転換期の大正 (岩波文庫 青 N 126-3)

著者 :
  • 岩波書店
4.13
  • (3)
  • (3)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 75
感想 : 7
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (400ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784003812631

作品紹介・あらすじ

「民衆政治家」大隈重信が政界に復帰し組閣した時点から、憲政擁護運動を経て加藤高明内閣が成立し政党内閣の時代の幕が開けるまでの10年間の政治史。内政・外交・思想・社会の動向を広く概観しながら、明治国家からの大きな転換期にあった大正期を描く。臨場感あふれる資料によってなされる政治家たちの人物描写も興味深い。(解説=五百旗頭薫)

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 恥ずかしながら読む前は関東大震災と普選のイメージしかなかったが、この本を読んでそこそこ視野が広がったように感じる。

  • 1914年の第2次大隈重信内閣から24年の加藤高明内閣まで。いわゆる大正デモクラシー真っただ中のはずなのに、叙述が全体として暗いのは、政党政治への不信感を伝える資料が全体に張り巡らされているからだろう。

    ちなみに、本書はもともと東京大学出版会「日本近代史体系」全8巻の1冊で、このシリーズで他に刊行されたのは、石田雄『破局と平和』だけとのこと。大学紛争の時期と重なっているとはいえ、何とも貴族的な話だなぁと、逆に感心してしまった。

  • 東2法経図・6F開架:312.1A/O36t//K

  • 大正1912*******

    西園寺公望②。シベリア複線化・韓国併合・辛亥革命で東アジアが不安定化、前線である朝鮮に二個師団を増やして欲しいと陸軍が要望。西園寺は財政難(日露戦争の戦費)から拒否。怒った陸相・上原勇作が辞任。陸海相は現役の大将でないといけないルールなので代わりがいない。内閣つぶれる。

    桂太郎(長州・陸)③。藩閥が政治を牛耳るな・憲法による政治をしろ。天皇の内大臣は首相になれないルールなのに内大臣の桂太郎が首相になったのはおかしい(第一次護憲1912 ・尾崎行雄・犬養毅)。民衆デモで桂太郎内閣が2か月で倒れる(大正政変1913)。

    山本権兵衛①(薩摩・海)。首相は藩閥だが、大臣は与党(政友会)から。陸海相は現役の大将でなくてもよいと改正。海軍が独シーメンス商会から賄賂を受け取ったのが発覚して辞職。

    大隈重信②。40年ぶりに政界復帰76歳。外相・加藤高明(袁世凱に21か条要求をのませる1915)。統治している朝鮮に二個師団の増設が決まる。

    寺内正毅まさたけ(長州・陸・元朝鮮総督)。袁世凱の死後1916、中国は軍閥が群雄割拠。その内の1つ段祺瑞グループを日本は支援。西原亀三かめぞう(寺内の側近)を通じてお金を援助。しかし段祺瑞は競争に負け、お金は無駄に。▼ロシアが社会主義国になり、日米が歩み寄る。日本は中国、アメリカはフィリピンの権益をお互いに承認(石井・ランシング協定1917)。▼ロシア革命1917で混乱するロシアに干渉するため出兵(シベリア出兵1918)。戦争になると米の値段が上がる、米を買い占め、売らずに保管しておき、米の値段が上がってから売って儲けようとする米屋。米屋が全国で襲撃される。

    原敬(〇政友会)。立憲政友会(原敬)が第一党。首相は原敬、大臣も政友会。朝鮮で三一独立運動・ヴェルサイユ・五四運動(1919)。第1次が終り、欧の生産が復活、日本のモノが売れなくなり不況に。解雇された労働者の不満が高まる。原敬が刺殺される(東京駅南口)。

    高橋是清(〇政友会)。ワシントン会議1922(全権 加藤友三郎・幣原喜重郎)

    加藤友三郎(〇政友会)。シベリア撤兵。病死。

    横浜東京で大地震1923。山本権兵衛② (挙国一致内閣)。社会主義者が裕仁ひろひと親王を襲撃(虎ノ門事件)、責任をとって辞職。

    清浦圭吾(×政党内閣を否認・貴族中心の内閣) → 第二次護憲1924

    加藤高明(●憲政会)。元・駐英大使。親英。外相・幣原喜重郎がソ連と国交を樹立(1925)。25歳以上の男子なら誰でも投票できるように(普通選挙法1925)。共産主義者の活動を制限(治安維持法1925)。

    昭和1926*******

    若槻礼次郎①(●憲政会)。蒋介石の北伐に干渉しない幣原協調外交。▼片岡直温なおはる大蔵大臣、東京渡辺銀行が破綻してないのに、破綻したと失言。預金者が預金を引き出そうと銀行に殺到し、本当に破綻してしまった(昭和金融恐慌1927)。日本政府の運営する台湾銀行が鈴木商店(砂糖の貿易商)に担保なしで金を貸しており、鈴木商店が倒産して台湾銀行が大損。台湾銀行は休業に。若槻内閣は台湾銀行を助けようとするも、若槻内閣の協調外交(幣原)が気に食わなかった枢密院がこれを拒否。内閣は瓦解。

    田中義一ぎいち(〇政友会)。日銀が台湾銀行にお金を貸し出して救済、国内の銀行についても支払いを3週間猶予(高橋是清・昭和金融恐慌を鎮静化)。小さい銀行はやばいかもということになり、合併統合が進み、巨大な5つの銀行が力を持つように。▼日本の利権を持っていた山東省に兵を送る1927。日本が支援していた張作霖が蒋介石に敗れ、日本が支配していた満州に戻ろうとしたため、邪魔なので列車ごと爆破して殺害1928。国内世論や天皇から批判が相次ぎ、内閣は瓦解。

    浜口雄幸おさち(●民政党)。欧は第一次大戦で大量のキャッシュが必要になり、ゴールド保有量に関係なく、キャッシュを刷りたいので金本位制を一時的に停止していた。第一次大戦が終わり金本位制に復帰。日本も固定相場で貿易をしやすくして輸出を増やそうと金本位に復帰1930。世界恐慌1929の影響をもろに受けてしまう。井上準之助(蔵相)が支出を抑えてしまい物価が下がる。生糸輸出が激減し、中小企業・農家が没落(昭和恐慌)。▼幣原協調外交(ロンドン海軍軍縮)に海軍が猛反発。浜口雄幸が東京駅で銃撃され内閣瓦解。

    若槻礼次郎②(●民政党)。奉天郊外で南満州鉄道が爆破される。若槻は沈静化させろと言うが無視される。

    犬養毅(〇政友会)。高橋是清(世界恐慌デフレを鎮静化)。犬養毅が暗殺される(五・一五1932)。政党内閣が途絶える。 

    ********************
    三菱商会/財閥。大隈重信。加藤高明(岩崎弥太郎は長女と結婚)


    〇立憲政友会。伊藤博文。西園寺公望。原敬。
    ●立憲同志会=憲政会=立憲民政党。桂太郎。加藤高明。若槻礼次郎。

    *****************
    明治1868
    大正1912
    昭和1926

    第1次、英独開戦の直後。欧米列強は戦争中に中国の利権を日本に奪われることを恐れた。そこで、欧米列強は日本との同盟を提議し、自分たちの利権を守ろうとした(仏・露)。

  • 本論を深掘りした注釈の分量が多く、本論だけを追うなら厚みの割にはスラスラと読めた

  • 第1章 第一次世界戦争の勃発(「民衆政治家」の復活;参戦と「二一ヵ条要求」;元老・大隈・世論)
    第2章 大戦の波動と対応(超然内閣の再現と諸政党;ロシア革命とシベリア出兵;時代転換の兆し)
    第3章 「世界の改造」とわが国(パリ平和会議;高揚する国内不安;普選運動の挫折とその前後;政党政治の実態)
    第4章 相対的安定への過程(ワシントン会議;「中間内閣」の季節;護憲運動とその勝利)

    著者:岡義武(1902-1990、千代田区、政治学)

  • 読むのがしんどくなってきた。岡義武は多産だな。

全7件中 1 - 7件を表示

岡義武の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×