現代史を学ぶ (岩波新書 新赤版 394)

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  • Amazon.co.jp ・本 (254ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004303947

感想・レビュー・書評

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  • 著名なロシア現代史が1995年に著した現代史入門。現代史の入門ではなく、現代史研究のための入門で、テーマの設定方法、史料の扱い方、文章化の作法などが、自身の回想を交えつつ論じられた本。歴史研究者がどのようなことを考えがら研究をしているのかが窺える。著者は『歴史とは何か』のE.H.カーの薫陶を直接受けた方で、カーとのエピソードは貴重な証言でもある。

    本書が刊行されたソ連崩壊間もない時期は、「もうロシア現代史など研究しても仕方がない」という雰囲気も強かったそうだ。こうした悪環境だからこそ、歴史学の意義を伝えたいという、著者の熱意が伝わってくる。

  •  世界史の知識が殆ど残ってないため、著者の専門である現代ロシア史研究に関する記述は正確には把握していないが、現代史を学ぶことの意義とその限界について学ぶことができた。
     著者が研究上での方法と心構えの述べている部分は、歴史学研究だけでなく、人文社会科学全般に対して有用であるように思う。

  • ソ連崩壊から数年後に書かれた本。ソヴィエト研究者なので、当然ながら共産圏崩壊について高い問題意識で書いている。
    ただ、視点がひたすらにソ連に向いているので、そこに興味がないとはげしくつまらない。
    もっと普遍的な内容だと良かったのに。

  • 現代史の研究方法を学ぼうと思って読んだが、あまりに著者の専攻分野であるソ連についての例が多かった。

  • 【未読】ゼミテキスト用

  •  東大法学部(現・法学政治学研究科)の塩川伸明氏の師匠にあたり、ソ連政治史の大家である渓内氏がソ連崩壊後に現代史を学ぶ事の重要性及びその手順(問題設定、テーマ選定、資料の調査、文章化)などについて自身の経験及びソ連政治史というフィールド、そして何よりもカーの『歴史とは何か』とリンクする形でまとめたもの。
     方法論や現代史研究の手順について筆者の経験をまとめている点、またそれをソ連政治史という文脈で例示してくる点は、ロシアを研究している俺には参考になったが、後者に関しては一般読者には馴染みにくいかもしれない。
     一つだけ気になるのは、戦前生まれの筆者の思想的な立場が、ソ連正統主義的なイデオロギーに元々近かったという(筆者はあくまでも研究の方法論としての立場であると述べている)事もあり、そのせいか、それともソ連崩壊後にソ連研究家に痛烈な社会的、学術的な批判及び無用論が展開されたせいか、仮想敵ともいうようなものを設定し、時に痛烈に批判、反撃しているような文章も見られ、読んでいてしつこく感じられた。我々のような冷戦後の世代に言われたくないだろうが・・・。

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