ゴッホ 星への旅 (岩波新書 新赤版 73)

著者 : 藤村信

• 岩波書店 (1989年6月20日発売)

作品紹介・あらすじ

誰にも認められず、鉄格子の中に閉じ込められても、ゴッホの創作意欲が衰えることはなかった。しかし弟テオへの書きかけの手紙を残し、黄金の穂が燃え盛る麦畑で突然自らの命を断つ。彼が探し続けた「星」とは何であったのか。人間ゴッホの生きざまが、今それを明らかにする。

感想・レビュー・書評

[キじばと。。さんの感想 · 2015年1月3日]

下巻では、ゴーギャンと別れ、みずからの耳を切り落とす事件を起こしてアルルの地から退去することを余儀なくされたゴッホが移り住むことになったサンレミ養寮所時代と、狂気の淵に落ち込んでみずから命を断つことになったオヴェール時代が描かれます。

ときにゴッホ本人の視点に仮託して文章が綴られており、客観的な評伝からは少し逸脱してしまいますが、「星」を求めたゴッホという人生を一編の美しいドラマとして描くことに成功しているのではないかと思います。

[0107springsteenさんの感想 · 2017年7月22日]

急にヴァンサンの語りになってみたりと作者の冷静さが著しく欠如していて書籍として大減点、違和感ありありですもん。
まぁそれはそれとして、本作も生前評価されず説に立った構成です。どうやら現実には必ずしもそうとは言えないというのが現在の説になりつつあるらしいですが、テオの死を見るに実際は苦しかったんだろう。ヴァンサンの義妹への愛溢れる手紙も良いと思いましたが、やはり最初は打算があったかもしれないけれどもテオの献身はあまりに切なすぎます。

[nakaizawaさんの感想 · 2013年7月27日]

(1998.06.01読了)(1989.06.20購入)
（「BOOK」データベースより）amazon
誰にも認められず、鉄格子の中に閉じ込められても、ゴッホの創作意欲が衰えることはなかった。しかし弟テオへの書きかけの手紙を残し、黄金の穂が燃え盛る麦畑で突然自らの命を断つ。彼が探し続けた「星」とは何であったのか。人間ゴッホの生きざまが、今それを明らかにする。

☆関連図書(既読)
「ゴッホの手紙(上) ベルナール宛」ゴッホ著・硲伊之助訳、岩波文庫、1955.01.05
「ゴッホの手紙(中)」ゴッホ著・硲伊之助訳、岩波文庫、1961.05.05
「ゴッホの手紙(下)」ゴッホ著・硲伊之助訳、岩波文庫、1970.03.16
「ゴッホ 星への旅(上)」藤村信著、岩波新書、1989.05.22

[kaizenさんの感想 · 2012年10月8日]

フランス読みでヴァンサン（オランダ読みだとフィンセント）の弟テオとの往復書簡を読んでも，いまいちピンと来ないところがあった。

星への旅とは、亡くなることを指している。

いろいろ貴重な資料をもとに、画家の最後の数年を、過去と結びつけながら紐解いている。

作品を眺め，書簡を読むのにともて役立つ。
上ではアルル時代を描写している。
下では、サンレミ，オヴェール時代を描写している。
最後に親族、関係者の概要を説明している。