日本軍の治安戦──日中戦争の実相 (岩波現代文庫 学術471)

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  • Amazon.co.jp ・本 (368ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006004712

作品紹介・あらすじ

治安戦とは、占領地、植民地の統治の安定を確保するための戦略、作戦、戦闘、施策の総称である。日本軍が行った治安戦(三光作戦)の過程を丹念に辿り、加害の論理と被害の記憶から実相を浮彫にする。解説=齋藤一晴。

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  • プロローグ 山西省の治安戦における宮柊二と田村泰次郎
      歌集『山西省』に歌われた治安戦
      田村泰次郎「裸女のいる隊列」に描かれた治安戦
      治安戦と三光作戦

    第一章 日中戦争のなかの治安戦
     1 日中戦争の開始
      中国における二つの戦場と治安戦
      盧溝橋事件
      治安維持工作の始まり
     2 一九三八年の作戦と戦闘
      長期総力戦へ
      華北の占領地統治
      特務機関の宣撫工作
     3 一九三九年の作戦と戦闘
      泥沼の戦争へ
      天皇制集団無責任体制
      重慶爆撃
      汪精衛政権樹立工作
      海軍の海南島占領
      南寧占領と北部仏印進駐の強行
      関東軍の暴走によるノモンハン事件
     4 華北における治安工作の開始
      日支新関係調整方針
      「治安粛正」の目的

    第二章 華北の治安工作と「第二の満州国化」
     1 北支那方面軍の治安粛正計画
      長期化する戦争
      治安工作の思想と目的
     2 北支那方面軍の軍政実施
      抗日意識の高まり
      新民会と宣撫班の統合
     3 華北の「第二の満州国化」
      華北経済の収奪的支配
      県城と農村の支配
      プロパガンダ工作
      「第二の満州国化」構想と興亜院
     4 華北における治安戦の開始
      治安戦の開始
      治安戦初期の状況

    第三章 百団大戦と治安戦の本格化
     1 一九四〇年の作戦と戦闘
      ドイツ軍の攻勢に幻惑された日本
      南進へ
     2 百団大戦の衝撃
      八路軍の攻勢
      甚大な被害
     3 なぜ百団大戦が発動されたか
      華北における抗日根拠地の成立と拡大
      八路軍総司令朱徳の報告
      百団大戦を発動させた内外情勢
     4 報復としての治安戦の本格化
      報復作戦決行
      抗日民衆対象の三光作戦

    第四章 アジア・太平洋戦争と治安戦の強化
     1 一九四一年の作戦と戦闘
      国策の奔放からアジア・太平洋戦争突入へ
      「関特演」=対ソ戦発動準備
      強硬派による対米開戦決定
     2 華北の総兵站基地化
      アジア・太平洋戦争開戦
      経済収奪のための治安戦
      汪精衛政権の対米英参戦
     3 汪精衛政権下の清郷工作
      新四軍の勢力拡大
      清郷工作
     4 海南島における海軍の治安戦
      軍事拠点としての海南島
      抗日根拠地の形成
     5 本土防衛のための中国戦場
      逆転する戦争遂行の目的
      膨大な犠牲を強いた大陸打通作戦

    第五章 治安戦の諸相――加害者の論理と被害者の記憶
     1 華北における治安戦の全体像
      北支那方面軍の作戦
      引用する基本史料
     2 掃蕩作戦と「収買作戦」――山西省
      山西省における掃蕩作戦
      「罪悪事実」の手段と総数
      被害民衆の記憶
     3 無住地帯(無人区)と経済封鎖――河北省
      治安戦遂行者の証言と回想
      虐殺事件の記憶と記録
      無人区と集団部落
     4 細菌戦――山東省
      魯西作戦(一九四三年秋)におけるコレラ菌作戦
      記憶されなかった被害者の悲劇
     5 三光作戦の被害概数
      戦後補償要求裁判
      被害総数

    エピローグ 対日協力者=漢奸たちの運命はどうなったか
      対日協力者たちの戦後
      日中戦争の実相へ

     注
     あとがき
     岩波現代文庫版あとがき
     解 説……………齋藤一晴
     巻末史料(表/地図)
     索 引

  • 東2法経図・6F開架:B1/8-1/471/K

  • 【蔵書検索詳細へのリンク】*所在・請求記号はこちらから確認できます
     https://opac.hama-med.ac.jp/opac/volume/479945

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著者プロフィール

1944年、群馬県生まれ。東京教育大学大学院文学研究科修士課程東洋史学専攻中退。学術博士(東京大学)。都留文科大学名誉教授。専門は中国近現代史、日中関係史、東アジア近現代史。主著に『南京事件』(岩波新書)、『第一次世界大戦期の中国民族運動』(汲古書院)、『日本軍の治安戦』(岩波書店)、『憲法九条と幣原喜重郎』(大月書店)、『日中戦争全史(上・下)』『通州事件』(以上、高文研)、『海軍の日中戦争』(平凡社)、『増補 南京事件論争史』(平凡社ライブラリー)などがある。

「2023年 『憲法九条論争 幣原喜重郎発案の証明』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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