- Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004312246
作品紹介・あらすじ
アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムX。彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇〜六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
感想・レビュー・書評
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アメリカのブラック・ムスリムの伝道者マルコムXの評伝。キング牧師の非暴力主義や統合主義に対して、武力抵抗を辞さない過激主義や「黒人国家」建設を目指す分離主義が揶揄・非難されがちだが、本書ではアメリカ黒人の公民権の獲得にとどまらない普遍的人権の確立を目指した先駆性を強調する。両大戦間期の黒人解放運動・思想と日本の黒龍会との関係に言及しているのが興味深い。
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マルコムXは刑務所図書館で勉学に励んだ黒人解放の指導者という認識だった。読んでみて思ったのは純粋で処世術に不器用な人だったということだ。だからこそ支持する方々がたくさんいたのだろう。
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キング牧師との対比人物として描かれることの多いマルコムX。その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
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2008年、ヒラリー・クリントンとバラク・オバマがアメリカ大統領の座を争っていた
時、
私はヒラリー・クリントンが勝つのではないかと思った。
政党や政策、選挙運動の巧拙とは関係なく、
ただ漠然とアメリカに「黒人大統領」が誕生するのはまだ早い気がしたからだ。
たとえ、オバマ氏が奴隷とされていた祖先を持たないとしても。
しかし、オバマ大統領が誕生した。
それは米国史上、本当に画期的なことだった。
そのオバマ氏が大きな影響を受けていた人物がマルコムXだとしたら、
それは大変、興味深いことだった。
なにせ、恥ずかしながら、
マルコムXはブラック・パンサー党のリーダーと誤解していたぐらい、
私には知識がなかったので。
それぐらいの初心者に丁度良いぐらい、
難しくない内容だった。
マルコムXの伝記という側面もあるが、当時の思想的流れも書かれている。
中西部の白人ばかりの学校で良い成績をおさめていたこと、
刑務所で聖書や名著を読んで勉強したこと、
聖地巡礼をしたこと、といろいろなことが印象的だった。
マルコムX自身は暴力的でもなければ、
宗教団体のスポークスマンではあったがエキセントリックでもない
ということもわかったし。
もっとも印象的だったのは、
著者がマルコムXが暮らした家を訪ねて、甥の話を聞けたエピソードかな。 -
マルコムXの概要を知りたくて読んだ。
色々と話が飛ぶので理解しづらい点もいくつか。
マルコムとキングの活動をそれぞれ
「アメリカ社会からの分離」と、
「アメリカ社会への統合」という、
方針の違いで見るのは勉強になった。
大きな視野でアメリカ・アフリカンの問題を
考え始めたマルコムXがもう10年でも生きていたら、
どうなっていたのだろうと思う。 -
【なんでも芋】
白人の価値観に左右されるな誇りを持て、と激しく彼らを鼓舞したマルコムXについての話の本です。
福岡国際大学:nao -
マルコムXに関して知りたく短いので選んだ。ほかにも読まないと語れない。イスラム教を布教した組織の重要人物となった人であるが、当時のアメリカにあった根強い黒人への差別に対して「目覚め」を与えたという点が大きく、イスラム教の教えとはやや異なる部分も感じた。
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マルコムXの伝道師としての成長と、その主張内容の変遷をたどる一書。
初期の荒唐無稽に聞こえる主張から徐々に人権活動家に
目覚めてゆく様は見ていて面白い。
ネイションオブイスラムと別れたのちの
アメリカの矛盾を鋭く、時に激しく主張する活動家としての面が
今のマルコムX評を形作っているんだと強く感じた。
本書はかなりマルコムXに傾倒しているように感じられ、
好解釈すぎるのではと感じる面も時にはあるが
内容としては無理のない範囲でまとまっている。 -
岩波新書はクオリティが高いな。純粋な人柄だったというのがよく伝わってきた。
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[ 内容 ]
アメリカの「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師として熱烈な説教で人気があったマルコムX。
彼はキング牧師の「公民権運動」を批判しつつ、より普遍的な人権の獲得を主張して、一九五〇~六〇年代黒人運動の指導者として活躍した。
その生涯と言説をたどり、誤解・歪曲されることの多かった言動を分析して、実像を明らかにする。
[ 目次 ]
第1章 マルコム少年―家族の背景とガーヴィー主義
第2章 「ネイション・オブ・イスラム」の伝道師
第3章 言葉の人間・その演説
第4章 アフリカの鼓動を共有する
終章 マルコムXの遺産
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