- Amazon.co.jp ・本 (470ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003381113
感想・レビュー・書評
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宗教における、言語で説明できないが、人を恐れさせたり、戦慄させたり、魅せたりするものをヌーメンと名付け、その働きと現実的な意味を伝える。キリスト教の教義によらず、諸宗教にも共通するそのような人間の感情から、宗教の意義を再解釈する。
観念的な理論が多く、途中緊張がゆるんでしまいましたが、大雑把には理解できたと思う。宗教を知るにおいては理解すべき一冊。
13/6/13詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
生きるための古典
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C0166
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岩波文庫
オットー 「 聖なるもの 」
久松英二 訳
「聖なるものの最高啓示=キリスト」のヌミノーゼ、アプリオリ性、予覚能力から、キリスト教の卓越性を論じた本
ヌミノーゼ概念を用いた宗教感情の分析は、宗教の神秘的性格をうまく表現していると思う
*ヌミノーゼは非合理的(心に漠然と感得されるが、言葉で言い表せない)
*ヌミノーゼの要因は「戦慄すべき神秘」と「魅するもの」〜撥ねつけると同時に惹きつけ、脅かすと同時に魅惑する力
著者が示したキリスト教の卓越性は
*キリスト教は、非合理的なヌミノーゼと合理的な要因(倫理性、絶対性、完全性)が加味された複合範疇
*キリストは「ヌーメン的存在」そのもの〜現代のキリスト者も、キリストを「聖なるもの」として予覚する体験が可能
「聖なるもの」に具わるアプリオリ
*合理的観念
*非合理部分(ヌミノーゼ)の諸要因
*合理的・非合理的要因の相互補完的一体性
予覚論
「聖なるもの」としてのキリストの啓示体験が現代においても有効
*予覚=聖なるものが歴史的事象を通して自己表現したもの〜顕外化した聖なるものを 真なるものと認識する能力
*予覚能力を持っているのは、選びれた者だけ〜イエス自身が顕外化した聖なるものとして、弟子から予覚されていた
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本書によって、或る現象を宗教的現象たらしめるものとしてヌミノーゼが概念化された。オットーが分析の対象としているのは主にキリスト教の文書・思想家だが、ヌミノーゼを志向的対象とする構造はその他の宗教にも一般的に妥当すると見なされる。
ぬみのーぜのしょけいきのばんごうづけがしょうじきよくわからない。
やくがいいのかどうかはよくわからない。 -
なかなかおもしろかった。聖なるもの=ヌミノーゼを、単に神学的・宗教学的な観点だけではなく、心理学や哲学(現象学)とも接触しそうなくらいに探究を掘り下げていて、興味深い。
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神学者であり、宗教哲学者であるオットーによるすべての宗教のコアの部分“ヌミノーゼなもの”を著した本。はじめにあくまでキリスト教に帰依した者による著作であることは断っておく。
この本は著作の中に「このカテゴリーは全く特殊であるので、あらゆる根源的な事実もしくは根本事実と同じように、厳密な意味では定義できず、ただ議論されるだけである」とあるように明快な解を与えてくれるわけではない。ただそのものについての理解を助けてくれるものである。そうした意味でこたえだけを欲しい人にはお勧めはしない。またこの著作だけではおそらく何の面白みもないものであろう。そのためこの本は宗教に興味を持っており、なおかつそれらに関わる問いに対するこたえに給している者に読まれてこそ真に意味のある本であろう。