沖縄の歩み (岩波現代文庫 社会 313)

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  • Amazon.co.jp ・本 (372ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784006033132

作品紹介・あらすじ

米軍占領下の沖縄で、圧政への抵抗運動に理論・実践の両面で献身した著者が、沖縄の日本復帰直後の時期に、若い世代に向けて「これだけは語り伝えておきたい」とやさしく説き明かした、鮮烈な沖縄通史。「島ぐるみ闘争」の歴史の探究が進む中で再び注目の集まる幻の名著。(解説=新川明・鹿野政直)

感想・レビュー・書評

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  • 3万年以上前の氷河時代に始まり、明朝と交易した琉球王国を経て、江戸時代に薩摩藩配下に入ってからの搾取と差別の時代、凄惨を極めた沖縄戦、戦後の占領から復帰までの沖縄の歴史を描いた本。特に占領後沖縄基地がベトナム戦争の拠点となり、本土復帰までの民衆の戦いの様子が詳しく描かれ、住民の希望と国政の都合が一致することなく現在に至っているのだと言うことがよく分かる。

  • 【分断から信頼へ】
    73年刊の児童書の復刻。平易な文章で日本復帰までを描いている。薩摩の侵略以降搾取と差別の下に置かれたことには心が痛むが、他方内部にも分断や利害関係があることにも注意が払われており、一枚岩になれない沖縄への無念が感じられる。ただ一度、島ぐるみの土地闘争のみが時を得た瞬間であり、沖縄全体の連帯が成立すると同時に本土の高い関心も得られ、米の行動変容を促した。連帯した沖縄の潜在力を示しながら、しかし二度目の機会はなく米日都合の復帰が実現し、著者は未来に希望を託し筆を置く。

    著者は人民党事件で壊滅的状況に陥った革新勢力を地下活動で支え、党派を超えた人間的な信頼関係を大切にして島ぐるみ闘争の下地となる各勢力との協力関係を築いた陰の功労者。後に追放され60年に沖縄を離れている。復帰直後に著者は、当時のおとなにではなく未来のおとなに語りかけることを選択した。50年後の私たちはそれに応えられているか改めて反省したい。(ササキ/本土に沖縄の米軍基地を引き取る福岡の会)

  • 沖縄の今までの壮絶な歩みが記されていて、歴史を振り返えられる良書だった。

    沖縄の人たちの今までの歴史をみると、自ずと今の現状が、なぜそこに至ったのかがより深く理解できる。

    今まで日本政府(本土)から虐げられてきた沖縄。その歴史を知れば知るほど、辛く、申し訳ない気持ちに苛まれる。
    そして今もそれは終わることなく、彼らはずっと闘い続けている。

    先日私も辺野古に座ったが、これを代わる代わる毎日行い、それをもう3000日以上も続けていることに尊敬しかないし、何とも言えない感情が湧き起こってくる。

  • 朝日新聞「読書」欄掲載本(5月14日)
    摂南大学図書館OPACへ⇒
    https://opac2.lib.setsunan.ac.jp/webopac/BB50155572

  • 著者である国場幸太郎氏は本書を小中学生向けに著したようで、沖縄の歴史が平易に書かれています。基本文献として読む価値は今も高いと思えます。

  • 島ぐるみ闘争を支えた活動家が、沖縄を去った後に綴った通史。薩摩の支配下での社会制度・文化の変革や、沖縄の社会運動が抱えてきた弱点についても触れられていることが、叙述に厚みをもたらしている。

    なお、本書が指摘した沖縄の社会運動の弱点とは、本土への依存であった。この点は、もはやかなり克服されているのではないだろうか。むしろ本土の社会運動の方が、沖縄に依存しつつあるのではないだろうか。

  • 2019年7月読了。
    沖縄人民党、日本共産党の要職者で、「島ぐるみの土地闘争」の支援者でもあった著者・国場幸太郎による沖縄の通史。解説に「植民地論の、正真正銘の先駆」との紹介があり、書名こそ穏やかで中立的な装いだが、中身は鋭い内地の政府や戦後の支配者である米軍に対する批判、そして何よりも沖縄それ自身に対する批判が含まれている。

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