- Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004306764
感想・レビュー・書評
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王陵の考古学
都出比呂志
岩波新書
ISBN4-00-430676-0
2006年6月20日 第一刷発行
https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/0/4306760.html -
日本や朝鮮半島の古墳、中国の始皇陵やエジプトのピラミッドなど、強大な権力者の遺産を紹介・解説・比較する。前半部は、世界各地に点在する王陵の形式上の紹介で、意外な地域にも大きな墓があるものだと感心する。一通りの王陵の事例紹介のあとに、時代も場所も違う各国の王陵の比較と、その共通性を考察する興味深い論旨が展開される。墓陵が巨大化するのは、国家体制の萌芽期に多く見られ、王自身が神格化される時代に重なるという。そして、国家が安定成熟するにつれ、権力者の葬祭も落ち着いていくのが、洋の東西を問わない普遍性のようだ。その考えを発展させると、徳川家康を祀った日光東照宮や毛沢東記念館も広義の王陵だと著者は述べている。なるほど。
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都出氏の本は以前に何冊か読んだことがあるが、流れるように読める。今回も会社の行き帰りにあっという間に読めた。
王陵を記念碑としての意味合いを見出し、洋の東西で比較している点がとても面白い。日本史だけでなく、世界史も理解しながら読めるので、楽しかった。
私は建築に関する図面を見て三次元的にイメージすることが好きだが、この本はぴったりだ。王陵の平面図や横穴式の場合には深さの図面があり、どんな風に当時の人が作ったのか、イメージを膨らませることができた。かなうなら、それら(歴史上の大きなモニュメント)の復元が一堂に会する展覧会が開催されるとうれしい。