顔をなくした女: 〈わたし〉探しの精神病理 (岩波現代文庫 社会 124)
- 岩波書店 (2005年11月16日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (267ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006031244
感想・レビュー・書評
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以前、法月綸太郎の本格ミステリアンソロジーに「偽患者の経歴」が収録されていて、実録物語にもかかわらず叙述ミステリのような面白さで、この作者の著書に興味を持ちました。
自分の顔がないと訴える女性や、多重人格者、統合失調症など、心を病んでしまった人たちと向き合い、時には失敗しながらも治療に当たる様子が描かれている。精神病の治療というのは随分根気のいるものなのだなぁと思った。心の病気は目には見えないし他人には理解できないものだから厄介だ。一体何をもって完治したと言えるのだろうか。
興味深い一冊だった。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
精神科医の筆者のもとに訪れる患者の中で筆者の印象深かったものについての記述が主。
なかなかに興味深く読めたが、それ以上でも以下でもなく。私は精神科医ではないので参考になる、とかいうのもありえないし、「へぇ〜」「とか「ふぅーん」という感じ。
誤解を生む言い方になるかもしれないが、精神病を患っている人が語る風景や感覚はかなり芸術に通じるものがあるように思えた。 -
貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784006031244 -
メンタルに問題を抱えた患者を診察している
精神科医による本。
おもしろく読めるのだが、一つの結論に向かって
進んでるわけではなく、へーそーなんだとか、
なるほどねなどの感覚からは出られなかった。 -
精神科医が患者さんの症例を元に人間に関して
考察を加えている話。
「顔がない」という女性の話なんかはとても示唆的。
彼の考察によると、精神病患者たちは独特の言語世界をもっており、それを理解したうえで糸を解きほぐしてあげるとそれが回復につながることがあるのだとか。
これはオススメの本です。 -
精神科医である著者が、いくつかの精神疾患の症例を具体例と共に話を進めていきます。人間は、何にどのように影響されていくのか?そして、その結果どのようになり得るのかを考えさせられる、興味深い1冊でした。
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人として生きていくために。
自分がそこにいて、自分が自分らしく存在できるために。
模索している患者と医師の話。
何時でも人は自分を見失うときがある。そんな時もう一度
読み返したい本。 -
2008.05.13
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いろいろな症例を載せた精神病理の本です。
大平健の失敗例なども掲載されていて、分かりやすいです。
しかし、人間って、不思議ですね。いろんなことを見聞きしていて、自分とは全く違う意識で捉えているので、不思議で、おかしく、また、おもしろくあります。
決して、病気の人がおもしろいのではなく、健康な人にも当てはまります。
ひょんなことから、分裂病になったり、幻覚、幻聴に悩まされたり……。我が身もいつかこうなるかもしれないな、と思うくらい、身近なものと感じました。
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副題として「<わたし>探しの精神病理」というタイトルがついています。この本は本当の精神病の症状や様子をリアルに描いていて読んでいて怖い部分もあるのですが、とても深い本です。怖いっていうのは、病気がではなくて、病気によって露呈した人の心の闇の部分が…なんですが。