ビヒモス (岩波文庫)

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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003400463

作品紹介・あらすじ

『リヴァイアサン』で知られるホッブズ(一五八八‐一六七九)の政治論はいかに構築されたか。その基盤となる歴史観を示す、著者晩年の代表作。世代の異なる二人の対話形式で一六四〇‐五〇年代のイングランド内戦の経緯をたどり、主権解体と無秩序を分析する。本邦初訳。

感想・レビュー・書評

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    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/708035

  • まだ、リヴァイアサンを通読できていませんが、先にベヒーモスを読んでみました。イングランド内戦の原因と経緯を踏まえて、主権論を検討しようというものと理解しました。

  •  リヴァイアサンのような透徹な理性の輝きは本書にはない。あるのは、ただただ平和への願い、そして王への敬慕の念。ホッブズほどの知性でも、イングランド内戦の背景にある大きな社会の変化を見抜くことはできなかった。しかし、立脚点としての自然権の思想は何よりも強力である。多くの血が無駄に流され、結局はあるべき姿へ戻るしかなったと(ホッブズには思われたのだろう)。不毛な争いを繰り返さないために、自然権を永遠のものとするために、すべての人類はリヴァイアサンを読まなければならないと、ホッブズは確信を強めたに違いない。それは絶対に正しい。

  • 『リヴァイアサン』で知られるトマス・ホッブズの晩年の著作。イングランド内戦を体験した年長者Aとそれに質問や合いの手を入れる若年者Bの対話篇という形式をとっている。イングランド内戦の歴史的経緯を追うといっても、史実を細かく列挙するのとは少し趣を異にしている(というか日付の間違いなどの指摘が訳注などでなされている)。むしろ、イングランド王国が崩壊し、主権の担い手が変遷し、最終的に王政復古によって秩序が回復していく経緯に因果論的説明を加えていくのが本書の主旨だといってよいだろう。その意味で、第一部は、内戦勃発の原因を聖職者集団に求めるあたり、教会の力と国家秩序確立の努力が相反するに至った17世紀の経験を濃縮的に表現している。その後は内戦の経緯をたどりながら、王の処刑、クロムウェルの護民官就任、王政復古といった事件が語り出されていくが、いずれにしても、内戦という最大の悪を現出させた(とホッブズは考える)長老派や議会に対しては非常に手厳しい批評が加えられている。この悪を防ぐためには、誰にでも分かる正義の準則を大学で教えるしかないという主張は、『リヴァイアサン』に対する自負の念を窺わせる。また、「至高の権力」は民兵権であるという本書で度々強調される主張は、ホッブズの主権理論理解の参考にもなるだろう。

  • 内容紹介:
    “主著『リヴァイアサン』で知られるホッブズ(1588―1679)の政治論はいかに構築されたのか。本書は著者晩年の代表作。世代の異なる2人の対話形式で、1640―50年代のイングランド内戦の勃発から王政復古までをたどった同時代史である。主権解体の原因と経過、その後の無秩序の分析に著者の歴史観がうかがえる。本邦初訳。”

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