大震災のなかで――私たちは何をすべきか (岩波新書)

制作 : 内橋 克人 
  • 岩波書店
3.69
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004313120

作品紹介・あらすじ

二〇一一年三月一一日、東日本を襲った大震災は、何を問いかけているのか。大きな悲しみや喪失感のなかで新しい歩みを始めてゆかねばならない被災者・被災地に、私たちはどう向き合い、どんな支援をしていったらよいのだろうか。現地で活動を続けた医師やボランティアをはじめ、作家や学者ら三三名が震災の意味、復興の形をつづる。

感想・レビュー・書評

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  • 遅まきながら,読みました。再び,いろいろと考えさせられます。津久井先生の玉稿に接することができます(後半の方)。

  • カテゴリ:図書館企画展示
    2016年度第9回図書館企画展示
    「災害を識る」

    展示中の図書は借りることができますので、どうぞお早めにご来館ください。

    開催期間:2017年3月1日(水) ~ 2017年4月15日(金)
    開催場所:図書館第1ゲート入口すぐ、雑誌閲覧室前の展示スペース

  • 3・11は何を問うているのか 私らは犠牲者に見つめられている / 大江健三郎 著
    (私たちが知る)日本の終わりなのか? / テッサ・モーリス=スズキ 著伊藤茂 訳
    原発震災と日本 / 柄谷行人 著
    東北関東大災害に際しての考えと行い / 中井久夫 著
    「想定外」の大震災とは / 竹内啓 著
    文明の転換期 / 池内了 著
    命をつなぐ 未来への約束 / 山本太郎 著
    市民や企業の力、生かす仕組みを / 大西健丞 著
    フードバンクにできること / セカンドハーベスト・ジャパン 著
    障害者救援本部から / 中西正司 著
    災害時にこそ日頃の介護が露呈する / 三好春樹 著
    生きていることから生きていくことへ / 川島みどり 著
    地域密着テレビの役割 / 若林宗男 著
    大津波がのみ込んだもの / 高橋卓志 著
    家族を亡くした遺族のために / 清水康之 著
    福島から / 丹波史紀 著
    女性の震災体験を伝え続けたい / 二瓶由美子 著
    暮らしをささえる 試練が希望に変わるとき / 玄田有史 著
    これからの住まいをどうするか / 塩崎賢明 著
    広域液状化と闘う人々の力 / 平朝彦 著
    ふるさと再生有縁コミュニティ住宅づくりへ / 延藤安弘 著
    労働者のライフラインを再構築する / 中野麻美 著
    漁業の復興に必要なこと / 加瀬和俊 著
    教育にできること、教育ですべきこと / 佐藤学 著
    災害と文化 / 野田文隆 著
    東北の記憶の蔵を / 森まゆみ 著
    復興のかたち 被災地には生活が続いている / 湯浅誠 著
    後戻りする復旧ではなく新しい復興計画を / 金子勝 著
    大震災と生活保障 / 宮本太郎 著
    法は人を救うためにある / 津久井進 著
    危険社会から安全・安心社会をめざして / 河田惠昭 著
    廃墟からの新生 / 長谷川公一 著

  • 【配架場所】 図・3F文庫新書(岩波新書 新赤版 1312) 
    【請求記号】 080||IS||NR-1312

    【OPACへのリンク】
     https://opac.lib.tut.ac.jp/opac/book/137720

  • 「大震災のなかで」内橋克人編、岩波新書、2011.06.21
    261p ¥861 C0236 (2018.03.10読了)(2013.10.03購入)
    副題「私たちは何をすべきか」
    東日本大震災から3か月後に出版された本です。新書というのは、ずいぶん素早く出版できるんですね。
    260頁ほどあるので、一人で執筆するのは、かなり大変なページ数です。
    副題「私たちは何をすべきか」に添って、33名の方の提言が収録されています。3月11日の震災のニュースを見て、被災地に駆けつけて、被災者の支援にあった方の論考もあります。一人分の論考は10頁弱ですが、思いがぎっしり詰まっているので、ページ数以上に読み応えがあり、難儀しました。
    震災から7年経って、やっと復興が実感できるようになってきました。小中学校の校庭にあった仮設住宅がなくなって、使えるようになったのは、昨年の夏から秋にかけてです。
    災害公営住宅が作られたり、自宅を建設して仮設住宅から退去する人たちが増えたためです。それでもまだ、集約された仮設住宅に残っている方々はいます。
    津波で、壊滅状態になった市の中心部のかさ上げ工事もほぼ終了し、商業施設が順次建設されて、賑わいが戻ってきています。
    この本に述べられていて、なるほどと思われることが、必ずしも実行されていない部分は残念なことです。行政機関の公平公正を優先する考え方が市民の心の安らぎを優先することと両立させる方法を見つけ出せなかったのでしょう。

    【目次】
    序のことば(内橋克人)
    Ⅰ 3・11は何を問うているのか
    私らは犠牲者に見つめられている
    ―ル・モンド紙フィリップ・ポンス記者の問いに(大江健三郎)
    (私たちが知る)日本の終わりなのか?(テッサ・モーリス=スズキ)
    原発震災と日本(柄谷行人)
    東北関東大災害に際しての考えと行い(中井久夫)
    「想定外」の大震災とは(竹内啓)
    文明の転換期(池内了)
    Ⅱ 命をつなぐ
    未来への約束(山本太郎)
    市民や企業の力、生かす仕組みを(大西健丞)
    フードバンクにできること(セカンドハーベスト・ジャパン)
    障害者救援本部から(中西正司)
    災害時にこそ日頃の介護が露呈する(三好春樹)
    生きていることから生きていくことへ(川島みどり)
    地域密着テレビの役割(若林宗男)
    大津波がのみ込んだもの(高橋卓志)
    家族を亡くした遺族のために(清水康之)
    福島から ふるさとへ帰る希望をもって(丹波史紀)
    女性の震災体験を伝え続けたい(二瓶由美子)
    Ⅲ 暮らしをささえる
    試練が希望に変わるとき―釜石にて(玄田有史)
    これからの住まいをどうするか(塩崎賢明)
    広域液状化と闘う人々の力(平朝彦)
    ふるさと再生有縁コミュニティ住宅づくりへ(延藤安弘)
    労働者のライフラインを再構築する(中野麻美)
    漁業の復興に必要なこと(加瀬和俊)
    教育にできること、教育ですべきこと(佐藤学)
    災害と文化(野田文隆)
    東北の記憶の蔵を(森まゆみ)
    Ⅳ 復興のかたち
    被災地には生活が続ている―「復興」への視点(湯浅誠)
    後戻りする復旧ではなく新しい復興計画を(金子勝)
    大震災と生活保障(宮本太郎)
    法は人を救うためにある(津久井進)
    危険社会から安全・安心社会をめざして(河田惠昭)
    廃墟からの新生(長谷川公一)

    ●中越沖地震(15頁)
    2007年7月の新潟県中越沖地震で被った世界最大の柏崎刈羽原子力発電所のダメージを、東京電力は認めるのをためらった
    ●津波対策(39頁)
    対策は基本的に二段になっていなければならない。第一段は津波を「防ぐ」ということであって、防波堤などによって住宅や施設を守ることであり、第二段は防御が破られたときに、津波から「逃げ」て生命を救うということである。
    ●災難は人為的なもの(45頁)
    災難は人為的なものである。
    その理由は、「いくら科学者が防止法を発見しても政府はそのままにそれを採用実行することが決して出来ないように、また一般民衆は一向そんな事には頓着しないように、ちゃんと世の中ができているらしく見える」
    ●ニーズを聞き取る(75頁)
    ニーズを聞き取ることも一様にはいかない。なるべく同じ人物が、同じ被災地・避難所へ物資提供に行き、繰り返したずねる。なんども顔を見せ、なんども聞かなければ、どんな助けが必要かが語られない。
    ●国策(90頁)
    ほんとうに必要なものなら国家がやらなくても民間がやる。反対するものを国家権力を使って、〝非国民〟に仕立ててまでやるのが国策である。
    ●カレンダー(144頁)
    支援物資の中で、よろこばれた意外なものに、カレンダーがある。異常な状況の毎日では、次第に時間感覚も失われる。カレンダーに少しずつやるべき予定を書き込みながら、被災者は今自分にできることから始めていた。
    ●復興(174頁)
    復興とは何か。それは、社会的な(構造化された)リスクを取り除くことによってすべての人々に平穏な生活と仕事を保障することである。災害は雇用を直撃するが、被る不利益を最小限にし、仕事と生活を立て直すことができるシステムを用意することは、日本全体の課題である。
    ●日本型生活保障の瓦解(231頁)
    長い間この国は、社会保障の支出を抑制しつつも、男性稼ぎ主の雇用を安定させて生活保障を実現してきた。
    1995年に日経連は「新時代の日本的経営」を発表し、長期的雇用慣行の対象を縮小していくことを宣言した。(非正規労働者の増加)
    ●法の役割(243頁)
    災害が起きたときに、法が果たす役割は、被災者の絶望を少しでも希望にかえていくことである。

    ☆関連図書(既読)
    「大震災復興への警鐘」内橋克人・鎌田慧著、岩波書店、1995.04.17
    「「共生経済」が始まる」内橋克人著、NHK人間講座、2005.02.01
    「静かな生活」大江健三郎著、講談社、1990.10.25
    「あいまいな日本の私」大江健三郎著、岩波新書、1995.01.31
    「恢復する家族」大江健三郎著・大江ゆかり絵、講談社、1995.02.18
    「ゆるやかな絆」大江健三郎著・大江ゆかり絵、講談社、1996.04.10
    「「自分の木」の下で」大江健三郎著・大江ゆかり絵、朝日新聞社、2001.07.01
    「「新しい人」の方へ」大江健三郎著・大江ゆかり絵、朝日新聞社、2003.09.30
    「柄谷行人政治を語る」柄谷行人・小嵐九八郎著、図書新聞、2009.05.01
    「復興の道なかばで-阪神淡路大震災一年の記録-」中井久夫著、みすず書房、2011.05.10
    「転機にたつ科学」竹内啓・広重徹著、中公新書、1971.11.25
    「老人介護 じいさん・ばあさんの愛しかた」三好春樹著、新潮文庫、2007.12.01
    「こんにちは一葉さん」森まゆみ著、NHK人間講座、2003.12.01
    「津波災害-減災社会を築く-」河田惠昭著、岩波新書、2010.12.17
    (2018年3月13日・記)
    (「BOOK」データベースより)amazon
    二〇一一年三月一一日、東日本を襲った大震災は、何を問いかけているのか。大きな悲しみや喪失感のなかで新しい歩みを始めてゆかねばならない被災者・被災地に、私たちはどう向き合い、どんな支援をしていったらよいのだろうか。現地で活動を続けた医師やボランティアをはじめ、作家や学者ら三三名が震災の意味、復興の形をつづる。

  • 今回選んだ理由
    東日本大震災が起こった2011年3月11日からもう5年が経過していること。私たちはこのことを忘れていないだろうか。
    他人のことだから関係ないなどと言っているのだろうか。改めて考えていなければいけないテーマである東日本大震災。自分の思いとともに紹介していこうと思う。

    内容
     この本は医師、ボランティア、作家、学者の33名により編集されたものである。
    Ⅰ 3・11は何を問うているのか
    Ⅱ 命をつなぐ
    Ⅲ 暮らしをささえる
    Ⅳ 復興のかたち の4章から成り立っている。
     この本の特徴は色々な面からの意見や実情が見えるのが他の本にはないところだと思いました。被災者・被災地にどう向き合い、どんな支援をするのか33名の思いが詰まった内容になっている。
    それぞれ職業が違うため、目線が異なっているのも見どころの一つ。
    この編集をした内橋氏はこう語っている。「何を問いかけているのか。大きな悲しみや喪失感のなかで新しい歩みを始めてゆかなければならない」と。被災者・被災地にどのような支援をしていくべきなのか。そこがこの本の重要なポイントだと思う。

    おすすめ
     今回の本を選んだきっかけは久しぶりに中学校時代のことを思い出したからだ。
    中学校3年生のとき、意見発表を経験した。「家族について」をテーマにして、発表したことがある。そこで触れたのが東日本大震災。家族を失って悲しんでいる人はたくさんいるはずだ。そして夢をもっていた子供たち。残された私たちがしなければならないこととは・・・。
    どうしたらいいのかと思っていた矢先、この本が目に留まった。どうしてももう一度考えて欲しかったのが私の思いだ。
     この本はなかなか手に取ってもらえないかもしれないが、少しでもこの本から実態を見て欲しいと思った。(151231 碧海のちひろ)

  • 【2014/12/24】
    紹介者:川口明美さん
    レビュー:米山

    あの2011年の震災の混乱のさなか、わずか3ヶ月後に発行された本。
    日がたっておらず、整理されていないからこそ伝わる臨場感が残る本だそう。
    大きな災難も時を経るにつれて忘れ去られてしまいます。
    あの時、遠隔地でも、日本中であなたが強く思ったこと、決心したこと、実行していますか?心がけていますか?
    また眠ってしまった大事なことを思い出させてくれるかもしれない逸品

  • 100体ものご遺体を前にした瞬間、私の死を視た体験は崩れ去っていった。いままでの死とはボリュームがまったく違う、すさまじい死がそこにはあった。柩の中の一人ひとりが、津波に襲われ、のみ込まれる瞬間、何を思ったのだろう、苦しかっただろう、痛かっただろうと、そんな思いが交錯した。それは強烈な痛みとなって私の内面を襲った。・・高橋卓志(住職)(p.109)

    人間は誰でも、「物語る力」「回復する力」を持っている。それぞれが、それぞれの人生物語を紡ぎ、他者との関係性の中に自己を位置付け、位置付けし直しながら生きている。大切な人のことやその人と過ごしたときのことなど思い返しては、解釈を加えて、それを物語に昇華させて、「こうだったのかな」「いやああだったのか」と、そうした作業を重ねながら、故人との関係性の物語を自分の納得のいく形に少しずつ紡ぎ直していくのである。「過去を乗り越える」のではなく、まさに「過去を受容する」わけだ。・・清水康之(p.118)

    個人に責任の無い負担は分かち合わなければならないという単純な理念である。地球人皆が公平に負うべき被害を特定御地域の一部の人々だけが負わされてしまった現実に対して、その人々をして滅ぶに任せるのはあまりに原始的・・加瀬和俊(p.187)

  • ゼミの課題図書。どの立場の人の話も参考になったし、電車で読みながら泣きそうになることも多かった。個人的に、印象に強く残ったのは前々から興味を持っていたコミュニティの話、仏教の話、法律の話。読めてよかった。

  • 私は恥ずかしながら東日本大震災の復興のために具体的に何か行動した人間ではありません。でもこの本に出てくるさまざまな立場の人間は、全員違う方向から大震災と向き合っていました。具体的な策はそれぞれまったく異なるけど、言ってることは一緒。「ふんばれ」そんな言葉です。

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