〈文化〉を捉え直す――カルチュラル・セキュリティの発想 (岩波新書)
- 岩波書店 (2015年11月21日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004315735
作品紹介・あらすじ
グローバル化のなか、人々や社会、国家や宗教などのアイデンティティの根幹に関わる文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている。固有の文化とは何なのか?文化を政策に活用することの是非は?国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察する。
感想・レビュー・書評
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固有の文化とは何なのか? 文化を政策に活用することの是非は? 国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察する。【「TRC MARC」の商品解説】
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捉え直しというか再定義、大事だろうが未だ散らかってる
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2015年刊行だが、2019年の「あいちトリエンナーレ」「日韓関係」などの問題を考えるヒントにもなる本。「パブリック・ディプロマシー(広報文化外交)」「ソフト・パワー」「人間の安全保障」などを解説。
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近年の文化をめぐる動向について、特に政治・経済の接点に発生している論点を概観的に紹介した本。
テーマゆえ仕方ないが、どうしても取り上げる話題が広く浅く、読みにくい文章ではないのにさっぱり頭に残らない。概論的な本の読み方がまだまだ下手と自覚。登場するキーワードは押さえておくとよさそう。
・グローバリゼーション。国家以外の、重層的な担い手の出現。グローカリゼーション。
・人間の安全保障。少数言語の保護。貧困や社会的包摂への対応。
・パブリック・ディプロマシー。対外発信強化。文化外交。ソフトパワー。
・地方自治体や民間団体が文化の担い手となるモデル。 -
国内外の数多くの事例を紹介しつつ、観念論と政策論の双方の視点から、文化の新しい使い方、その危険性と可能性を考察。
今後の文化政策を考えるうえで示唆深い内容となっている。「人間の安全保障」「ソフトパワー」といった文化政策に関連するキー概念を理解するのにも役立つ。 -
やや総花的な印象。
初学者にはわかりにくく、そこそこ知っている人にはツッコミが浅く感じるのではないか。もちろん、総論や方向性、問題意識に賛同する人は多かろうけど。 -
【版元】
■新赤版 1573
■体裁=新書判・並製・240頁
■定価(本体 780円 + 税)
■2015年11月20日
■ISBN 978-4-00-431573-5 C0230
近年,人々や社会,国家のアイデンティティの根幹に関わる,一人一人の文化的リテラシーを問われる場面が多くなっている.固有の文化とは何なのか? 守るべき文化とは? あるいは文化を政策に活用することの是非は? 国内外の最新の動向を紹介し,観念論と政策論の双方の視点から,文化の新しい使い方,その危険性と可能性を考察する.
<https://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?isbn=ISBN978-4-00-431573-5>
【目次】
題辞 [i]
はしがき――「文化」は、いま [iii-xiv]
目次 [xv-xix]
第一章 グローバリゼーションは「文化」を殺す? 001
1 スーパーモダン 002
2 ポストモダン 005
3 肯定派と否定派 009
4 保守派とリベラル派内部の不協和音 014
5 ナショナルな次元の重要性 016
6 重層的なガバナンス 019
7 グローカリゼーション 022
スローフード/創作エイサー/先住民族
8 搾取される「伝統文化」 031
9 ハイリスク・ハイリターンの皮肉 033
10 「われわれはみんなペストの中にいるのだ」 036
第二章 台頭する「人間の安全保障」という視点 041
1 格差の再編成 042
2 新自由主義の論理と力学 045
オーディット文化/消費者至上主義/市場化される精神性と身体性/〈帝国〉の権力とネットワーク
3 「人問の安全保障」 053
4 セーフティーネットとしての文化 057
5 教育の挑戦 061
6 製品の可能性 065
7 言語という権利 067
8 方便としての文化 070
9 文化相対主義の陥穽 078
第三章 ソフトパワーをめぐる競合 083
1 ソフトパワーをめぐる狂想曲 084
文化の地政学/ソフトパワーとしての「人問の安全保障」
2 パブリック・ディプロマシーの時代 090
3 「対外発信強化」の陥穽 095
4 道義的な高潔さ 098
5 「支配」から「支援」へ 106
6 グローバル・シビリアン・パワー 112
第四章 新しい担い手たち 119
1 政策的価値は「不純」か? 120
2 ガバナンスの新たな潮流 123
3 米国モデルの優位性 130
4 創発的な試み 132
5 日本が直面する課題 140
評価や測定は可能か
第五章 理論と政策の狭間で 149
1 「離見の見」 150
2 構築主義 156
3 境界線への眼差し 160
4 境界線を編み直す 165
芸術という試み/市場という試み/政治という試み/外交という試み/
リベラル・アーツという試み/文化人類学という試み
5 「文化」を語れなくなった時代 170
6 一九九○年代の米国の経験 180
7 新たな問い 186
おわりに――「文化」の未来 191
あとがき――ピーボディ四六号室(二〇一五年 ボストンにて 渡辺靖) [197-206]
【抜き書き】
・構築主義の紹介で、Japanologyが登場。
[pp. 157-158]
“いわば、「日本人論」とは、それぞれの時代状況において「自分探し」の役割を担ってきたジャンルであり、主に「米国」や「西洋」を合わせ鏡としながら、その都度、「日本らしさ」が構築されてきた。日本礼賛色の強い、近年の新たな「日本人論」ブームの背景には、米国や西洋の相対的衰退、中国や韓国への反発、人口減など日本の将来への不安、「反日」のレッテルを恐れる出版社側の自主規制、日本文化に対する海外からの高評価などが混在しているように見受けられる。
その日本文化については「外来文化を融合しながら独自の文化を発展させている」「自然との調和や共生を重んじている」「革新と伝統を融合している」「細部へのきめ細かな配慮に富んでいる」といった特徴づけをされることが多いが、構築主義はそうした特質を直ちに所与の本質と捉えることはしない。むしろ、例えば、①日本以外の社会にも認められる特質ではないか、②そうした特質とは正反対の事象も存在するのではないか、③地域差や階層差、男女差、世代差といった点を考慮すると「日本」という大きなカテゴリーで括りにするのは乱暴ではないか、④価値基準そのものがエスノセントリック(自民族中心的)ではないか、⑤そもそも誰が、誰に対して、何の目的で、こうした言説を生産し、流布しているのか、といった点への留意を求める。” -
副題のカルチュラルセキュリティの定義や内容があまり頭に入ってこないが、多様な文化の見方が記載されているので、一読の価値あり。
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2016年1月新着