水俣病 (岩波新書 青版 B-113)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (244ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004111139

感想・レビュー・書評

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  • <要旨>
    水俣病の発見、行政・企業のずさんな対応、医学者の努力と葛藤など、多角的な観点から水俣病を記している。

    <感想>
    水俣病は経済至上主義がもとらした日本社会の病理とも言える。
    しかし、経済至上主義はいまだ日本社会にはびこっているようにも思える
    公害は一度発生すると被害救済は甚だ困難である(チェルノブイリなどの原発事故がまさにその証左)。唯一取るべきは、予防につきる。

  • 金大生のための読書案内で展示していた図書です。
    ▼先生の推薦文はこちら
    https://library.kanazawa-u.ac.jp/?page_id=39376

    ▼金沢大学附属図書館の所蔵情報
    http://www1.lib.kanazawa-u.ac.jp/recordID/catalog.bib/BN00476888

  • 【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
    https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/58157

  • 原田正純さん、最初の著書。初版からちょうど10年後、学生だった私は、とある古本屋でこの本と出会いました。水俣病は教科書の中で知っていたことでしたが、それが現実であることを思い知らせてくれた1冊でした。私の、「いま」につながる、大事な大事な1冊です。

  • 名著。
    すべての人に読んでもらいたい。50年経っても全く古さを感じない。
    被害者認定のしかた、長期微量摂取患者や遅発性発症者への対応、医学・科学の立つべき位置、等々、現在の福島原発事件においても共通のものであるし、加害企業や政府の対応は残念ながら何も変わっていない。

  • 【電子ブックへのリンク先】※スマホ・読上版です!

    https://elib.maruzen.co.jp/elib/html/BookDetail/Id/3000085072

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  • 水俣病についての解説。まだ全然解決に至ってない段階の本であるが、問題点がうまく整理されているように感じた。

  • (2016.09.11読了)(2014.08.26購入)(2011.04.26・第45刷)

    【目次】
    はじめに
    Ⅰ 水俣病の発生
    Ⅱ 原因物質を追う
    Ⅲ 水銀をつきとめる
    Ⅳ 胎児性水俣病
    Ⅴ 一酸化炭素中毒
    Ⅵ 新潟水俣病の発生
    Ⅶ 公害病認定から訴訟へ
    Ⅷ 水俣病の全貌の解明にのり出す
    Ⅸ 隠れ水俣病
    Ⅹ 水俣病は終わっていない
    あとがき
    参考文献

    (amazonより)
    公害病の中でも大規模で最も悲惨なものの一つ、水俣病。苦痛に絶叫しながら亡くなった人々や胎児性患者のことは世界的にも知られているが、有機水銀によるこの環境破壊の恐るべき全貌は、いまだに探りつくされてはいない。長年患者を診察してその実態の解明にとりくんできた一医学者の体験と反省は、貴重な教訓に満ちている。

  •  水俣病が公害問題であることは周知の事実である。が、その病状の悲惨さを知り、その病気がもたらす悲惨さを知っているかとなると、私のようにあまり知らないという人も多いと思う。そこでおすすめしたいのが本書である。

     なぜ彼らは苦しまなければならなかったのか。企業や行政、そして医学者は患者に対してなにをしたのか。そこに含まれる社会の不条理を、患者の悲惨さをドラマチックに強調することによってではなく、あくまで事実に基づいて冷静に記述している。

     工場排水との因果関係を把握しながらひた隠しにした企業。原因物質が明らかではないとして漁獲を禁止しなかった行政。魚無しの生活は有り得ないとして水銀まみれの魚を食べ続けた住人。水俣病発生の背景を考えただけでも、そこには様々な問題がある。

     さらに本書は、医学者である筆者自身への自戒も込められている。昭和35年に問題は解決したとして、水俣の実態を追跡することを怠った行政と医学者。問題は解決したとされてからも、「隠れた」あるいは「隠された」水俣病が蔓延していたのである。

    最初に「その病状の悲惨さを知り、その病気がもたらす悲惨さを知っているか」と書いたが、現地を訪れその病状の悲惨さに理解を深めていた医学者でさえ、その病気が社会的にどういう意味を持ち、どういう悲惨さをもたらすかということは、十分には知らなかったのである。

     多くの「隠れ水俣病」患者らは、工場排水と病状の因果関係を認められず、そのまま泣き寝入りすることを強いられていた。そのような状況下で書かれた本書には、水俣病がもつ問題の根深さと、その認定をめぐる不条理な実態が描かれている。

     本書を読んだ人は、水俣病という問題が過去の出来事ではないことにかならず気がつくと思う。それは、企業や行政、医学、市民、といったさまざまな存在を取り巻く社会というものがつねに抱えうる病理なのである。

     科学技術の進歩めざましい現代にこそ顧みることが必要な一冊だ、と、強い言葉でおすすめしたい。

  • 水俣の裁判の場合は、企業に過失があったかどうかということがいちばん大きな争点であること、水俣病の発生から実に15年も経って、はじめて「水俣市報」で水俣病認定申請手続の広報がなされたことに驚かざるを得ない。とにかく日本という国は責任を取ろうとしない。実際に起こってしまったことに対して、被害者が納得できる責任の取り方は事実上まず無理ではあるのだが、起こしたことの非は認めて謝罪することはできるはずだ。

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著者プロフィール

1934年鹿児島県生まれ。熊本大学助教授を経て1999年より熊本学園大学教授。胎児生水俣病、三池一酸化炭素中毒、カネミ油症など社会医学的研究を行う。また世界各地の水銀汚染や砒素中毒を調査。著書に『水俣病』、『水俣が映す世界』、『水俣学研究序説』ほか多数。日本精神神経学会賞、大佛次郎賞、アジア太平洋環境賞など受賞。

「2009年 『宝子たち 胎児性水俣病に学んだ50年』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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