迫りくる核リスク 〈核抑止〉を解体する (岩波新書 新赤版 1946)

著者 :
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  • Amazon.co.jp ・本 (270ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784004319467

作品紹介・あらすじ

ウクライナ侵攻以降、核兵器が使用されるかもしれないというリスクが急激に高まり、このリスクはアジアにも迫ってきている。核保有が核を使用しないことになるという〈核抑止〉が長年言われてきたが、著者はその現実を一つ一つ明らかにし〈核抑止〉を解体する。そして未来のために、今何をすべきなのかを提言する。

感想・レビュー・書評

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  •  著者は核軍縮ひいては廃絶論者だが、感情的に駄目とするのではなく、本書では核抑止のリスクを丁寧に分析、解説。研究の裏打ちが感じられる。
     核使用にあたっての人的ミスや誤作動、非合理的判断のような核抑止に内在する「バグ」のみならず、大規模サイバー攻撃への報復やAIによる迅速な対応など、先端技術がリスクを高める点も指摘。
     拡大核抑止への日本の関わりは深化しており、日米同盟強化の文脈では望ましいのだろうが、国際人道法との関係も指摘。また必要な時に核使用に同意する覚悟があるのかとも著者は問うているようだ。
     処方箋として著者は、まず新START後継の条約交渉や、米中露「戦略的安定」のための政治合意又は条約を挙げる。ただこれらは、タカ・ハト中間のフクロウ派アプローチで、核抑止維持が前提だと著者も認める。
     そのため著者は更に核廃絶を説くのだが、核兵器に「悪の烙印」を押す、市民社会を中心とした「心のなかの核武装解除」、に至っては、実効可能性に一層の疑問を持ってしまう。

  • 【請求記号:319 ヨ】

  • 戦略的安定は危機についての安定と軍備競争についての安定の2本柱。ケースの記述はあまり面白くない。

  • 長崎を最後の原爆被害にしたい、という合言葉があったことを初めて知った。今までの核リスク、これからの核のリスクについて、例えば、ロシア、中国、北朝鮮などを丁寧に扱っている。
     核リスクについての基本書となるであろう。コロナの最中にかかれたということで現実味がある。

  • 核抑止ではなく核兵器禁止へと舵を切るための提言。
    長崎大学の研究者として「長崎を最後の被爆地に」と訴える。そのために核抑止政策の限界をあげ、新たな軍縮を模索していく。
    けど。これってみんなが等しく理性的・合理的に考え、判断することが前提だよね。プーチンの暴走を非難してるけど、プーチン側から考えられてはいない。実は第二次世界大戦もそうだったわけで、世界が共通の認識を持つにはまだまだ時間がかかりそうだ。

  • 559.7||Yo

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼ https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000060337

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著者プロフィール

吉田 文彦(長崎大学核兵器廃絶研究センター 副センター長・教授)

「2018年 『核の脅威にどう対処すべきか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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