「移民国家」としての日本 共生への展望 (岩波新書 新赤版 1947)
- 岩波書店 (2022年11月18日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319474
作品紹介・あらすじ
私たちの周りでは当たり前のように外国人たちが働き、暮らしている。もはや日本は世界的な「移民大国」となっている。しかし、その受け入れは決してフェアなものではなかった。雇用、家族形成、ことば、難民……彼ら彼女らが生きる複雑で多様な現実を描き、移民政策の全体像と日本社会の矛盾を浮き彫りにする。
感想・レビュー・書評
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日本の移民問題、いつも既視感がつきまとう。むかしから問題がかわらず、欧州に学べとされ、日本がどんな国になりたいかも明確にならず、いったい政府や法務省がなぜこのように移民問題に背を向けるか、何も見えないまま、終わる。
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移民について、何も知らなかった私が基礎から学ぶことができた一冊でした。今後の日本が移民をどのような形で受け入れていくべきかを考えなければならないと感じました。外国人労働者に寄り添った制度が導入されることを願います。
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分析は正確だが、提言は片面的(立場上仕方ないのかもしれないが)。
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もともと欧州の移民政策を研究していた先生で、そちらの状況も参照しつつ日本での「移民」の歴史や現状をレビューしてくれる。
日本の「移民」政策が移民を拒みつつ単純労働力を確保しようとする根本的な矛盾を抱えており、そのしわ寄せが日本に暮らす外国人に向かっているのはそのとおりだろう。しかし、本書が主張するように単に移民に対してもっとオープンになればそれで良いかというと、欧米の事例を見るにそう単純でもないと思う。
ともあれ、コロナ前でネットの新規入国者(短期の観光客など除く)は20万人/年に達しており、在留外国人は300万人になるとのこと。この流れは変わらないであろうから、日本も近いうちに移民問題と正面から向き合うことになるだろう。 -
先進国の中だけでも顕著な出生率の低下、少子高齢化が止まることのない現代日本。移民は原則受け入れないという日本政府のモットーに問題点が多く欧米社会からも批判が多い技能実習制度などでサイドドアから労働者を入れようと取り組んできた日本社会ですが、著者は本書で日本社会がいよいよ移民ということについて真剣に向き合わなくてはいけない状況にあると指摘しています。グローバルスタンダードに則って人道的な移民受け入れ方針に日本政府が向かうべきと言うのは理想論に感じますが、出生率の低迷が日本経済の病巣になりつつある現在、やり方を変えないにしても変えるにしても今まで以上に外国人の方々をより多く受け入れて移民というものに向き合っていかなくてはならないと言わざるを得ない現実があると本書を読んで感じました。日本の移民政策が手に取るように理解できる平易な文体で書かれた良い一冊です。さすが岩波新書で久しぶりに知的好奇心をくすぐられました。
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【請求記号:334 ミ】
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【貸出状況・配架場所はこちらから確認できます】
https://lib-opac.bunri-u.ac.jp/opac/volume/779638 -
移民が日本でどのように扱われているかについて、法の面からの問題提起である。さらにSDGの問題でもあり、また朝鮮や多くの移民についてもその歴史から学ぶシティズンシップ教育が重要であるという指摘は他の書籍ではなかったような気がする。SDGに日本への移民は入っているのであろうか?