人類の歴史を変えた8つのできごとII――民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編 (岩波ジュニア新書)

著者 :
  • 岩波書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784005007127

作品紹介・あらすじ

第2巻では、人類の歴史に大きな影響を及ぼした、4つのテーマに焦点を当て、その成立から現代に至るまでの過程、社会に与えた影響や意義について、さまざまな角度から解説し、わかりやすく論じる。

感想・レビュー・書評

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  • 歴史を活かすためには歴史を知るだけでは駄目。
    歴史から学ぶ必要がある。
    何があったのか、なぜそれは起こったのか、どんな結末になったのか。

    また歴史通しを比較して、何が同じなのか、違うのか、何を学べば良いのか。

  • タイトルには「民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾」とあるので、読んでいない人は「ほかにも大事なできごとがあるだろう」と思うかもしれないが、民主主義には現代の民主主義に至るまでの政治制度が、報道機関には情報伝達の歴史が、産業革命には発明と科学の発展が、原子爆弾には戦争の歴史と変化、国家の成立が含まれていて、かなりのファクターが入っているので、安心してください。
    著者はあくまで、「賢者は歴史に学ぶ」ということで、たくさんの文献からの情報をまとめて提示しているだけ(とはいえ、それはたいへんな作業で頭が下がる)なのだが、自ずと言いたいことは伝わってくる。
    膨大な量の情報をまとめるため、早足になっているのは仕方ないと思う。基本的な教養として知っておきたいようなことばかりだった。そして、そんな基本的なことも知らずに大人になってしまったことが恥ずかしい。ジュニア新書ターゲットの若い人にも大人にも是非読んでほしい。
    日々起こっていることも、過去に似たようなことがあり、それがどんな経過を辿ったかを知れば、大きな間違いは防げるというようなことが書いてあったが、本当にそうだと思う。
    紀元前400年頃、当時まだまだ珍しかった民主主義が行われていたアテナイで、シチリアへの遠征を興奮のうちに満場一致で可決した結果、スパルタから反撃され大失敗に終わったことがあった。
    「知識のない人々が、政治上の判断を下す場合、往々にしてその場の感情が優先され、判断が、目先のことしか考えない過激なものになるケースが多いこと、もたしかです。」(P15)
    戦争中に、日本の報道機関が戦勝報告ばかりして軍や政府の宣伝機関になっていたのは、もちろん言論弾圧もあったが、戦勝記事を載せれば売れるという面もあった。戦勝記事を読んだ人は日本の勝利を確信し、更なる戦果や戦争拡大を望む。
    「社会の方向性によっては、報道機関のあり方が、変わってしまう可能性があることを、私たちはきちんと認識しておく必要があるでしょう。」(P77)
    慢性的な飢餓はいびつな経済構造や内戦など社会問題で起こっているが、報道機関は「飢餓に関する一見似たような映像や記事を、発信しつづけた場合、視聴者や購読者がすぐにあきてしまう」(P85)ことを知っている。つまり、危機的な状況が存在しても、あまり報道されないということはある。
    「世界の重要なできごとがすべて報道されるわけではないこと。とくに変化にとぼしい慢性的な状況であればあるほど報道がなされにくいことは、覚えておく必要があるでしょう。」(P85)

    他にもボタンの話(ボタンは紀元前から装飾品としてあったが、服をとめる目的で使われたのは随分あとで、ヨーロッパ各地に広まるまでに4000年以上かかったP112-113)、産業革命で重要な発明をした人たちはことごとく排斥され(仕事を奪われるとわかったため)、不幸な最後を遂げている話、鞍と鐙の話(馬に引かせた戦車は紀元前2500年頃にはあったが、それはなぜかというと乗馬しながらの戦いが難しかったから。それはなぜかというと、鞍と鐙がなかったから。鞍は紀元前2世紀から一世紀、鐙は中世までなかった。だから、馬に乗る時は落馬しないように馬の胴体を太ももで締め続ける必要があり、それだけで精一杯だった。(P188〜190)といった面白い話もたくさんあった。
    唯一納得できなかったのは産業革命で、イギリスでは富裕層の方が貧困層より多く子どもを生んで育てていた、というところ。(P151〜)避妊、中絶が難しい時代なら、栄養状態が良く、医療の恩恵が受けられる富裕層の子どもが多く生き残るのは、イギリスに限ったことではないのでは?と思ったが。

  • 一作目が良かった為こちらも読んだ。
    わかりやすく読みやすい。中高生の頃読みたかった…

  • 歴史
    社会

  • まあまあかな

  • 民主主義、報道、科学の辺りは、時間的な距離もあってかそれ程ではなかったのですが、「戦争」の項目はより身近な出来事で、現在進行でこの地球の何処かしらで起こっているのですから、キューバ危機の事など知らなかった自分を恥じ、また、これからも国際情勢を注視ていこうと思いました。

  • 新書文庫

  • 下巻のほうは、だんたん「出来事」ではなくなってきた。サブタイトルは「民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾」だけど、実際の章題は「民主主義の登場」「報道機関の登場」「科学技術の発展と産業革命」「戦争技術の進化と原爆投下」である。特に後半2つは「産業革命」「原子爆弾」にとどまらず、むしろ「科学技術の発展」「戦争技術の進化」のほうに重点がおかれている。これはつまり人類の歴史を考えたときに、「その時歴史が動いた」とばかりにエポックメイキングな出来事を設定することの難しさを表明しているのだろう。考えてみれば民主主義も報道機関も同様で、人類の歴史にとって重要なのは「何が誕生したか」ということよりはむしろ、「それがどのように歴史のなかで展開してきたか」なんだろういうことを、この本の構成は図らずも示しているのだろう。その意味では、本のタイトルは「人類の歴史にとって重要な8つのこと」のほうがふさわしいようにも思えた。逆にいうと、「8つのできごと」というタイトルでは、瞬間的なエポックメイキング的な出来事を重視する歴史像を読者に与えてしまって、よくないのではないのかな、と感じた。

    ただ人類の歴史を考えるときに、上巻で扱った言語・宗教・農耕・お金といった形で歴史を切って語っていくという考え方は面白いかもしれないと思い直すようになった。人類の歴史を教科書のように時代順に「ひとつのストーリー」で叙述するのではなく、多様な歴史の観点を設定して、いくつものストーリーを見せるという(そしてそれは時間を行きつ戻りつする)意味で「ジュニア新書」としては中学生に教科書と違った歴史観を提供しているのだから、意義あるものなのだろう。そういうメタ的な視点が読者に伝わっているかどうかは、わからないが。

  • 民主主義
    アテナイの直接民主制=人口が4万人程度だった。このくらいが限界。
    モンテスキューの三権分立。「法の精神」
    アメリカとEUが民主主義を広めるための努力をしている。民主主義とは選挙。
    アメリカの大統領選も50~60%程度。中間選挙は30%台。ヨーロッパは80%くらいが普通。棄権には罰金もある。
    国民投票。

    功利主義=最大多数の最大幸福。
    共同体主義。
    世界の4割弱が民主主義を採用していない。

    報道機関
    カエサルの壁新聞。
    ラジオ放送のドラマ「宇宙戦争」
    報道が全てではない。
    ウィキリークスの登場。

    科学技術

    戦争技術

  • 資料番号:011466109
    請求記号:209シ

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著者プロフィール

眞 淳平(しん・じゅんぺい):1962年生まれ。環境・社会問題エディター。慶應義塾大学経済学部卒業。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了(国際政治学修士)。法政大学大学院社会科学研究科修士課程修了(経営学修士)。集英社での女性誌などの編集部勤務を経て、独立。環境問題、社会問題、国際関係等が専門。著書に、『地図で読む「国際関係」入門』(ちくまプリマー新書)、『21世紀はどんな世界になるのか-国際情勢、科学技術、社会の「未来」を予測する』『人類の歴史を変えた8つのできごとⅠ-言語・宗教・農耕・お金編』『同Ⅱ-民主主義・報道機関・産業革命・原子爆弾編』『人類が生まれるための12の偶然』(ともに岩波ジュニア新書)など多数。

「2024年 『ニッポンの数字』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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