- Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004318637
作品紹介・あらすじ
江戸問答とは、江戸の社会文化から今に響きうる問いを立てることである。近世から近代への転換期に何が分断され、放置されたのか。面影、浮世、サムライ、いきをめぐる、時間・場を超越した問答から、「日本の自画像」を改めて問い直す。誇りたい日本、変えたい日本、語り継ぎたい日本がここにある。『日本問答』に続く、第二弾。
感想・レビュー・書評
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編集工学研究所長・松岡正剛氏と日本近世文化の研究者・田中優子氏との対談。
テーマは江戸。どうやら問答シリーズ2冊目らしい。知らなかった。「日本問答」という対談本もあるらしい。
「面影問答」「浮世問答」「サムライ問答」「いき問答」の4章立て。
江戸については無知に等しいが、たいへん面白かった。
とくに「面影問答」。
「「界」と「隈」でできているデュアルスタンダードな世界のなかで、少年少女は何をどう感知していたのか、その「面影」がもしわかれば、実は日本の謎も江戸の謎も平成の謎も解けるというふうにぼくは思ってきたんです。」
この松岡氏の発言の感じ、自分も辛うじて分かる。分からないなりに、とても重要なことを言ってる気がした。
また自分がフェリーニやルイ・マルが好きな理由を「面影」という一言でみごとに言い当ててくれた。
その謂でいけば、自分の嗜好は面影をひきずっているものにあることは確かなのだけれど、いかんせん、具体的にイメージしたり言語化したりできないのがもどかしい。
日本が近代化するに及んで捨ててきたものが、今のどうしようもない日本を作り出したというのは自分にもわかる。
日本はつねにデュアルスタンダードでやってきた。
これはほんとに日本のユニークなところだと私も常々思ってきた。将軍/天皇、漢字/かな、神/仏など、枚挙にいとまがない。
まさにこの/(スラッシュ)みたいな存在として日本はこれまで中国と関わりながら生成変化してきた(そしてこれからも日本はそうした存在として自立していくのが最適なのだ)。
これが開国、明治維新、日本ファシズムを経てダブル・スタンダードとして固化劣化していくさまが日本近現代史なのだなあと実感。
こうした文脈から見ると、岡倉天心の『茶の本』をまずは読みなおしてみる必要がありそうだ。その他同時代の知識人たちが、フィクションとしてのブシドーを世界に向けて発信したのとは違って、天心には"敗者"だからこその、面影を追う繊細な眼差しがある。渡辺京二も読まなきゃ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本有数の識者二人の江戸から日本を分析する対談。
興味深い知識がいっぱい。 -
正剛さんと田中優子さんの対談形式。面白かった。なんとなく、明治と江戸を別物のように感じてしまうけれど、当時生きていた人々はもちろん、毎日のつながりで江戸から明治になっているわけで、考え方などはそんなに簡単に西洋化はできないし、受け入れたくなかっただろうと思う。明治や現代につながる江戸の文化、思想を感じられ、興味深い。
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2021.05―読了
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下記の2冊を読み直すと、本書における著者(田中優子氏)の見解が、アカデミズムの主流派のものなのか、怪しく思えてきた。
・桜井進『江戸の無意識――都市空間の民俗学』(講談社 1991)
https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=0000146541
・小谷野敦『[改訂新版]江戸幻想批判――「江戸の性愛」礼讃論を撃つ』(新曜社 2008
https://www.shin-yo-sha.co.jp/smp/book/b455864.html -
p.2021/2/3
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東2法経図・6F開架:B1/4-3/1863/K