家父長制と資本制: マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫 学術 216)
- 岩波書店 (2009年5月15日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (462ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006002169
作品紹介・あらすじ
女性への抑圧はいったい何に由来するのか。著者は主婦・家事労働に着目しつつ、階級闘争でも性解放運動でも突破しえなかった、近代資本制社会に特有の女性抑圧構造を、理論的、歴史的に明快に論じてみせた。マルクス主義フェミニズムの立場を打ち出し、研究の新たな地平を拓いた記念碑的著作。
感想・レビュー・書評
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-2022.10.23読了
上野千鶴子渾身の著作、おそらく彼女の代表作というべき書であろう。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
日本のジェンダー論をわかりやすい二軸論にたてかえ、フェミニズムとマルクス主義における女性論を整理した本。
もちろんわかりやすくしたのだから、種々の議論が抜けている、視座が偏っている、などなどの批判はある。が、≪男性=女性≫という対立関係の中から抜け出せないで議論されていた女性論、僕なりに言えば「解放される主体としての女性をどこにおいたらいいのか論」を、マルクス主義批判をもって非常にわかりやすく転回しまとめたという点でこの本の価値はある。
またこの家父長制と資本制という二軸から女性論を捉える視座の批判から、それをすることによって初めて明らかになる人間関係を規定する制度もあるだろう。
本人の過激な発言で脚光を浴びまた批判を浴びることの多い筆者だが、マルクス同様人間性に囚われない新しい批判がこれから登場しさらなる男女論、そして社会科学(科学?笑)の発展のためにも真摯に読まれ批判されて欲しい一冊だ。 -
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論理的にフェミニズムを学んだことがなかったので読んでみたものの、前提知識がなかったことと間を開けて読んでしまったので内容がしっかり頭に入らず…
勉強していつか再読します… -
圧倒的な迫力がある…文体からも内容からも。
途中まで、1970頃に書かれたものだと思わなかった。それほどまでに(残念ながら)今でも共通して当てはまることが多い。 -
上野千鶴子がいかにしてフェミニズム界のスターになったのかがよくわかる。これだけ鮮やかかつ明晰に理論を展開できる手腕はすごい。
30年も前の本なので、今ではさらに研究が蓄積され、理論的にも実証的にこれを乗り越える研究がいくつもされているのだと思う。とはいうものの、ここで指摘されている家父長制的な男性のあり様に対する批判は、今でも全然通用する。というか、外形的には大きく変わっているように見えて、その実、このメカニズムは完全に温存されているし、それに乗っかった男性の意識も変わっていないように思う。
なにしろ「そして父になる」みたいな作品が感動作として平気で成立・流通している世の中だから、まだまだ先は長い。 -
[ 内容 ]
女性への抑圧はいったい何に由来するのか。
著者は主婦・家事労働に着目しつつ、階級闘争でも性解放運動でも突破しえなかった、近代資本制社会に特有の女性抑圧構造を、理論的、歴史的に明快に論じてみせた。
マルクス主義フェミニズムの立場を打ち出し、研究の新たな地平を拓いた記念碑的著作。
[ 目次 ]
1 理論篇(マルクス主義フェミニズムの問題構制;フェミニストのマルクス主義批判;家事労働論争;家父長制の物質的基礎;再生産様式の理論;再生産の政治;家父長制と資本制の二元論)
2 分析篇(家父長制と資本制第一期;家父長制と資本制第二期;家父長制と資本制第三期;家族の再編;結び―フェミニスト・オルターナティヴを求めて)
付論 脱工業化とジェンダーの再編成―九〇年代の家父長制的資本制
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ] -
難しかったけど、時々でてくるフェミニズム的問題提起に納得したりして楽しめた。もう一回じっくり読まないと理解できない。
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上野千鶴子氏の研究書。わたしは、氏の評論に才気を感じるが、研究書は男社会のうえに成り立ち、あまり魅力を感じない。