紙の建築 行動する――建築家は社会のために何ができるか (岩波現代文庫)
- 岩波書店 (2016年6月17日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
- / ISBN・EAN: 9784006032999
作品紹介・あらすじ
人は自然災害によって死ぬのではなく、建物が倒壊することによって命を落とす。しかし災害が起こった場に、建築家の存在感は薄い-そのような問題意識により、世界中の被災地で避難民を支援してきた坂茂。二〇一四年にプリツカー賞の栄誉に浴した独創性と人道的取り組みへの意志は、どのように実践されてきたのか。地震と向き合わなければならない日本社会において、最も注目すべき建築家の思いと行動を伝える、最新インタビューを「あとがき」に加える。
感想・レビュー・書評
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日本人で、こんな建築家がいると知ったことは、驚きでもあった。
紙の家を作っている坂茂である。
阪神大震災の時に、「紙の教会」を作り、避難所を紙で作った。
紙といっても紙管である。
そこから、紙は「進化した木」だという。
アフリカ ルワンダの難民シェルターを作っている。
実に行動力がある。環境に優しい、そしてその地域の実情にあった建築を追求する。
そのなかで、ボランティアは、「やってあげる」ものでなく、「自分自身のためにする」という。
相手の立場に立った援助が必要。日本の震災の時のプレハブをアフリカに持っていって、果たしてよろこばれるだろうか?共問いかける。
最後に、北朝鮮にまでいって、建築家として手伝うことができるかと北朝鮮まで行く。
その行動力に、驚くばかりだ。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
神戸の「紙の教会」のときの神父や地域住民との人間関係のつくりかた。
あるいは、実績(認定)のため自費で別荘として「紙の家」をたてた行動力。
「ボランティアは自分のため」との一言も、かつての講演を思い出す。
加えて、UN等の国際協力への思いの強さが印象的。
日本人は英語力や、多民族・価値観での説得経験に乏しく、またゼネラリスト軽視というところはあるが、もっとUNに人を送るなどしてプレゼンス発揮&活動を拡げよと。なるほどな。 -
この本だけを読むと役人って愚かに読めます。何らか理由があるにせよ、柔軟性がないように思えます。
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わたしの好きな建築家は坂茂さんです
学生時代から社会人になってからもずっと「好きな建築家は?」の質問に対して「坂茂さんです」と答えてきました
坂さんの作品からはおおらかさや優しさが感じられるから好きでした
それって建物のデザインだけじゃなく、素材や光や、あらゆるものから来てるんだろうなぁ
となんとなく思いながら好きでいました
だけどこの本を読んで、
私は坂茂さんのことを何も知らなかったことが
はっきりわかった
成し遂げたいことに対する意志の強さ
行動力、計画性、環境や世界平和に対する思い
自分にできることを考え続けていること
常にチャレンジングな姿勢であること
好きなところというか、
漠然と持っていた敬意が解像度を持って確かなものになった気がします
傲慢なのではなく、謙虚でありながら
常に「自分にできないことはない」と思っている感じがあった
それから坂さんが、全員を「さん」付けで書いていたことが印象的だった
自分が関わったことがある人なら当然か?
と思うけど、概念化しつつあるくらい昔の巨匠に対しても。
わたしはこれから建築家全員の名前に「さん」を付けて呼ぼうと思いました
敬意を表しつつ、逆に身近に感じられる気もします -
2014年にプリツカー賞の栄誉に浴したバンシゲル
紙の建築を発想したきっかけの勿体無い、エコロジー、ボランティア、災害支援に着手した物語 -
上野ルートブックス
文庫は比較的新刊だが元は古い
経歴とか考え方は初めてまとめて読んだ