治療文化論: 精神医学的再構築の試み (岩波現代文庫 学術 52)
- 岩波書店 (2001年5月16日発売)
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- Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006000523
感想・レビュー・書評
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著者の中井久夫は、精神医学の世界ではかなりの大物(らしい)。ネットで探してみると、著作リストの長さにびっくりします。
そんな予備知識はともかく、すげぇなぁと思ったのは、著者の守備範囲の広さ。
心理学、精神医学に関する分野はもとより、文学、哲学、地理学、文化人類学にまで及ぶバックグラウンドから、文化依存的症候群(例えば、日本の狐憑き)にアプローチを仕掛けていきます。
このアプローチが、果たしてどういう位置づけがされるべきものかは、門外漢の私にはちんぷんかんぷんですが、文化と精神疾患の関係をはじめ、精神科医のあり方、天理教の開祖中山ミキをケースとした個人症候群の分析、治療者と患者の関係等、へぇ〜と思うことが多かったです。
なにより、文章が独特でありつつも美しいので、音に流されているだけでも心地よくなります。
内容がわかる、わからないはともかく、自分の文章の調律用にいい一冊かと。詳細をみるコメント0件をすべて表示