ヴァルター・ベンヤミン: 闇を歩く批評 (岩波新書 新赤版 1797)

著者 :
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感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004317975

作品紹介・あらすじ

戦争とファシズムの時代に生きた思想家ヴァルター・ベンヤミン(一八九二〜一九四〇).蹉跌の生涯のなかで彼が繰り広げた批評は,言語,芸術,歴史を根底から捉え直しながら,時代の闇のただなかに,何者にも支配されない生の余地を切り開こうとした.瓦礫を掻き分け,捨て去られたものを拾い続けた彼の思考を今読み解く.

感想・レビュー・書評

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  • 広い意味での体制や時流は手強い。人間をがんじがらめに絡め取っていく。

    それにしてもなんという深い闇が感じられる著作だろう。闇を切り抜けるために、根源に降りたベンヤミンの言葉は、静かに心を鎮めてくれる。もちろん癒やしではない。もがいたからこその視点ばかりだ。

    彼の最期も象徴的だ。あちら側に追いやられることで、かえって根源性を保ったともいえる。

  • 入門書として。皮肉なことに、翻訳が読者に奉仕してしまって、読者の言語によって原作の言葉を窒息させてしまうところがあるので、ここで満足せず、原作にあたることが肝要。評伝及び一つの見方として優れる。

  • 聖母マリアの奇跡の泉、ルルドでベンヤミンとハンナ・アレント再会
    パサージュ:アーケード、商店街
    外側のない暮らしが密に詰まった構造物のようなものについて
    そのかけらを拾い集めて提示してみせるってことなのかなぁ

  • 信州大学の所蔵はこちらです☆
    https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB28891790

  • メディア・リテラシーとの関連は見つけられなかった。ベンヤミンの伝記である。簡単にベンヤミンの生涯を知りたい人にはいいと思われる。

  • やっぱり、ベンヤミン好きだなー自分と思えました。今回は特に彼の女性遍歴を知って、「もーベンヤミンったら」って思った。ちょうど、暴力について考えていたので改めて彼の暴力論の鋭さに、驚かされるとともによく学びたいと思います。

  • プロローグ―批評とその分身
    第1章 青春の形而上学―ベルリンの幼年時代と青年運動期の思想形成
    第2章 翻訳としての言語―ベンヤミンの言語哲学
    第3章 批評の理論とその展開―ロマン主義論からバロック悲劇論へ
    第4章 芸術の転換―ベンヤミンの美学
    第5章 歴史の反転―ベンヤミンの歴史哲学
    エピローグ―瓦礫を縫う道へ

    著者:柿木伸之(1970-、鹿児島市、哲学)

  • 東2法経図・6F開架:B1/4-3/1797/K

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著者プロフィール

1970年、鹿児島市に生まれる。上智大学文学部哲学科助手を経て、現在広島市立大学国際学部准教授。専門分野は20世紀ドイツの哲学および美学。著書に『ベンヤミンの言語哲学──翻訳としての言語、想起からの歴史』(平凡社)、『パット剝ギトッテシマッタ後の世界へ──ヒロシマを想起する思考』(インパクト出版会)などがある。共訳書は、T.W.アドルノ『自律への教育』(中央公論新社)など。音楽関係の著述もあり、ひろしまオペラ・音楽推進委員会主催公演の作品解説などを執筆している。

「2016年 『細川俊夫 音楽を語る』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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