- Amazon.co.jp ・本 (150ページ)
- / ISBN・EAN: 9784003390924
感想・レビュー・書評
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日本で出版されているファラデーの著作といえば『ロウソクの科学』くらいしかしらなかったのですが,岩波文庫から,本書も出ていることを、最近,他の本で知りました。わたしの手元にある本は,岩波創業80年を記念して発行された復刻本です。ただし,文字などはすべて元のママなので,旧漢字体が出てきます。
内容は,ファラデーが1859年12月に行ったクリスマス講演を納めたものです。ちなみに『ロウソクの科学』も,クリスマス講演の一つです。
訳語ではチカラとカタカタになっていたりします。それは,この時代はまだエネルギーという概念がしっかり確立していたとは言えず,しかもファラデーが当時の最先端の科学知識を得ていたわけでもないことから,今では「力」とは呼べないようなものにまで「force」「power」という言葉を使っていたりするので,訳者は,そこは現代の読者にちゃんと読みとってもらうことにして「チカラ」にした,ということでしょう。そのため,当時の臨場感抜群で面白いです。臨場感と言えば,演示実験がすぐに成功しなかったり,時間がかかったりするようなところまでしっかり描かれていて,まるで,クリスマス講演の会場にいるような感じもしました。
今年読んだ本の中でも,お薦めの一冊ですな。もっとも,中学卒業程度の物理学的な知識がないと,ちょっときついですが…。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
語り口が取っ付きにくく今読むべき本ではない
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『ろうそくの科学』で有名なファラデーのクリスマス講演。
万有引力と重力、引力と凝縮力、化学的親和力、熱、電磁気力
といった身近な事柄と巧みな実験によってチカラ(ここでは力、エネルギー、熱などを総称したもの)の作用とその不思議さを魅力的に伝えている。
"力"の講演であるものの重力などに力学的なforceの話に留まらず
化学結合、結晶の形成、光の屈折、熱、化学エネルギー、電気、磁気
にまで話が及び、物理や化学といった枠に捕らわれない自然の魅力を明かしてくれる。
ここまで簡潔に自然の美しさを明らかに出来るのはすごいことだ。