- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004313885
作品紹介・あらすじ
社会人とは本来、自分たちの社会をともに作り上げる人びとのことだ。だが、今の日本では、若者たちの就職難や格差の拡がり、無縁化に見られるように、社会人として生きていくのが困難になっている。社会人になるには何が必要か。社会人をどう育んでいったらよいのか。著者の内外での経験にもとづく豊富な事例を織り交ぜながら考えていく。
感想・レビュー・書評
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図書館で借りた。
社会人とはどのように生きるべきなのかを書いている。ここでいう社会人は学校を卒業して職に就いている人を指しているのではなく、「社会の一員として社会をともに作り上げていく個人」と定義している。
民主主義を継続させるには社会で行われている活動に積極的に参加していくしかない、と主張していた。その活動で意見を述べたりする際に必要となるシティズンシップの教育が現在の日本でなされていないと指摘している。
社会の現状に合わせて法律などのルールを仲間を作って変えていく考え方ではなく、お上が作ったルールに従順に従うことをただ教えられているだけだと。
非正規労働で突然の雇い止めにあい、訴訟を起こした人が一緒に雇い止めにあった人から協力してもらえなかったり、校区外のいい学校に我が子を入れるために待ちはするが、校区内の学校を自分たちでよくしようとはしない親など様々な問題を取り上げながら、社会人としてどう振る舞うべきかを考えさせる内容だった。
社会の問題を人の面から全体的に取り上げている印象を受けた。ここで出てきた問題を構造的な面から分析している本もあるので、それらをつなげて理解する際にいいかもしれない。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本書は、自分にとって、2012年最後の読了書となったが、それにふさわしい内容であった。引用を参照してもらいたいが、本書はまず、「社会人」について定義し、その生き方について示している。
タイトルだけを読むと、「社会人としていかに賢く生きるか」というような、現代の若者への仕事論のように感じるかもしれない。しかし、本書は違う。
社会人というのは、この人間社会で主体的に生きようとする人々のことを指し、そのような人になるために社会はどのようなものであるべきかについて述べた本である。
このような内容であると、行き着く結論は、やはり教育である。日本の教育(=社会全体,すなわち現代の日本人は日本の教育を受けているから)は、まだまだ閉鎖的で、それが社会制度にも現れていると指摘している。
それに対して、イギリスのシティズンシップ教育を例に挙げ、その実践を紹介している。こうした取り組みを本書から知り、今一度、子どもの心に寄り添い、自己肯定感を育むことの重要性に思い至るのである。
教育関係者は必読です。合わせて、同著者の、「豊かさとは何か」「豊かさの条件」もオススメします。 -
社会を構成する人という意味での広義の社会人について、様々な視点からまとめられている。
就職難について自己責任論に囚われる若者の解放は、社会の重要な課題であると感じた。
しかし、本書の個々の指摘の中には、地域を特定した問題への拘りが余りにも強すぎて、逆に大局的な論点が薄まってしまったように感じられた部分もあった。 -
「社会人」と言われると、会社に入るに当たりどうこころがまえるかという内容かと思いきや、身近な社会とどうかかわるべきかを中心に考えさせられる部分が多かった。弱者の立場に立たれての企業や政府に対してのご意見もたくさん書かれていたが、そこのところはなかなかむつかしい問題。そこいらには全面的に賛成とは思えなかった。よって☆3
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現実がハッピーで仕方が無い人にオススメしたい一冊。
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非常に読み応えのある本でした。
理想論ではなく、地に足がついた視点で問題提起と解決策へのヒントが述べられています。
人間は社会的つながりの中でこそ生きる意味と幸せを見出すことができる。それに沿った社会であるべきである。ということを改めて実感させられた。 -
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社会人の定義を短絡的に考えていたことを振り返ることができる良書です。
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昔は社会に無理にでも属さなければ生きていけなかった。でもいまは生産性が向上し、個人としても生きていけるようになったが故に、社会とのつながりに無関心な人が多い。
筆者の主張は確かにそうだと思うけど、肝心な「ではどうしたらいいか」が曖昧。
大雑把に言うと、利益追求の考えに走るのではなく、想像力を持って社会の一員として生きよ。
主張は確かにそうだが、現代でより想像力を持ってみんなが生きていくためにはどうすれば良いかを具体的に言って欲しかった。