王陵の考古学 (岩波新書 新赤版 676)

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  • Amazon.co.jp ・本 (197ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004306764

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  • 世界各地の王陵(モニュメント性、祭祀性、中央集権性、神格性を兼有)の異同を比較し、王陵の持つ歴史的意義の共通項を解明しようとする。中国、日本、朝鮮半島等中国周辺地域、エジプト、ギリシャ・ヨーロッパを検討。マチュピチュその他の中南米は検討不足。また、このような王陵ができなかった理由(王と神の分離/中央集権性や多数者への支配が不全/人口密度が疎/富の顕著な偏在がない?)と、王陵不成立の地域解説が不充分か(特にインド)。とはいえ、世界各地の史的展開の共通性と異質性を、巨視的に看取するには良。簡明だし。
    6章とあとがきで著者の結論は明快に書かれている。2000年刊行。著者は大阪大学大学院文学研究科教授。

  • 王陵の考古学
    都出比呂志
    岩波新書
    ISBN4-00-430676-0
    2006年6月20日 第一刷発行
    https://www.iwanami.co.jp/.BOOKS/43/0/4306760.html

  • 日本や朝鮮半島の古墳、中国の始皇陵やエジプトのピラミッドなど、強大な権力者の遺産を紹介・解説・比較する。前半部は、世界各地に点在する王陵の形式上の紹介で、意外な地域にも大きな墓があるものだと感心する。一通りの王陵の事例紹介のあとに、時代も場所も違う各国の王陵の比較と、その共通性を考察する興味深い論旨が展開される。墓陵が巨大化するのは、国家体制の萌芽期に多く見られ、王自身が神格化される時代に重なるという。そして、国家が安定成熟するにつれ、権力者の葬祭も落ち着いていくのが、洋の東西を問わない普遍性のようだ。その考えを発展させると、徳川家康を祀った日光東照宮や毛沢東記念館も広義の王陵だと著者は述べている。なるほど。

  • 都出氏の本は以前に何冊か読んだことがあるが、流れるように読める。今回も会社の行き帰りにあっという間に読めた。

    王陵を記念碑としての意味合いを見出し、洋の東西で比較している点がとても面白い。日本史だけでなく、世界史も理解しながら読めるので、楽しかった。

    私は建築に関する図面を見て三次元的にイメージすることが好きだが、この本はぴったりだ。王陵の平面図や横穴式の場合には深さの図面があり、どんな風に当時の人が作ったのか、イメージを膨らませることができた。かなうなら、それら(歴史上の大きなモニュメント)の復元が一堂に会する展覧会が開催されるとうれしい。

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著者プロフィール

1942年大阪生まれ、68年京都大学博士課程中退 京都大学助手 滋賀大学助教授をへて大阪大学教授 1989年浜田青陵賞受賞、『王領の考古学』(岩波新書、2000年、『前方後円墳と社会』塙書房、2005年他多数

「2018年 『古墳時代に魅せられて』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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