社会学の新地平──ウェーバーからルーマンへ (岩波新書 新赤版 1994)
- 岩波書店 (2023年11月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784004319948
作品紹介・あらすじ
マックス・ウェーバーとニクラス・ルーマン――科学技術と資本主義によって規定された産業社会の謎に挑んだふたりの社会学の巨人。難解で知られる彼らが遺した知的遺産を読み解くことで、私たちが生きる「この」「社会」とは何なのかという問いを更新する。社会学の到達点であり、その本質を濃縮した著者渾身の大作。
感想・レビュー・書評
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前半のウェーバー論はいろいろ勉強になった。え、そうなの?みたいな感じ。実はみんな読んでないのではないか。(私は読んでない)
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桃山学院大学附属図書館蔵書検索OPACへ↓
https://indus.andrew.ac.jp/opac/volume/1329701 -
ウェーバーの近代資本主義論を,彼の組織論の経験的研究を中心に整理・再構成した著作.名前を聞いたことのある程度の門外漢にも分かるよう,分かりやすく書かれている.ここまで図式的に説明できるということは,それだけ研究が進んでいるということ.
有名な倫理論文について従来の読まれ方などは知らないけれど,どうやらこれまでの伝統的な理解(の不十分だった点)は更新されたとみてよさそうだ.とはいえ,著者曰くまだ中間考察段階とのこと.
なお,ウェーバー読解のために引っ張って来られたルーマンについても(同様に名前しか知らない),組織論の経験的研究という側面があることが知られて勉強になった.個人的にはいろいろお得な本だった.が,タイトルがややデカすぎないかとは思う. -
マックス・ウェーバーが描き出した資本主義の精神とは何か、ニクラス・ルーマンの論も入れながらたどった本。
この二人が偉大なのは、合理的組織が何なのかを、私たちが本当はよく知らないことを知って逃げずに考え続けたところにあるという。
私たちも、現代社会に真摯に向き合う必要があるのではないか。 -
ウェーバーやルーマンのことは、正直言ってよくわかりませんが、
日本では、大塚久雄という人のウェーバーの解釈が幅を効かせているようだけれども、それは間違いだということはなんとなくわかりました。
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361.234||Sa
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ウェーバーを今日の組織論の成果から逆照射して、その原点を築いた思想家として解釈する試み。その到達点としてルーマンの思想を置いている点が独特である。肝心のルーマンについて著者の理解がほとんど示されないので、この議論の妥当性について本書だけで判断するのは難しいが、ウェーバーを読解するための観点としては面白い。「プロ倫」の着想としたと思われる実在の会社の組織形態からウェーバーの議論を貫く主題を導くのはやや突飛ではあるが雑然としたウェーバーにはまだまだ解釈の余地があると思わせる点で非常に感心させられる。大塚久雄を全否定する件は痛快である。とはいえ、ウェーバーの「正しい」解釈がこれだけであるとするのはまた、大塚久雄と同じ陥穽にはまってはいないか(たしかに大塚久雄流の「マルクス主義」の公式に当て嵌めるのは完全に正しくないとはいえ)。
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すごく面白かった。昔『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を読もうとしたが難しくてすぐ挫折した。その後、大塚久雄の本やらを読んで、僕の『プロ倫』への理解というかイメージは、大塚久雄的になっていた。
ところが本書はそれが不十分だという。ウェーバーが考える、資本主義をもたらしたものは、宗教的倫理ではなく合理的精神だと考えていたという本書の主張は、衝撃ですらあった。
説得力を感じるのは、『プロ倫』だけ読んでも「資本主義の精神」はわからないので、ウェーバーの著作あるいは研究全体を理解したうえで「資本主義の精神」を考えないといけないとする点。なるほど確かにそうである。