- Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004314622
作品紹介・あらすじ
いま、首都圏では小学生の五人に一人が受験をするという。なぜここまで過熱するのか。金銭的・心理的・時間的な負担は、どれほどなのか。一見、情報はあふれているものの、肝心なところは不明のまま。果たして信用できる情報はどこに?気鋭のジャーナリストとして、また自らも受験生の父親として、圧倒的かつ綿密な取材を元に実態に迫る。
感想・レビュー・書評
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●久しぶりに中学受験ものを読んだが当たり
●体験記ではなく、批判的な立場で取材しているのが良い。
●日能研が思想集団という視点は目から鱗。創世期の四谷大塚などの話も新鮮。
●一番最後の、結局できる生徒をいかに集めるかが鍵というのは身もふたもないが冷徹な結論。学力も潜在的能力が大きい。ただ、中々それは認めることは脳が拒否するよね。ましてや自分の子なら…とにかくズルズルとお金をかけてしまいそう…
●これからますます少子化だから子供の奪い合いだし、できる子、できない子の差が歴然と出て、それが階層化され、日本も欧米化、一握りのエリートと、ダメな一般大衆に別れていく…
●本当は底上げが大事だし、その方が社会が安定するのだけれど…国がどこまで力を入れるかがキーポイントだろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
中学受験については、知らないことが多いので、図書館でどっさり本を借りて読むことにする。どちらかと言うと、(絶対)肯定派とバランス派に分かれるのが面白い。
小学六年からの勉強で合格できる学校なら、伸びしろがある。
と言うのは金言だと思うし、塾に行かないとできない問題を作って繁栄する一大産業に対しては、やはり注意深く接する必要がある。 -
ユニクロ帝国の本の著者。自分と年齢が同じで子どもの年齢、人数、性別が同じなのは偶然で面白い。ユニクロの本とは違い、ひとつの組織を批判する内容ではなく、疑問なところを少しずつ明らかにしていくというもの。ただ、中学受験がいいか悪いかという、白黒つける内容ではないことはたしか。
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自らの息子も中学受験を目指しているジャーナリストによる本。教育の専門家ではないのだが、世の中学受験情報は私立中学・受験産業側の視点からポジティヴ面を強調したものが多いので、敢えてネガティヴ面に光を当てるように描いた由。
ワタクシの子供も「私立中学を受けたい」みたいなことを言い出したが、この方面にまったく疎いので読んでみた一冊。とくに独自の深い考察なんかがある本ではないのだが、ワタクシのような人間にはほどよいupdateになって有益だった。
・体験談はとうぜん成功談が多い。失敗者は語りたがらないことを意識すべし。
・いったん受験勉強を始めると「降りる」ことはむずかしい。私立中に入ったあとも同様。けれど、撤退の勇気もときには必要だろうと。何年もかけて準備するよりも、6年生からの勉強では入れるくらいのところのほうが後の伸び代があるだろうとの見解には共感した。勝負は大学受験だし。
・私立一貫校の存在感は首都圏(特に東京)や関西一部地域で際立つ。地方では昔からの公立名門校が幅を利かす。1967年の学校群制度(志望校を選べない)が都立高校退潮のきっかけ。さらにゆとり教育で加速。
・学校群制度の目的が公立校間での格差是正だったいうのが皮肉。制度設計の難しさよ。
・私立一貫校も少子化で、下位の方は経営が楽ではない。二極化傾向。学習塾も合従連衡が盛ん。
・私立中高一貫校は「夢の楽園」なのか?はやや難癖気味か。そりゃいじめも中退もあるでしょ。文部省が指導できないというのもどこまで重要なファクターか。
・公立中高一貫校が大人気。学費が安い。入試は私立とすこしテイストが違い、内申書も重視する。カリキュラムも留学やらスーパーなんとかやら魅力的なのは否めない。民業圧迫の声もあり、倍率は高いもののかんたんには増やせない様子。
・しかし公立一貫校のあおりを受けるのは、ふつうの公立中。経済的事情で私立にいけなかった優秀な生徒まで持っていかれる。
・一貫校のメリットは、前倒しでカリキュラムを進められる、中学3学期から高校入学直後のブランクがない分だけ時間的余裕がある、など。→ほんとに制度として優れているかは疑問だが。
・あとがきでようやく「私立一貫校の進学実績が優れているのは、素質のある生徒を集められていることが要因として大きいのではないか?」とのたまう。はじめから考えてなかったのかよ、といいたくなる。 -
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そりゃ公立中高一貫校に入れたいでしょ‼️
三鷹市は公立小中一貫に力を入れてます。 -
中学受験の光と闇を中立的に描いたルポルタージュ.結局,親が中高一貫校を通して子供に何を与えたいかなのだが,与える選択肢が貧弱に過ぎる点に問題点は集約される.それは塾から見たら鴨を背負った葱だろうて.
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本書の結論は、表題を「中学受験」ではなく「教育格差」としたほうがしっくりくるものだった。序と結章で主張の一貫性がなくなり、読了後はなんともいえない残念な気持ちになった。中学受験に実際にかかわった人々の取材を通じて、様々な立場のコメントを収集し、批判的に負の面を描き出そうとしてる。ただ海陽中学の次に、生活保護世帯の学習支援を行う「塾」を取り上げている。そもそも異なるシステムを比較しても、違うのは当然だろう。製作過程において、編集者側にも工夫できる余地があったのではないか。