花と龍 上 (岩波現代文庫 文芸 100)

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  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006021009

作品紹介・あらすじ

明治の終り、故郷を追われ北九州若松港に流れてきた男と女。二人は最下層の荷役労働者となり、度胸と義侠心で荒くれ男を束ね、波止場の暴力と闘う。男は玉井金五郎、女はマン。男の胸の彫青は昇り龍に菊の花。港湾労働の近代化を背景に展開する波乱万丈の物語。著者は本名玉井勝則、金五郎・マンの長男、実名で登場する。

感想・レビュー・書評

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  • 著者の父・玉井金五郎と母・マンが出会うまでの、それぞれの半生の記録から物語りが始まる。2人が結婚に至るお互いが「結婚する」という噂を流すというところが特に痛快!キップの良い男女が痛快で、北九州の任侠たちの世界が爽やかに読める。このような中から生まれてきた子の小説家、そして孫の中村哲なんだ。つまり火野葦平の甥が中村哲なのである。

  • 中村哲さんの生まれ育った時に周囲にいた人たちの雰囲気を知りたくて読んだ。なるほど、こういうところから、中村哲さんのような人が出てくるんだと感じた。下巻も楽しみ。

  • 劇団文化座が花と龍を上演するというので観る前に読んでおこうと思い読んだ。その舞台のチラシにスタインベックのエデンの東との比較が乗っていたので、先にエデンの東を読み、次に花と龍を読むこととした。エデンの東も映画化されているが、花と龍も映画化されている。どちらも作者の係累や知り合いを登場人物とするノンフィクション色の濃い小説である。
    花と龍はヤクザではないものの血の気の多い仲仕たちが主人公で任侠物のような活劇と、なっている。話のテンポも良いし、勧善懲悪のような大衆小説である。スタインベックもそうだから昔はエンタメと言っても、人の本質とは何かとか、行動の規範はどうあるべきかを主人公が思いなやむシーンが出てきて昨今のエンタメとは様相が異なる。小説が今より社会的に影響力があったので、作者も気合いが入っていたのだろうと見受けられる。ネット上の記事で知ったのだが、1957年に日本で初めて国際ペンクラブが開かれたとき、参加したドナルド・キーンが英訳された日本の近代文学作品を探したら火野葦平の麦と兵隊しかなかったというくだりがあった。またその大会にはスタインベックも参加している。スタインベックは麦と兵隊を、読んだのであろか?ひたすら濃い格好の良い金五郎とマンのその後は如何に?で、下巻に続く。

  • 他の方と同じように中村哲先生繋がりで読みました。しかし自分が小説家だとして、自分の親を書こうと思うだろうか?すごいなぁと思った。

  • 朝日新聞の文学紀行の博多編である。若松の金五郎が組長になり組合をつくるが襲撃されて瀕死の重傷を負う、というところまでである。現在は北九州市になったが、沖中仕の集まりでのヤクザの成長の物語であり、現在の人も納得させるような火野葦平の小説である。

  • 作者、火野葦平が自らの両親の人生を綴った小説。
    任侠ものと聞いて読んだけれど、思ったよりも血生臭さがなくて楽しく読めた。
    とにかく主人公がいい男。実話を描いたにしては美化しすぎている感もあるが、読んでいて気持ちがよく、続きが気になる。下巻も楽しみ。

  • 九州などを舞台とした作品です。

  • 読み中

  • 久しぶりに小説を読んだからか?面白かった。am1〜am5まで4時間ぶっ通しで読んでしまった。結果、翌日1、2限欠席。
    行政法の本もこれぐらい集中して読めたら良いのになぁ。。
    早速(下)を注文。

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著者プロフィール

1907年1月、福岡県若松市生まれ。本名、玉井勝則。
早稲田大学文学部英文科中退。
1937年9月、陸軍伍長として召集される。
1938年『糞尿譚』で第6回芥川賞受賞。このため中支派遣軍報道部に転属となり、以後、アジア・太平洋各地の戦線に従軍。
1960年1月23日、死去(自死)

「2016年 『青春の岐路 火野葦平戦争文学選 別巻』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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