本の未来をつくる仕事/仕事の未来をつくる本

著者 :
  • 朝日新聞出版
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  • / ISBN・EAN: 9784022505460

感想・レビュー・書評

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  • 独立系本屋のカテゴリーではなく文脈で繋いだ本棚の世界観が大好きなのだけど、それはヒトが「新しい何か」と出会うためのひとつの要素。この本もそんな書店恵文社一乗寺店で出会った本。
    ここには本の選書・組み合わせではなくヒトと本をつなぐコミュニケーションの仕組みに関する目から鱗の事例が満載ですごく新鮮。まだまだこの分野にはいろいろな可能性がある&電子書籍化が進んでもリアル店舗でできることはたくさんあるよね。

  • 著者の内沼晋太郎さんは、ブックコーディネータという仕事を
    作った方で、これまでの既成概念にとらわれない、本と我々と
    の「出会いの場」を様々な形で提供している人である。
    本書は、『両A面』という一風変わった趣向で編集されており、
    右側は「本の未来を作る仕事」と題された部分であり、内沼さ
    んがブックコーディネータとして携わったこれまでの企画の紹
    介や、どういった意図でその企画を立ち上げたのか、といった
    ことが中心に書かれている。


    例えば「文庫本葉書」といったプロジェクトが、一番最初に記
    されている。


    これはクラフト紙に包まれていて、中身が見えなくなっている
    古本の文庫本を販売する、といった企画である。文庫本の表側
    は、住所やメッセージを記入する欄になっていて、裏面は、そ
    の文庫本から引用されたテキストが印刷されている、といった
    体裁になっている。


    中にどんな文庫本が入っているかは、購入した後でないと分か
    らず、購入者は、裏面の引用文だけを頼りに、中身を推察して
    本を買わなければならない。


    自分の気に入った引用文が、実は今まで嫌っていた著者による
    ものだったりするところが、この企画の面白いところだと内沼
    さんは語っている。


    ゆうメールを使って、友人知人に本を送ることもできるそう
    だ。


    自分たちが本を買うときは、本のタイトルや、誰が書いた本
    か、といったことを基準に購入する。


    ただ、そうなるとどうしても本のジャンルや、作者に偏りが出
    てしまい、新しい本との出会いが減ってしまう。しかし、そう
    いった先入観を取り払い、単に引用文が気に入ったかどうかで
    本を購入するというこの試みは、新しい出会いが待っている可
    能性が非常に高い。


    また、左側は「仕事の未来を作る本」と題された部分であり、
    内沼さんの仕事観が、飾らない言葉でつづられている。


    自分としては、こちらの部分のほうが衝撃を受けることが多
    く、自分も何かやらねば、という思いに駆られました。「や
    りたいこと」ではなく、「なりたい感じのイメージ」を持つ
    ことが大切らしい。


    そしてそれを細かくイメージすれば、そうなるためには何が
    必要なのか、どうしたらいいのか、といったことが少しずつ
    分かってくるという。


    本好きの自分としては、こういう仕事をしている人がいるの
    だと知った瞬間、非常にうれしくなり、また同時に悔しくも
    感じた。


    なぜ自分は、好きなことにこだわり続けることをしなかった
    のだろうか、と。


    社会人になるときに、「ああ、これで好きなものともお別れ
    だな」と、一種のあきらめの境地に達してしまい、今は、や
    りたくもない仕事をいやいやこなし(大してこなせていない
    けど・・・)、週末に酒におぼれるという、なんとも情けな
    い毎日を送っている。


    ホントは、こんなはずじゃなかったのに・・・と、自分のや
    りたかったことも見失い、悶々とした日々を過ごしていた。
    そしてそれが仕事にも影響して、周りに迷惑ばかりをかける
    ようになってしまっている。

    まあ、仕事の方は、もともと能力があるわけでもないので、
    どっちにしろ迷惑をかけ続けていただろうが・・・


    ただ、この人の本に出会い、自分にも何かできるのではない
    だろうか、と思うようになりました。


    とりあえず、自分の好きなことにかかわる、趣味の範囲を超
    えた活動を開始することから始めようと思います。


    そのための一歩がこのブログであり、ブログを始めた理由で
    もあります。


    自分の「なりたい感じ」に楽しみながら、マイペースに近づ
    いていけたらいいな、と思います。


    現状にモヤモヤしている人には、是非ともお勧めの一冊で
    す。

  • やりたいモチーフを見つけて、かけ算で稀少にする。
    お金をもらう仕事とお金をもらわない仕事を分ける。

    なんか考えるきっかけになりました。

  • ブック・コーディネーターという肩書きで知られる著者の
    これまでの仕事を紹介する「本の未来をつくる仕事」
    ロスト・ジェネレーション世代に向けた仕事論である
    「仕事の未来をつくる本」の両A面、といった体裁の本。
    氏の講演を受講する準備として読みはじめたときは
    「本の未来を~」の内容に興味があったのだが、読み
    終わってみると「仕事の未来を~」の内容の方が心に
    ずしんときた。ずっとモヤモヤと感じていたことを
    言い当てられた気がする。
    楽しく仕事して生きていくために自分も考えないと、と
    思った一冊。

  • この本もまた、
    いろんな意味でおもしろい本でした。

    表現から逃げているわけではなくて。(それもあるけど)
    時間に余裕がある時に本屋に行って、
    店員に尋ねたり検索端末を使ったりせずに自力でこの本の場所を探して、
    実際におもしろがるのが入口としてはベストではないだろうか。

    ところで、フリーランスとしての三種の神器は、
    ①文章を書くこと ②デザインをすること ③ウェブを制作すること
    だそうです。
    会社からは、①英語 ②エクセル ③簿記
    と言われたが、あれは何の必須科目だったのだろう。
    サンチュのジンギにもなりゃしない。

    またこの本では、覚えられやすいルックスになることは重要だといってます。
    とはいえ、この本の著者や、トップを走ってるクリエイティブディレクターみたいに奇抜な髪型にするのは現実的に不可能です。
    可能な範囲で考えて、ならば青シャツというのはどうだろう。
    気付かれるためには結構な日数と結構な枚数の青シャツが必要そうではあるが、
    なんだかメッセージ性もありそうだ。
    そんなわけで、30周年記念の会社の冊子に青シャツで登場予定。

    あれ、なんのこっちゃ。

  • 十文字学園女子大学図書館で所蔵しています。

    日外アソシエーツ bookplusより

    [ 内容 ]
    ブック・コーディネイターという職業をつくった、内沼晋太郎の仕事術。

    [ 目次 ]
    1 プロジェクト・ノート(文庫本葉書―book pick orchestra 2003;SHE HATES BOOKS―新世紀書店・仮店舗営業中2004;WRITE ON BOOKS―book pick orchestra+point of view 2005;TOKYO HIPSTERS CLUB―numabooks 2005 ほか)

    2 ポイント・オブ・ビュー(サガンの墓;あなたも古本屋に;本を読まなきゃいけないとどこかで思っている世代;本を読む ほか)

  • ”Dainさんブログで「スゴ本」として紹介。両A面の一冊。
    まずは「仕事の未来をつくる本」から読む。→読み終わった
    続いて「本の未来をつくる仕事」を読み始め。→読み終わった
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    T:
    P:
    O:
    ---
    <About WORK>
    ・「お金をもらわない仕事」と「お金をもらう仕事」の両方をやる (p.014)
    ・古くからの友達相手でも、積極的にあたらしくはじめた「お金をもらわない仕事」について説明しましょう。(p.20)
    ・「なんでこういうものがないんだろう?あったら面白いのに」と思うようなものをみつけて、それが社会貢献にならなくても、ビジネスになりそうになくても、ただ、「あったら面白い」という目的だけで、ひとつの活動として、自分で勝手に立ち上げてしまうことです。
     #SE×図書館司書とか?(p.23)
    ・その全貌を、まずは表面的な知識としてでかまわないので、なるべくきちんと勉強することです。(p.32)
     #本屋業界×児童教育業界
    ★仕事マップ (p.46)
     お金をもらう仕事(もらうための、もらえてしまう)・お金をもらわない仕事×時間でお金をもらう仕事・成果でお金をもらう仕事
     #このマップ、おもしろそう。つくってみよ?!
    ・「時間」は有限ですが、「成果」は無限です。(p.47)
    ・何度か誰かにパクられたくらいになってやっと、自分で「あたためたほうがいいアイデア」と「話したほうがいいアイデア」の区別がつくようになるのではないか、と思っています。(p.63)
    ・自分に合うコミュニティを持ったバーや飲み屋を見つけること (p.71)
    ・自分のリックスをできるだけ人に覚えてもらいやすいようにしておく(p.72)

    <About BOOK>
    ・WRITE ON BOOKS (p.16-17)
     本というものは、印刷された段階ではマスプロダクトであるが、何かしらの書き込みが加わった時点で、世界に一冊しか存在しないオリジナルなものとなる。
     #書き込むことで商品価値があがるかも、という実験。ここ MediaMarker もそうなんだろうね。
     #★家にある書き込みバリバリ本、売ることできるのだろうか…。
    ・encounter. (p.24-)
     #2回ほど遊びに行った
    ・honnobutai(p.52)
     本に登場する舞台を地図上にマッピングして共有するWebサービス
     http://honnobutai.org/
    ・自分の古本を自らの手で売るという行為はまた、独特の楽しみがある。そしてふつうは、なかなかそういう機会はない。(p.77)
    ★本に関する3つの世代(p.79-80)
     「本を読むのがあたり前の世代」
     「本を読まなきゃいけないとどこかで思っている世代」
     「本を自分とは関係ないと思っている世代」
    ・本のリズム、暮らしのテンポ 角田光代さん
     「本のリズムと自分の生活のリズムが合わないからに違いない」
    ・本屋自体に強い「伝えたい」メッセージがまずあって、それを中心に本の品揃えが構成されていて、そこにあてはまらないものは置かない、などという本屋は少ない。(p.87)
    ★たとえばそこに、そのホテルのブランドと顧客層に合わせて選ばれた良書が詰まった、大きな本棚があったらどうだろう。(中略)読みかけで眠ってしまったら、冷蔵庫のドリンクのように、チェックアウト時に買うことができてもいい。(p.92)
     #これ、おもしろい!!
    ・ぐっと我慢してぜひ、あなたが一番好きで、なくなると困る本屋で、なるべく買うように心がけましょう。という運動を、ぼくは広めようとしています。(p.94)
     #賛成!!
    ・本は選びにくいものだ
     買う前の段階で、人に入ってくる情報が多いから。(p.101-100)
    ・インタビュイーを募集して「ぜひ自分をインタビューしてほしい」という人が集まらない
    ・インタビューには批評が無い。()”

  • どのジャンルの棚に置かれるのか、あるいは二つのジャンルの棚に置かれるのかを実験するためにあえて本についての本と仕事についての本の二つが合体した本。デザインが面白い。

    本についての方では、内沼さんの仕事の実例から、本ってこんな使い方があるんだと視野が広がった。
    また、「本を自分とは関係ないと思っている世代」が出現しており、業界不況に拍車をかけているとの危惧から、その解決の糸口として子供、そしてその親が本を面白いと思ってもらえるような工夫が必要なのではないかとの話に確かに思ったのでもっと考えたい。

    仕事についての方では、お金にならない仕事の重要性が説かれている。お金をもらうための仕事とバランスを取りながら徐々に実績と実力をつけていき、お金をもらえてしまう仕事にシフトしていく戦略には希望が持てる。と同時に時間でお金をもらう仕事から成果でお金をもらう仕事へシフトしていくことで時間の自由を得ることができる戦略を学べた。この戦略で行くとなにものかになること、よくわからない人になることを実現でき、さらに面白い仕事を呼び込み、仕事が楽しくなるという良い循環が生まれる。
    それから、常連の店をつくること、都心の近くに住むメリットの話もなるほどなと思った。

  • 上梓されたのが2009年。
    それまでに氏が実践した本の売り方。
    そこにたどり着くまでに考えたこと、その後のこと。
    こうして読むと、発想が自由だなーと感じるが、きっと考えて考えて出した方法論なんだろう。
    刺激になった。

  • 読了

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著者プロフィール

1980年生まれ。ブック・コーディネーター、クリエイティブ・ディレクター。NUMABOOKS代表、下北沢「本屋B&B」共同経営者。著書に『これからの本屋読本』(NHK出版)、『本の逆襲』(朝日出版社)など。

「2018年 『本の未来を探す旅 台北』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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