サンバガエルの謎: 獲得形質は遺伝するか (岩波現代文庫 社会 71)
- 岩波書店 (2002年12月13日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006030711
作品紹介・あらすじ
一九二〇年代、オーストリアの生物学者パウル・カンメラーはサンショウウオやサンバガエルを使用した実験で獲得形質が遺伝すると主張した。すぐさまダーウィン学派は彼の実験を偽造だと攻撃した。『真昼の暗黒』『偶然の本質』などで有名な作家ケストラーが、遺伝学論争に敗れたカンメラーの悲劇とアカデミズムの独善性を糾弾した白眉のドキュメント。
感想・レビュー・書評
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小保方さんとSTAP細胞関連の記事などで、本書に言及しているものが少ない気がする。どうしてだろうか。久しぶりにぱらぱらと読んでみたら、以下のようなカンメラー本人の発言もあって、少し驚く。
「残念ながら、私の実験を繰り返すのは困難な業であります。実験は十余年もの長きにわたっております。結果が確認されるには、少なくとも、これと同じ長い年月を待たねばならないのでありましょう。」22頁
カンメラーの悲劇的な自死(1926年)から30年以上経った1959年になっても、反カンメラー派のH・グラハム・キャノン(マンチェスター大学教授)は、カンメラーをおとしめるため、強い悪意と学術的詐術に満ちた文章を書き続けていたというのも驚く。
驚きついでに書くと、今回読んで、あのアルマ・マーラー・ヴェルフェルがカンメラーの助手だったというのも知ってびっくり。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
この本の存在を知ったのは、某自然系博物館の学芸員のSNSでのこと。
当初分類を「自然科学」にしたが、読みながらこれはどちらかというとノンフィクションの部類に入るのでは?と感じた。数奇な人生を辿った学者について知る一冊。
戦前に撮影されたという「サンショウウオ」の映画を観てみたい。