冬の蕾――ベアテ・シロタと女性の権利 (岩波現代文庫 文芸 328)
- 岩波書店 (2020年10月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (204ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006023287
作品紹介・あらすじ
想像してみてください。個人よりも家や家族が重んじられ、女性はつねに男性に従い、選挙権もなかった時代を。敗戦によって、そうした冬の時代に憲法の男女平等条項という一つの「蕾」がもたらされました。本書は、この条項を起草したベアテ・シロタの生涯をたどる名作漫画です。現代日本を生きる女性たちを描いた三つの短篇を併せて収録します。(解説:田嶋陽子)
感想・レビュー・書評
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初出は93年。樹村みのりはひとつのテレビ番組を観て、憲法に男女平等条項を入れた若い女性の半生を描くことにした。未だベアテ・シロタさんの名前が広く知られていなかった時である。
その後、シロタさんの自伝も映画も出来た。シロタさんの公表が遅れたのは、若干22歳だった彼女の歳が改憲論客に利用されるのを恐れていたからだそうだ。
彼女の草案の是非については、多くの詳しい本があるだろうからそちらにお譲りする。私は、一、二の思い切った橋を渡ったのかもしれないが、何一つ間違ったことを書かなかった、むしろ#ME TO運動や昨今の女性差別発言事件を見るにつけ、75年先の未来をも見据えた素晴らしい仕事だったと思う。去年、本書が岩波現代文庫に入ったのも、そういう経緯からだろう。現代にこそ、広く読んでもらいたい。
偶然が3回続けばそれは必然である。
とは、最近映画「花束みたいな恋をした」の感想を書いた時に、ある人から教えてもらった箴言だ。
樹村みのりは、3回どころか、シロタさんの憲法草案の仕事は、様々な偶然が奇跡的に重なった必然だったことを、まるでドキュメンタリーのように見せた。シロタさんが産まれた時のこと、日本に関係なかった両親が来日したこと、日本で育ち、アメリカで語学を学び、その経験で日本と米国のジェンダー問題の現場を見てきたこと、また敗戦時いち早く日本に戻って奇跡的に両親に再会出来たこと、心が安定した時に2週間の草案の仕事に取り掛かったこと。まるで日本国民に、憲法24条という贈り物をするために生まれてきたような女性だった。こういう構成は、おそらく樹村みのりの発明だろう。
樹村みのりを約40年ぶりぐらいに読んだ。本書には2002年発表の短編三編も載っているし、文庫本用のあとがきも書いている。元気なことを知れて嬉しい。驚くのは、レビュー以来、ひとつも変わらないその硬質な「画」である。これは、漫画家としては驚異的なことだと思う。 -
憲法24条を作ったベアテ・シロタの半生を描いた作品に、ジェンダーをテーマにした作品3点を付したもの。シロタの案が日本での生活体験に根差したものであったこと、また当初案では非嫡出子の権利保障など、現行憲法よりも先駆的な内容が盛り込まれていたことなどが紹介されている。
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冬の蕾。まだまだ花は咲いてないし、踏み躙ろうとしている政権が跋扈している。しかし、それでも蕾はあるし、ガードナーたちも闘っている。
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「女性」つながり。
内容:憲法の男女平等条項を起草したベアテ・シロタの生涯をたどる名作漫画。 -
→拙ブログ「旅と本と、おしゃべりと・・・」へ
https://blog.goo.ne.jp/mkdiechi/e/57550aa6734f1f92ec05190d401d63bd -
現代では当たり前になった女性の権利。
その権利を守るために奮闘したベアテ・シロタさんの話をマンガにしたもの。
戦前の日本で女性はどんな扱いを受けていたか描かれているので、日本国憲法24条の有り難みがよくわかる。
樹村みのり「硬質な『画』」
ちょっと目が悪くなったか、握力が落ちたんじゃないか?と思ったのは、猫の記憶の中で美化されて...
樹村みのり「硬質な『画』」
ちょっと目が悪くなったか、握力が落ちたんじゃないか?と思ったのは、猫の記憶の中で美化されているから、、、
「菜の花畑のむこうとこちら」を引っ張り出したい気分
何しろ40年ぶりの樹村みのりなので、前から「硬質」だったかどうかは良くはわかりません。でも一眼見たら忘れられない彼女の画は、よく覚...
何しろ40年ぶりの樹村みのりなので、前から「硬質」だったかどうかは良くはわかりません。でも一眼見たら忘れられない彼女の画は、よく覚えています。