- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784022509987
感想・レビュー・書評
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直木賞作家西加奈子氏の「ふくわらい」を読了。先日読んだ「サラバ」も素晴らしい本でしたが本作品もページ数は直木賞作品よりぐっと少ないのにかかわらず、同じようなインパクトを持った好作品でした。
「サラバ」でも主人公の姉が若い時分頭は良いのだが本人の思いがユニークすぎて他人とのコミュニケーションがなかなかうまく取れない存在として描かれていたが、本作品の主人公鳴木戸定も出版社に勤め優秀な編集者として働いてはいるが自分を表現するすべを知らず、友人もいない不思議な存在として描かれている。
そんな主人公が先輩編集者から引き継ぐ形でぐプロレスラーであり作家である守口と出会い彼の言葉に対する思い、世間とのつながり方に大きな影響を受け(余談ですが作者は代のプロレスファンで直木賞受賞の際にプロレスラーから勇気をもらったと発言して笑いを取っていました)、また同僚の小暮しずくとひょんなことから仲良くなり自分自身を少しずつ表現することに目覚めはじめ、そして盲目の青年武智次郎と出会い恋をすることとは自分をさらけ出すことであるということを教えられてといった数々の経験を通じてついには今まで自分を縛っていた殻を脱ぎ捨てる感動的なラストシーンにつながるインパクトのある物語だ。
題名であるふくわらいは本人が自分の世界に閉じこもり一人遊びをする大事なモチーフとなっているので詳しくは書かないが、著者の人間観察の鋭さが主人公が福笑いで一人遊びをする様からにじみ出てきている感じがした。
まあちょっとグロいシーンもあったりするので多くに人には進められないが、コミュニケーションブレイクダウンについて考えたことのある人にはお勧めの本です。人には人によって変化する大きな可能性があることを教えてくれます。
そんなまあいまの出版界にはいなさそうで、実は結構こんな変な子は編集者には多いのではなどと思わされるような不思議ちゃんの物語を読むBGMに選んだのがPaco de Lucía Sextetの"One summer night"だ。気分盛り上がります。
https://www.youtube.com/watch?v=XhhJaG3il2E詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
福笑い 編集者 旅行記 プロレス 顔 言葉と文章 コンプレックス
猪木になりたかった
でもなれないと途中で気づいた
プロレスを辞めたくても辞められなかった
好きだから
守口廃尊というプロレスラー作家がいい味わい
好きなことをやり続けざるを得ない事こそ
生きているということで。
どんなに醜くあっても
観る人によっては輝いてみえる
プロレスって、生で観てみたいな
人の顔は様々であるのはどうしてだろう
あるべき場所に顔のパーツがないと
とたんに誰だかわからなくなる、不思議
世の中の価値観も
福笑いのよう
ちょいとズレるだけで
おかしくなる
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定にどんどん惹かれていきました。人肉…臭そう!
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最初は恐る恐る、何の話?どうなるの?これ?と思いながら読みすすめたけど、個性的な登場人物が(個性的じゃなさそうだった登場人物も)入り混じって、最後もう圧倒的なパワーにフォール負けという感じです。
定ちゃん笑えるようになってよかった。 -
2016年12月15日読了。
すごい小説だ……。人物や環境に強烈なインパクトがあるのに、それをわざわざ薄めて伝えたいことをちゃんと書いている。 -
丁寧な言葉で、するりと胸に落ちる言葉で物語が紡がれているのに、決して一筋縄でいかない世界感が、これぞ小説の醍醐味ではないかと思わされた。もしかしたら万人受けするものではないかもしれない。でも徐々に色が加わり鮮やかに輝いていくその世界にいつまでも存在したいと感じさせてくれる貴重な小説だ。
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BGM Suicide Blonde / INXS
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先っちょ。終盤に主人公と女友達が飲みに行ったところでグッときた。最後は謎だけど、幸福な先っちょをみんなで共有していたんだろうな。とても面白く読みました。苦手と好きがはっきり分かれそうな作品。
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2016.12.15読了
まだ出会えない…(図書館)