信州に上医あり: 若月俊一と佐久病院 (岩波新書 新赤版 320)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303206

感想・レビュー・書評

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  •  作家南木佳士の勤務する病院の戦後の中興の祖とする若月俊一の医療にかける姿勢を佐久病院の発展を著述したノンフィクション。戦後小さな病院が1000床を超える巨大な病院に発展し地域医療と専門病院として発展していく中での矛盾を、東大出のマルキストであった若月先生の現実主義者としての面と患者に寄り添う医者と地域医療を担う経営者管理者院長という職務で運営した顔をプラス面だけでなくマイナスの事柄も率直に南木佳士は書いている。
     マルクスボーイとしてロマンティストな面と医者科学者の冷静な客観的な目を持つ若月先生のスケールの大きさが感じられる。
     南木佳士は咲く病院に勤務したからこそ作家になれたと、患者に寄り添う視線が養われたと書いている。

  •  古本を取り寄せて読んでみた。
     2025年問題(団塊の世代が後期高齢者(75歳以上)になり介護・医療の需要が増加)の対策のひとつとして医師数を増やそうと医学部定員を増やしている。
     医師を志す若者にはさまざまな思いがあるだろう。若者が本著を手にし、若月俊一医師の生き様がその志のひとつのきっかけになればと思う。当時と比べ現在、生活の質は格段によくなっている。だが、ひとや地域へ貢献しようという思いで国家資格の取得を目指してほしいと思う。

  • S/289/N26
    【佐久の医療とケアの歴史/The History of Saku Community Health Care System】

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BN10207645

  • 佐久総合病院の院長として農村医療に尽くした若月俊一の評伝.著者は同病院の勤務医なので,若月は上司になる.それにも関わらずかなり冷静にフェアに書かれているという印象をうける.
    私は著者つながりで読んだけれど,医学生とかが読むといろいろ考えさせられるところがあるのではないか.

  • 内容も文体も心掴まれる。佐久総合病院の変遷と農村医学に尽力した若月先生の話。医療普及と健診の重要性について。医師の在り方について、様々な面から考えさせられる。

  • 友人に勧められて。

  • [ 内容 ]
    すぐれた医者は病人のみならず地域社会や国の病をも治す。
    寒村の小さな診療所にはじまり、いまでは全国に知られる佐久総合病院。
    そこに敗戦直前に赴任し、「農民とともに」を合言葉に農村医療を実践してきた若月俊一。
    医師として、作家として人間の生と死を見つめてきた著者が、波瀾に満ちた信念の医師の半生をたどり、真の医療のあり方を問う。

    [ 目次 ]
    第1章 若月俊一との出会い
    第2章 若月俊一の生い立ち
    第3章 波乱の東大医学部時代
    第4章 佐久病院に赴任する
    第5章 佐久病院の発展と若月批判
    第6章 高度経済成長の中で
    第7章 佐久病院の充実期と今
    第8章 佐久病院と私

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 適当に手に取ったこの1冊・・・

    地域医療、農村医療の元祖の志と行動を垣間見た気がしたなあ。
    要は「住民のニーズに答え続ける」ということかなあ。

    あとこの小説を読むことで「昭和」という時代がなんとなくつかめるような、少なくともきっかけがつかめるような気がした。第二次世界大戦、共産主義、経済成長・・・
    人を追うのには時代も追わねばならんのだなあと感じるなあ。

  • へき地医療とは

    加計呂麻島での医療を思い出そう
    日本にはあういう医療もあるのだ

    もう一生目にすることはないかもしれない
    しかし忘れてはいけない!
    2009年夏、僕が経験したのは
    加計呂麻の豊かな自然、綺麗な海、すばらしい森。

    だけで終わってはいけない!!

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著者プロフィール

南木佳士(なぎ けいし)
1951年、群馬県に生まれる。東京都立国立高等学校、秋田大学医学部卒業。佐久総合病院に勤務し、現在、長野県佐久市に住む。1981年、内科医として難民救援医療団に加わり、タイ・カンボジア国境に赴き、同地で「破水」の第五十三回文學界新人賞受賞を知る。1989年「ダイヤモンドダスト」で第百回芥川賞受賞。2008年『草すべり その他の短篇』で第三十六回泉鏡花文学賞を、翌年、同作品で芸術選奨文部科学大臣賞を受賞する。ほか主な作品に『阿弥陀堂だより』、『医学生』、『山中静夫氏の尊厳死』、『海へ』、『冬物語』、『トラや』などがある。とりわけ『阿弥陀堂だより』は映画化され静かなブームを巻き起こしたが、『山中静夫氏の尊厳死』もまた映画化され、2020年2月より全国の映画館で上映中。

「2020年 『根に帰る落葉は』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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