治療文化論: 精神医学的再構築の試み (岩波現代文庫 学術 52)

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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006000523

感想・レビュー・書評

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  • 著者の中井久夫は、精神医学の世界ではかなりの大物(らしい)。ネットで探してみると、著作リストの長さにびっくりします。
    そんな予備知識はともかく、すげぇなぁと思ったのは、著者の守備範囲の広さ。

    心理学、精神医学に関する分野はもとより、文学、哲学、地理学、文化人類学にまで及ぶバックグラウンドから、文化依存的症候群(例えば、日本の狐憑き)にアプローチを仕掛けていきます。

    このアプローチが、果たしてどういう位置づけがされるべきものかは、門外漢の私にはちんぷんかんぷんですが、文化と精神疾患の関係をはじめ、精神科医のあり方、天理教の開祖中山ミキをケースとした個人症候群の分析、治療者と患者の関係等、へぇ〜と思うことが多かったです。

    なにより、文章が独特でありつつも美しいので、音に流されているだけでも心地よくなります。
    内容がわかる、わからないはともかく、自分の文章の調律用にいい一冊かと。

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著者プロフィール

中井久夫(なかい・ひさお)
1934年奈良県生まれ。2022年逝去。京都大学法学部から医学部に編入後卒業。神戸大学名誉教授。甲南大学名誉教授。公益財団法人ひょうご震災記念21世紀研究機構顧問。著書に『分裂病と人類』(東京大学出版会、1982)、『中井久夫著作集----精神医学の経験』(岩崎学術出版社、1984-1992)、『中井久夫コレクション』(筑摩書房、2009-2013)、『アリアドネからの糸』(みすず書房、1997)、『樹をみつめて』(みすず書房、2006)、『「昭和」を送る』(みすず書房、2013)など。訳詩集に『現代ギリシャ詩選』(みすず書房、1985)、『ヴァレリー、若きバルク/魅惑』(みすず書房、1995)、『いじめのある世界に生きる君たちへ』(中央公論新社、2016)、『中井久夫集 全11巻』(みすず書房、2017-19)

「2022年 『戦争と平和 ある観察』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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