- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004316664
作品紹介・あらすじ
「専守防衛」を謳いながら今やグローバルに展開する在日米軍の攻撃力に依存し、「唯一の被爆国」は米国の核兵器で守られる-「戦後の平和主義」の現実だ。「緊密で良好な日米関係」を目指すと言う日米同盟の内実は?自衛隊との協力の拡大により変貌する日米安保体制下の在日米軍を直視し、平和構築の道を探る。
感想・レビュー・書評
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岩波だけに安全保障問題へのスタンスは旗幟鮮明。だからといって偏っているというものではない。著者が粘り強い調査にもとづいて、在日米軍の全体像を淡々とした筆致で描きだしていく様は、読者にその内容が信頼できるものであると思わせるに十分である。在日米軍縮小に向けた今後の展望を語る第五章も、地に足付いた議論で納得できる。
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日本が抱える在日米軍の役割とその変遷を描き、その弊害を指摘し、代替案を提示することを目的とした本。憲法9条を堅持する主張はどういう論拠に基づいてるのかな、という意味でも興味深い。
以下、3段落に分けて簡単に内容をまとめる。
1.在日米軍の役割の変遷
在日米軍が置かれたのは、元々冷戦における対ソ防衛体制であって、西側陣営の土俵を守るという意図があった。
しかし、米国は、朝鮮半島とか東南アジアとかインドとかアラビア海とか、米本国から遠いところでも力を発揮しなければいけなくなった。米国による汎地球的防衛体制である。
でも、お金もないし遠いところを守るのは大変なので、極東の日本がその防衛体制の構築に地政学的にも金銭的にも協力してくれると米国は助かる。
よって、在日米軍は、日本を守る(ことを通じ西側陣営を守る)という当初の目的から、世界を守るという目的に変貌した。日本にいる米軍がそこから他国を攻めに行ったら、それは立派な軍事支援とも考えられる。専守防衛を掲げてきた日本も、米国に協力せざるを得なくなると、他国へ攻め込む米国を支援することになり、間接的に、あるいは究極的には米国と一緒に他国を攻めるということに繋がりかねない。
2.在日米軍駐留の妥当性
ここは眠くなっちゃったのであんまり頭に入っていないのだが、在日米軍がそこまで有効ではないこと、市民生活を大きく脅かしていることを著者は主張する。論理的批判と、心情的な批判。
3.日米協力の深化が必要とされる中での軍縮とは
「北東アジア非核兵器地帯」という概念を提示し、非軍事安全保障を目標に掲げる。
軍事費という世界的な無駄遣いから脱却すべきという考えは軍縮を基本的価値として掲げる国際連合の理念に一致する。この理念以上に非暴力平和主義を主張するのが憲法9条であり、北東アジアでの非核化実現により、安全保障と軍縮を実現しようではないか。
……ということが書かれていると思う。
根幹には、米国依存からの脱却があるのかな?と思うけど、そうした大きな話は知識がないのでよく分からないし、妥当性の判断なんてそれこそ政治的な話になっちゃうから好きではない(!)。在日米軍を撤退させたいという著者の強い意志がある以上、どうしても現実認識にそのバイアスがかかっているんじゃないの?と疑ってしまうのはしかたない。
ただ、高校の頃に世界史の図版を見ていた時、冷戦の終結とかベルリンの壁崩壊とかシドニー五輪での朝鮮半島南北統一旗とかSTARTⅡ調印とかマルタ会談とかを目にして、無邪気な私は「歴史時代からずっと続く争いの時代がようやく終わりに向かい、世界はちょっとずつ平和になっていくのかな」なんて思ってた。
軍事費の増大や日米軍事同盟の強化がそれに逆行するのかと言えば必ずしもそうではないのかもしれない。それでも、自分が死ぬときに、今より平和になってたら良いなとは思ってる。
著者の主張の妥当性如何はこれから様々な主張を勉強する上で見えてくるかもしれないが、勉強する上での良い取っ掛かりになってくれたかなと思う。面白かった。 -
たまには自分とは違う考え方の人が書いた本も読んでみる。
意外と頷ける部分もあって、気付かないうちに頭が硬くなっていることに気づく。 -
【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/685654 -
東2法経図・開架 B1/4-3/1666/K
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