宇宙人としての生き方―アストロバイオロジーへの招待― (岩波新書 新赤版 839)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (218ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308393

作品紹介・あらすじ

ビッグバン以来一五〇億年の時間スケール、一五〇億光年の空間スケールで地球と文明を考える-それがアストロバイオロジーだ。環境、人口、食糧問題など、文明の成立基盤を揺るがす現代の深刻な課題を地球システムの問題ととらえ、宇宙の知的生命体の一つ、「宇宙人」として我々人類が目を向けた時、新たに見えてくるのは何だろうか。

感想・レビュー・書評

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  • 空想の宇宙人に思いを馳せるワクワクな空論……ではなく、宇宙から地球というシステムを見た時の地球人(宇宙人)の生き方を問う本。
    宇宙から見れば人間は地球というシステムの一部であり、そのシステムの中で生きる以上いかにそのシステムを破綻させないように生きるか、という……

    人間にしかできないこと、人間しか持たないものは知性ではなく、目の前に無いものを他者に伝えて想像させること。人は宇宙をというのが印象的でした。

  • 地球惑星科学の専門家でありながら、哲学的思想と宇宙的視野を持った人だ。私は今までとは少し違ったものの見方ができるようになった。私も著者を見習い、「地球にやさしい人間」にはならないようにしよう。

  • SFとかオカルト系の本じゃないよ。物事を宇宙レベルで考えて生きようという本だよ。視座を高める事がどれくらい大事かという事を再認識させられる素晴らしい本だったなー。

  • 宇宙の歴史は情報が生まれてきた歴史。
    未来にかけて情報をどうつくっていくか

  • たぶん図書館のリサイクル市でもらっていて、ずいぶん本棚にねむっていた本。ふと取り出して読んでみた。最新の成果はふまえていないが、おもしろかった。私も授業で何度も言ってきたけれど、「地球にやさしい」なんていうのは人間のおごり以外の何物でもなくて、環境破壊と言われているものは、地球上の一部の生物(とくにヒト)にとっては住みにくい環境をつくってしまうのかもしれないが、地球自体にとっては屁でもない。この何十億という年月の間に地球の環境は大きく変わってきた。そしてたまたまこの何万年かはヒトに住みやすい環境であるというだけ。だからと言って、何をしてもいいということにはならないけれど、環境問題を云々する人の中には、自分の利益ばかりを追求する人も多そうなので、そのあたりは気をつけないといけない。

  • 宇宙、地球、文明の歴史を科学的(物質的)観点から概観するにはいいが、テーマが多岐にわたっていることもあってか、この本の焦点がどこにあるのかがわかりにくかった。

    炭素循環と地球システム
    大気中のCO2は、雨に溶け込んで海に入る。海の中では、生物によって貝殻になったり、無機的にカルシウムイオンと反応し、炭酸カルシウムとして沈殿する。海底に沈んだ炭酸カルシウムの一部は、プレートの移動によって大陸地殻の下に沈み込み、地下の高温によって砂に含まれるケイ酸と反応すると、CO2が放出されて火山ガスとして大気中に戻る。
    地球の気温が下がると降水量が減るので、地球の中から出てくるCO2によって濃度が高くなり、気温を上げる。逆に気温が上がると降水量が増えてCO2の濃度は低くなるので、気温を下げる。太陽の高度変化に応じて、気温を一定に保つメカニズムが働いている。
    現在より5億年後にCO2の濃度は10分の1くらいに減り、光合成ができなくなって生物圏が消滅すると考えられる。

    物質循環と文明
    農耕を始めて森林を畑に変えたことにより、太陽エネルギーや水の流れが変わった。産業革命で化石燃料を駆動力として利用し、地球に蓄積されている様々な物質を大量に取り出して運ぶストック依存型の段階になって、物質とエネルギーの流れがさらに変わった。生物圏の物質循環によって生きられる人口は500万人程度、農耕牧畜を基盤とするフロー依存型でも10億人くらいが上限。

  • キーワードは「人間圏」。宇宙人の目線で見たヒトは、もはや、生物界のひとつの種を超えて、「人間圏」を作り出している存在だ。つまり「大気圏」「海洋圏」「大陸圏」「地殻圏」「マントル圏」・・・というレベルで地球の構成要素としての地位がある。このスケールで見ると、CO2排出や汚染物質のような環境問題を、善悪とか倫理で片付けるのは、人間中心主義だと指摘する。宇宙人の目線での観察が必要になるのだ。150億年のスケールで、地球システムという環境の変化を駆動してきた要因は、太陽エネルギーや地球内部の熱エネルギーだったり、生物の進化(代謝)だった訳だが、そこに人間活動が加わった事を客観視しなければならない。それでも人間圏の将来は、他の物理条件と異なり、我々人間にとって恣意的であるのが特徴的なのだ。

  • 地球に住む人間を「宇宙人」と捉えるという発想が、素晴らしい。巨大な空間と過去から続く膨大な時間の中で物事を考えるというスケール感を見習いたい。地球上の出来事が些末に思えてくる。

  • 久しぶりにアドレナリンが出た本でした。これほど大きなスケールで物事を考える機会を得られる本は希少だと思います。地球人として、宇宙から私達をみたらどうなのか、そして、この宇宙が生まれからの歴史の中でこの世界はどのように流れいているのか、そんなことが書かれている、アドレナリン大放出の本でした!!

  • 読書において

    新たな知識を得られるのは当たり前。発想についてもざら。
    ただ、発想の枠組みそのものを変えてくれるような本に出会えるのは本当に稀です。

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著者プロフィール

1946年静岡県生まれ。
1972年東京大学博士課程修了。
複雑理工学、地球惑星科学専攻。
現在、東京大学大学院教授。
著書 『宇宙人としての生き方』
『お父さんと行く地球大冒険』(以上岩波書店)
『惑星科学入門』(講談社)
『一万年目の「人間圏」』(ワック)
『地球・宇宙・そして人間』(徳間書店)
『宇宙誌』(徳間書店)など多数。
テレビ出演・雑誌等で活躍中。

「2005年 『「人間圏」の未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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