玄奘三蔵 (岩波新書 青版 D-50) (岩波新書 青版 105)

著者 :
  • 岩波書店
3.00
  • (0)
  • (2)
  • (3)
  • (0)
  • (1)
本棚登録 : 21
感想 : 2
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004130505

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  •  最近聴き始めたpodcast番組で「玄奘三蔵」の解説をしていて、その人物と業績に興味を持ちました。
     「大唐西域記」にトライしようかとも思ったのですが、まずは「玄奘」その人に焦点をあてた新書レベルで様子をみようと手に取った本です。
     仏法のみならず諸学を極めた卓越した知力、そしてどこまでも根源に迫ろうとする探求心、それを行動にまで導く強靭な意思。ともかく、“途轍もない人” ですね、玄奘という人は。

  •  AMAZONで三蔵法師に関する書籍を検索していたら、こんな古い本が安値で出ていた。いつのものかと見ると、
    ・昭和27年(1952年)第1刷発行
    ・昭和33年(1958年)第12刷発行
    岩波新書であるがオビがしっかり残っていて、それには定価が「¥100」とゴシック体で印刷されていた。また、漢字は旧字体で、まるで台湾か香港で用いられている繁体字を見ているようである。例えば、
    史実→史實、発行→發行、精励→精勵、礼拝→禮拝
    といった具合である。

     玄奘は帰国して間もなく、その旅行中の見聞を詳しく書いた「大塔西域記」を著した。それをもとに弟子の慧立が玄奘没後に「大慈恩寺三蔵法師傳」を編んでおり、そのうちの前半部分の現代語訳が講談社学術文庫から出ている。既にこれは読んでいるので、今回の書はこれとの比較になる。

     慧立版は非常に詳細で注釈も多く原本に忠実なのであろうが、国名や人名が頻出し煩雑で大変読みづらい印象をもった。こちら前嶋氏の書は口語的で、サブタイトルに「史實西遊記」としているように、物語風に書きすすめられており、旧漢字を除けば楽しく読むことができた。慧立のよりもずっと読み易かった。現代の漢字遣いにすれば十分に今の若い人たちにも読んでもらえると思う。

     読み終えてみると、玄奘という人の意志の強さに改めて感動した。かつてこんなにも意志が強く、行動的で頭脳明晰な人が存在したということに驚く。

     本書には中国の概念図1ページ分のほか、インドにおける玄奘の行程図が折りたたみで1枚あるだけだ。紀行文の要素が強いだけに、地図がないのが今一つ物足りなかった。

全2件中 1 - 2件を表示

著者プロフィール

1903年生まれ。東京大学文学部東洋史学科を卒業。1940年満鉄東亜経済局に入り、厖大なイスラム文献を自由にする機会を得る。慶応大学名誉教授。著書多数。主要訳書に『アラビアン・ナイト』などがある。

「2023年 『三大陸周遊記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

前嶋信次の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×