者は全体をよく理解できる。富裕層と貧困層の間の(人数が多い)中間層が統治している状態が望ましい。アリストテレス『政治学』

  • 2011/03/20

  • 善き人間になるためにはポリスが必要不可欠であり、この人間本性を実現するための政治的手段に関する考察。

    第一巻では、最高の共同体が国とした上で、その部分たる家の考察が展開されている。第二巻は、プラトンを批判しつつ、理論上の最善の国制、および、優れた国制と考えられている国制を考察している。第三巻では、国制が分類され、第四巻で民主制と寡頭制の変種が扱われる。アリストテレスは、中間的な国制を望ましいと考えながら、第五巻で国制変革の原因とその回避法を探っている。第六巻は、民主制と寡頭制をそれぞれ組織する方法、第七巻は、最善の国の諸条件とそこでの教育方法が論じられており、最後の第八巻で、最善の国での教育方法に触れられている。

    アリストテレスの政治学は、後世に様々な変種をもたらしつつ、初期近代に至るまで政治学のパラダイムとなる。

  • 国家から見た人々を考察したもの。国制が中心となり話が進む。

  • 高等遊民万歳!

    良い国家とはどんなものかというと、人を善くする存在たるべきで、では人を善くするとはどういうことかというと、徳を高めるということで、では徳を高めるとはどういうことかというと、のんびりするということである。

    要するにアリストテレースが何をしたかというと、ソークラテースやプラトーンについて行けなかった現実主義者向けに、彼らの理想を現実方向へ多少ドリルダウンをしている。

  • 拾い読みの状態で停止中……。

  •  時折ふと立ち返りたくなる古典。
     アリストテレスの時代までに、既に今日までの政治体制の基本型は出尽くしている。
     それぞれの体制の利不利について分析されているが、民主主義絶対という現代の病に人類が冒されていない時代になされた思索として既に意義があるのでは。(アリストテレスにも多少の個人的嗜好による偏りを見せもしているが…)
     ポスト現行民主主義を指向する私としては、思索の触媒として有益。

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著者プロフィール

なし

「1997年 『天について』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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