都市と日本人―「カミサマ」を旅する― (岩波新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004308546

作品紹介・あらすじ

都市とはなんだろう。それは「カミサマのいる場所」のことだった。では「カミサマ」とはなにか-吉備に太古の国造りを見、古代と近代の「宮城」の意味を探り、現代の「鎮守の森」の役割を考えながら、探索の旅は続く。ユニークな視点と平明なことばで綴る、著者の多年にわたる都市研究のエッセンス。

感想・レビュー・書評

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  • 「吉備の穴海って何だろう?」「皇居の中に入ったことがありますか?」「東寺の塔はなぜ倒れないか?」「鎌倉の切通しを見る」「京町家に住みたい」「安土城に永遠の都がつくられた」「東京の鎮守の森はなぜなくならないか?」「京都の小学校になぜ火の見櫓があるか」「甲子園球場になぜ人が集まるか?」「大雪山は北海道のカミサマだ」という章立てを見るとなんだか読みたくなってしまうでしょ?要するに都市の真ん中には、カミサマが必要だという話。軽いエッセイ風なので仕方がないとは思うが、もう少し理論ぽいところ、根拠立てなどが欲しかったなあ。

  • 「相い似たものどうしのあいだに「エーテル」が伝わるのだ。」という非科学的な断言が最初の方に出てきたので、どうなることやらと思いながらも読み進めて行くうちに、この人の言う「カミサマ」なら信じてもいいかな、と洗脳された。歴史や文化の勉強にもなるし、面白い本だと思う。ただ、上の引用文を見てもわかるように「どうし」とか「あいだ」とか「つづく」とか、あえて平仮名で残してある単語が多くて読みにくい部分もあった。それでもこの人の他の本も読んでみたいと思えた。

  • [ 内容 ]
    都市とはなんだろう。
    それは「カミサマのいる場所」のことだった。
    では「カミサマ」とはなにか―吉備に太古の国造りを見、古代と近代の「宮城」の意味を探り、現代の「鎮守の森」の役割を考えながら、探索の旅は続く。
    ユニークな視点と平明なことばで綴る、著者の多年にわたる都市研究のエッセンス。

    [ 目次 ]
    はじめに―世界の都市と神さま
    「吉備の穴海」って何だろう?―古代の国土開発
    皇居の中に入ったことがありますか?―都城と宮城
    東寺の塔はなぜ倒れないか?―平安仏教と商業
    鎌倉の切通しを見る―中世の城の明暗
    京町家に住みたい―町衆と氏神さま
    安土山に「永遠の都」がつくられた―戦国武将の神殿
    東京の鎮守の森はなぜなくならないのか?―森と人間の共生
    京都の小学校になぜ火の見櫓があるか?―江戸の町組から明治の学区へ
    甲子園球場になぜ人が集まるか?―私鉄と郊外の発達
    大雪山は北海道のカミサマだ―日本の水資源の構造
    むすび「山見の聖軸」をかんがえる

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 都市とは「カミサマ」のいる場所。では、カミサマとは何か?これが「神様」ではなく「カミサマ」と記されているのがポイントで、住人の精神性を支えている何等かをして、「カミサマ」と称している。西から北まで様々な土地が紹介され、それぞれに「カミサマ」を探して、その土地の史観を語るというちょっと変わった風土記。

  • 世界の都市と神さま◆「吉備の穴海」って何だろう?◆皇居の中に入ったことがありますか?◆東寺の塔はなぜ倒れないか?◆鎌倉の切通しを見る◆京町家に住みたい◆安土山に「永遠の都」がつくられた◆東京の鎮守の森はなぜなくならないのか?◆京都の小学校になぜ火の見櫓があるか?◆甲子園球場になぜ人が集まるか?◆大雪山は北海道のカミサマだ◆「山見の聖軸」をかんがえる

  •  生活の場としての都市空間とカミサマの関係を、宗教関係の専門家ではない視点から解き明かす。
     作者である上田さんの語り口は軽妙洒脱でとても読みやすい。
     と言うか、宗教関係の本だと期待して読むと、少々物足りないかも知れない。そもそも「神様」ではなく「カミサマ」というあたりからして、重みが無いというか軽い。
     大雑把に言えば、作者は「むすび」の部分を主張したかったんだと思うのだが、この本が書かれて十五年が経過して、少し色褪せた感はあるかと思う。
     とは言え、古代から現代に至るまでのお話は全部で十章あり、どこから読んでも興味深い。
     私は鎌倉の話が気に入った。
     作者は言う。
     鎌倉はその存在がよくわからない(日本史上のことだと思う)。
     三浦半島を日本の「盲腸」みたいなところ(たぶん形が)と言い、鎌倉を日本の歴史上で最も「みみっちい」首都と言う。
     そう言われちゃうとそうかも?
     いやいや、鎌倉好きの私としては納得がいかないかも…
     でもなぁ、確かに平城京、平安京と来て、その次が鎌倉じゃなぁ…
     その後はまた京都に戻って、最後は江戸だものなぁ…
     そして作者は言う。
     カミサマが衰えたり、いなくなるとその都市は滅びる。
     逆にカミサマが元気な都市は発展する。
     平成も終わる今日この頃、カミサマ(求心力)を何に求めるかは、ますます難しい問題になりつつある。
     東京にオリンピックを、大阪に万博をっていうのは、さすがに時代遅れだと思うんだよね…

  • 3冊

  • 日本の都市を「カミサマ」でとらえなおしてみるお話。



    古代の国造り、鎮守の森、天守閣と城下町など、

    ゾーニングや都市公園制度などの論理が通じない

    日本独自の都市のあり方が浮かび上がってくる。



    何気なく、経済と車社会にあわせようとしても

    なんだかうまくあわない部分は、

    「カミサマ」で見るとわかりやすいかも。

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著者プロフィール

上田 篤(うえだ・あつし)
建築学者、縄文社会研究会会長、『日本人とすまい』(岩波書店)、『縄文人に学ぶ』(新潮社)、「七〇年大阪万博お祭り広場」(日本建築学会特別賞)など。

「2020年 『建築から見た日本 その歴史と未来』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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